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普通のフィンランド社会人の生活 フィンランドの人・社会福祉・介護 聖書を基として見る9

 もうすでに様々なフィンランドに関連する書籍、在住者のブログ、講演会、研究などでフィンランド人がどういう生活をしているのかは日本に紹介されていると思うが、それでもここでも一回「普通のフィンランド社会人」の生活をおさらいしてみようと思う。

 フィンランドには豊かな森がある。ヘルシンキで北緯60度に位置し、寒冷な気候はそこで育つ植物、生物を限定する。代表的なのは白樺、ななかまど、オークなどの落葉樹、そしてモミや松などの針葉樹である。飛行機の中から下を見れば夏なら森と湖、冬なら雪野原や針葉樹の多さが目に留まるだろう。

 一年の10月~4月まで雲の多い薄暗い時期であるので、人々の夏に対する執着は非常に大きい。子どもは6月初めから8月半ばまでの10週間の夏休み、大人も最低4週間の夏休みを取り、太陽と自由を楽しむ。

フィンランド人の時間割

 「フィンランド人は1日に8時間しか働かない」ことでも有名であるが、残業している人もいるし週末に仕事に出ているワーカホリックな人も存在する。2021年現在は63歳以上ならリタイヤできるが自分の意思で決定できるため、70歳すぎてもまだ仕事をしている人もいる。「趣味が仕事」と言う人も若干は存在している。
 オフィスでは早い人は7時に来て仕事を始め15時には退社し、保育園へ子どもの迎えに走ったり、そのまま自分の趣味の時間へと移行する。スーパーなどは朝7時から店を開き、現場系の仕事も7時から始まる。フィンランドの朝は早い。

15時に退社する人の場合の時間割😄
6:00 起床
7:00 出社
10:00 コーヒータイム
10:30~13.00の間 ランチ(2時間半ランチタイムがあるのではなく、早い人は10:30に食べにいき、食べ終わったら戻って仕事)
14時まで仕事の続き
14:00 コーヒータイム
15:00 退社
16:00 晩ご飯 学校のランチも10:30~11:00なので、子どもはお腹がすいている
17:00 趣味の時間 スポーツ、散歩、趣味の講座、ゲームする、バーに行くなど
20:00 夜食 寝る前にパン等を食べる
22時以降 就寝

フィンランド人と休暇と余暇

 フィンランドでは一年職場で働くと(4月始まりで計算)次年度に4週間の夏休みを取る事ができるようになる。月に14日以上就労すると2日の休みが貯められていき、4月から次の3月分で貯まった分で夏休みとなる。月に14日以上勤務だとパートタイムでも有給の夏休みがもらえる。勤務年数が長いほど休暇の日数も長くなり、夏だけで5~6週間の夏休みを取れるようになる。その間は有給となるので、雇用者は社員の夏休みに支払う給料と休暇ボーナスを払うために、かなりの業績を作らないと会社が回らない。長く暗い冬を過ごすためみんな夏を楽しみにして生きており、6月~8月の間に社員はシフトしながら夏休みを消化する。ヘルシンキのレストランも7月は店を閉じて、店員全員同時に夏休みを取っている店もある。他の時期に休みを取る事も可能だが、夏季に最低2週間はまとめて取らないといけない。さらに秋から冬にかけて8日間の休暇が取れる。

 この夏休み期間に仕事で何か大変な事が起こっても、休みを返上して会社に戻り問題の解決に取り組みと言うこともない。休暇に出る人は完全に『オフ』になり、仕事に関する思考から解放されるのだ。休みに出てしまう人の業務は残る人たちが手分けをして作業する。みんな平等に休みを取るので、自分が他人の仕事をしなければならないことで不平や不満を言う人はいない。自分が休みを取るときには、他の人が自分の作業をするからである。職場は夏の人員を確保するために、毎年新年になるとすぐに「夏のバイト募集」の広告を出す。特に医療や介護の現場では夏の人材確保は大きな課題だ。

 湖も多いフィンランドなので、湖畔に自分のサマーコテージを持つ事がフィンランド人の夢である。雪が解けると家とコテージの往復を週末に始め、夏への準備をする。コテージは電気も水道もない、薪でサウナを温める昔ながらの生活を楽しむタイプと、食器洗浄器やモダンなサウナもある現代のニーズに適したものまで個人のコテージの生活様式に合わせて存在している。隣の人の声も聞こえない、姿も見えないくらい隔離された場所が用意されている。サウナの後で裸になって湖や川で水浴びと言う事も普通である。
 夏には人々は森に入り、ブルーベリーやコケモモなどの実を集め、ジャムにしたりそのまま冷凍したりして冬のために保存する。

 秋になるとまた会社や学校に戻り、夏休みにどこで何をしていたかをお互いに語り合う。オフタイムにはキノコ狩りに森に入る人も多い。ヘルシンキ市内や周辺の手狭な公園にもブルーベリーやキノコは生えるので、それらを集めることも普通だ。一年中を通して人々は森の中に入りハイキングをし、ソーセージを焼いたりして楽しむ。
 学校には秋休みもあり、大人もその時期にまだ残っている有給休暇を取り、南の島へ行ったりする。11月になると太陽もほとんど差さず、曇りの日が続くので、光を求めて南下する事が多い。
 12月はフィンランド人の2大イベントの一つ「クリスマス」がくる。プレゼントを交換するためにショッピングに励み、プレゼントを綺麗に包装して、料理作りに精を出す。昔はクリスマスの間はホテルも休みになったくらいだと言うが、最近はスーパーも時間短縮で営業されるようになった。

 冬にはクロスカントリーを趣味とする人が多く、雪が十分降ればすぐに森の中にレーンが作られる。暗くなっても街灯が灯されたレーンで人々はクロスカントリーに興じる。以前は冬の間にやる事がないからからか、図書館で本を借りて読むというのが一般的だったが、ネットが使えるようになった今は図書館の利用は特に若者では減少傾向にある。

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