見出し画像

【エッセイ】中華料理のフードコートにて

会社の同期と映画を見た後、一緒に池袋のフードコートで中華料理を食べた。

注文方法が変わっていて、テーブルにあるQRコードを読み込み、スマートフォンに表示されたメニューをタップして注文するシステムだった。メニューは写真がついているが、ほとんど中国語で書かれていた。

友人の注文も完了し、お互いの近況について語り合った。久々に会ったけど、結婚している事を除いて特に変わりなく社会人生活を送っているようだった。同期が活躍している姿がただただ眩しい。どうして差ができてしまったのだろう。

店内には中国の歌が流れており、画面にはその歌を歌っている歌手のMVが表示されていた。中国語はやたら「チ◯チン」に似た発音が多い。私達はこの中国の歌を聞きながら、妄想を膨らませた。例えばジャニーズ風の人達は、多分だが「一番を目指して頑張ろう」的な歌を歌っているように、画面に表示された歌詞の漢字から読み取れる。しかし発音は「チ◯チン」と聞き取れる。そのため私達は「誰よりも一番のチ◯チンになろうという、応援歌なのではないか」と考察した。実際に合ってるかは不明だが、爽やかなMVと妄想した歌詞の意味のギャップを楽しみながらエビチリを堪能した。また、中国の軍歌は恐らく向こうの音大を卒業した方々による壮大なブラスバンドと迫力ある歌声により、「チ◯チン」も立派なものを想起させた。

くだらない事をやりながらも、私は内心同期との差に焦っていた。まだまだ私は一人前じゃない。今の体力や精神力では、大きなプロジェクトに参加する事はできない。マネジメント力も全然無い。どうすれば追いつけるだろうか。

そうは言っても、今の環境で頑張るしか無い。自分が出来る事に集中しよう。頑張っていれば、誰かが見てくれると思って。

注文してから一時間経過したが、一向に料理が運ばれて来ない。どうしたものか、店員に聞いてみた。

「すみません、まだ注文受けてないです。」

すると友人があっ、と声を上げた。

「すまん、注文ボタン押すの忘れたっぽい。」

やっぱ焦らずコツコツやってこう。大丈夫、きっと追いつける。

よろしければサポートお願いします!