見出し画像

これぞハリウッド映画

この映画を観るのは何回目になるだろう。1999年公開の「トーマス・クラウン・アフェア」。

これは1968年にスティーブ・マクイーン主演で公開された同名映画(邦題は『華麗なる賭け』)のリメイク。オリジナルの方が映画としての評価は高いようだが、そちらはまだ観たことがない。

ちなみにオリジナルでヒロインを演じたフェイ・ダナウェイがこのリメイクの中で主人公の精神分析医として登場する。随所に散りばめられたこの精神分析医との会話シーンも愉快だ。

主演のピアース・ブロスナンが演じるのはウォルストリートで投資会社を経営する大富豪。彼には絵画泥棒という趣味がある。メトロポリタン美術館からモネの絵画が盗まれて保険会社から派遣される調査員を演じるのがルネ・ルッソ。彼女が盗みの真相にじわりじわりと迫りつつも犯人との恋愛にのめり込んでいくというのが大まかなストーリー。

ヒロインが纏うファッションがいい。女優に転向する前はファッションモデルとして活躍していたルネ・ルッソだからこそ着こなせたスーツやイブニングドレスにうっとりする。

サントラもいい。イントロのピアノインストロメンタル、ニナ・シモーンの「シナーマン」、エンドロールで流れるスティングの「風のささやき」。映画全体をスタイリッシュなプロモーションビデオのように仕上げている。

ピアース・ブロスナンはまぁどこを切っても金太郎飴の様にピアース・ブロスナンだが、それがまた彼の魅力。

一つ一つの盗みの仕掛けも内心「あり得ねぇ〜!」と思うものばかりだがユーモアと夢があって観ている側を楽しませてくれる。

この事件を捜査する刑事を演じるデニス・リアリーもいい味を出している。ゴージャスで非現実的なヒーロー(絵画泥棒をこう呼んでいいのだろうか?)とヒロインに対してこの刑事はパッとしない現実を精一杯生きている普通の男。ある意味このストーリーの中の真のヒーローと言えるかもしれない。毎回「コイツは本当にいいヤツだなぁ」と思う。

欲を言うならば、ヒロインの感情の表現をもうちょっと抑え目にして欲しい。あれだけ頭脳明晰で男顔負けの生き方をしている女性なのだから嫉妬心や悲しみをあそこまであからさまに表面に出さないのではないかと思う。微妙な目の色や口角の向き、背中の表情などで表現してくれたなら申し分ない。それは相当な演技力を要するかもしれないが。

オシャレで爽快な現実逃避。そんな映画を求めている方にこれはおすすめの一本だ。
Amazonプライム会員なら見放題(2024年6月20日現在)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?