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【エッセイ】蒼の世界

今日は天気が良い。無風で日差しが強く、冬だけど暖かい。ずっと海を見ながら日向ぼっこしたい。でも、この写真からでもわかる透視度を前に海に潜らないというのは滑稽だ。これだから冬のダイビングはやめられない。

今朝、ダイビングに向かうため東京駅に着いた。新幹線の改札口に行くと、やたらスノーボードを担いでいる人達が多い。明らかに先月より人口が増えている。冬のオリンピックの影響だろうか。平野歩夢選手のハープパイプは今思い出しても圧巻だと感動する。スノーボーダーの人口が増えてもおかしくない。そして、このスノーボードを担いでいる人たちの中で私だけフィンとシュノーケルを担いでいる。うん、こういう状況悪くない。周りと違う事をやってる状況になると、何故だか楽しくなってしまう。こういうのを天邪鬼って言うんだっけ?違ってたらごめんなさい。

三島駅に着くと、私と同じ人種をちらほら見かけるようになる。皆さんこの真冬の中、海を目指している。私達はマイノリティかもしれないけど、そんな事はどうでも良くなっていた。私は私が楽しいと感じる事に没頭する。

今日のコースはナマコがいっぱいいた。小さな魚の大群の中に4匹ほどチヌが紛れて泳いでいた。チヌは自分達が周りと同じ魚と思い込んでるんだろうか。私は魚についてあまり詳しくないけど、こういうおっちょこちょいな魚達は親近感を覚えてしまう。もし自分が周りと違うかもと気付いたらこの群れから出ていくんだろうか。人間も魚も動物でプリミティブな部分は同じなんだと思う。

深く潜れば潜るほど、体に冷たさが伝わってくる。ドライスーツの中で空気がシーソーゲームをしてるかのように体の中を移動している。海の中は静かだが、その中で様々な生態が蠢いている。この景色は毎月見てるけど飽きないどころか発見が増えていく。

岸に上がると、風が吹いてきて急に寒くなった。さっさともう一本潜りますか。私達はタンクを新しく取り換え始めた。

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