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ニューヨークタイムズが選ぶ21世紀のベスト100冊(Part 2)

ニューヨークタイムズが文学界の著名人503人に対して行った21世紀のベスト100冊というアンケート調査の結果から自分が読んだことある16冊を拾って並べてみた。今回はそのPart 2。

50位 Hernan DiazのTrust
この本はAmazonが私の購入履歴をもとに薦めてくれた本だ。Amazonのロボットが選ぶものにははたまにとんでもないハズレがあるがこれは大当たりだった。本好きなくせに読んだ本のあらすじや内容をすぐに忘れてしまうのが私の悪いくせ。人に勧めるにも「面白かったのよ!」としか言えない場合が多い。この本にはガツンと衝撃を受けたのだけは覚えている。この本は20世紀初頭に金融で大儲けをする男性を主人公に、4部構成からなる小説だ。第一部は普通の歴史小説の体で始まりグイグイ引き込まれる内容なのだが、第二部でいきなり読者を迷子にさせるような内容に転じ、三部、四部と「え?なになに?」と読み進んでしまうのだ。お金に関する話でもあり結婚に関する話でもあり、こんな表現しかできない自分がもどかしいが、良くできた話なのだ。タイトルのTrustも気が利いている。金融用語のTrust(信託)と同時に人間関係に於けるTrust(信頼)も示唆しており、読者のTrustを裏切り続けて最後まで読ませる。

41位 Claire KeeganのSmall Things Like These
情けないことにこの本は面白かったという感想を持ったということしか思い出せない。アイルランドを舞台に勤勉で真面目な人々を描き、地味だがとても心に残る作品だということしか。とても短い作品なので今夜にでも再読してみようと思う。この作品が良かったのでこの作者のデビュー短編集Antarcticaも直後に読んだという事は覚えている。

37位 Annie ErnauxのThe Years
Annie Ernauxは2022年にノーベル文学賞を受賞したフランス人作家。私がまだ20代だった1990年代初頭ににこの作家の「シンプルな情熱」という小説が話題となり、日本語訳が出るやまっさきに貪り読んだのを覚えている。それから30年の月日が流れ、あの作家がノーベル文学賞を受賞したとのニュースに懐かしさを覚え、この本を購入した。The Yearsはハイブリッドな回顧録と評された自伝。作家自身の人生だけではなく彼女が生きてきた時代の優れた記録でもある。実は、この本は途中まで読んでそのままになっている。つまらないからというよりも、こういうリアリティ色の濃い話より物語性の強いものが読みたい気分になってしまったから。Kindle版で読んでいたので、途中で投げ出してしまうとなかなか戻るきっかけがつかず未だ読み終えていない。紙の本であれば気が向いた時に戻ってパラパラと好きなところから拾い読みもしやすいのだが。

26位 Ian McEwanのAtonement
映画を観てから本を読んだのか本を先に読んでいたのかは定かではないがこれは本も映画も両方良かった作品。映画の日本語タイトルは「つぐない」。当時まだ13歳だった女優シアーシャ・ローナンが強く印象に残っている。映画の事を書いて本の内容をあまり覚えていないことを誤魔化そうとしていると思われそうだが、正にその通りだ。
映画は映像の美しさ、前述のシアーシャ・ローナンの瞳、キーラ・ナイトレーのスリムなドレス姿などが印象に残り、本は繊細で緻密な心理描写が際立っていた(と思う)。

(Part 3に続く)



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