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Salesforce の数式や高度なカスタマイズのやり方を調べる力を身に着けるにはどうしたらいいの?ゆるふわ学習手順その2

2023年9月になりました。毎年恒例のSalesforce World Tour Tokyo 2023 やSalesforce 全国活用チャンピオン大会 2023 が閉幕し、イベント内のセッションや展示、他社さんの成功事例を見たあなたの組織では、Salesforce 活用を自分たちももっと成功させていこう!あの事例みたいなことやってみたい!という機運が高まっていることでしょう。

でも…実装方法の調べ方がわからない…というSalesforce Admin(運用者)の方に向けて、数式や入力規則などをカスタマイズするための観点やスキルアップのための学習方法をこの記事では説明していきます。


Salesforce のカスタマイズには慣れた!その先は?

Salesforce を便利にするために、プログラミングの知識を必要としない開発(宣言的開発)ができます。
プログラミングを必要とせずにSalesforce を便利にするための機能には、

  • オブジェクトの作成(カスタムオブジェクト)

  • 項目の作成(カスタム項目)

  • 主従関係・参照関係といったリレーションの作成

  • 参照先のオブジェクトの項目を使用する(カスタム数式項目)

  • 標準オブジェクト・標準項目のタブ名や表示ラベルの変更

  • ページレイアウトの作成・編集

  • レポートの作成

  • ダッシュボードの作成

といったものがあります。これらをすいすい使いこなせると、自分が使っているSalesforce のこの部分の表示を変更したいなら、ここの機能を操作したらいいんだな、ということがわかるようになっています。
Salesforce にまだ不慣れで、まったくの初心者から勉強したいという人は、こちらの記事をご参考にしてください。

Admin ユーザとして、Saleeforce のカスタマイズの基本的な機能を理解できたその先で、ひとつの壁にぶち当たります。
それは「数式」の活用です。

オブジェクトマネージャ > 項目とリレーション
から「カスタム数式項目」を作成・編集することができるという機能の存在自体は知っているけど、どのように数式を書いたらいいかわからない…。
この記事を読んでいるあなたも
「そもそも何ができるかわからない」
「数式の発想がわかない」と、お困りのことでしょう。
でもね、安心してください。

  • どう勉強したら数式を思いつけるのか

  • どう勉強したら実装したい数式のヘルプ記事にウェブ検索でたどり着けるようになるのか

が、この記事で説明している「表計算ソフトの勉強」をしてみると、Salesforce をもっと便利できる機能を自分で考えられるようにきっとなります。

クラウド活用力は「表計算力」

Salesforce はクラウドで簡単に項目やテーブルを追加できるデータベースとしてとても便利なものです。Salesforce 導入以前はExcel やGoogle スプレッドシートで管理していたり、Salesforce で管理する対象ではない業務領域ではExcel やGoogle スプレッドシートを使用している。そのような組織はとても多いことでしょう。

Salesforce に乗り換える前の表計算ソフトの内容を見てみると、あまり上手に活用できていない事例が少なくありません。表計算ソフトで上手にデータ入力や集計ができることは、Salesforce やその他のシステム活用を考察する際にとても重要な能力です。

  • 標準機能を活用して入力者が更新しやすいように表示されているか

  • 入力ミスが起こらないように「データの入力規則」を設定しているか

  • 入力用のシートの内容を、複雑な関数によって集計していないか
    ※ピボットテーブルの機能の存在を知らないのか、ピボットテーブルで集計できるように入力用のシートを設計できないのか

  • 関数を無理やり組み合わせて、文字列の操作や数値の処理をしていないか

このようなことが起こっているなら、その組織や表計算ソフト使用者の「表計算力」が低いといえます。

「表計算力」とは?

「表計算力」には以下の領域がある、と私は考えています。

1)データ(数値・文字)の入力(編集 / 消去 / コピー / 切り取って貼り付け)
2)データの表示形式(テキスト / 日時 / 数値 / 通貨 / パーセント / 百万 / 月 など) の変更
3)行や列の挿入 / 削除
4)セル・表への書式設定(文字の大きさ、色、枠線)
5)計算式の入力(相対参照・絶対参照含む)
6)基本的な関数の入力(SUM / AVERAGE / COUNT / TODAY / MAX / MIN など)
7)応用的な関数の入力(IF / VLOOKUP / SUMIFS / EOMONTH など)
8)データベース機能(フィルタ / 並べ替え / 検索と置換)
9)グラフ作成
10)シートの印刷
11)自動化(マクロ / VBA / GAS)

何となく表計算ソフトに情報を入力しているという使い方をしているだけでは、

  • Excel で横方向にコピペしているようにSalesforce でもコピペでデータを登録したい。

  • Excel で「9末」として入力しているのを、Salesforce の「完了予定日」項目にも入力したい。

  • Excel で横方向に表示して入力している「1月売上」「2月売上」・・・「12月売上」をSalesforce の取引先オブジェクトにカスタム項目として作成したい。

ということをそのまま叶えてしまいたくなりがちです。Excel でもGoogle スプレッドシートでも、表計算ソフトを活用する知識を体系的に学ぶと、Salesforce を使用している上で沸き起こる改善要望をどのように実装しようか、どのように調べたらいいか、という観点が身につきます。

表計算力の観点でSalesforce 改善のアイデアを検索

表計算力を身につけると、Salesforce でカスタム数式項目をどのように設計できるようになるか、調べられるようになるかを、いくつかのケースで紹介します。

ある日付項目の入力内容を指定して、その月の末日の日付を求めたい。
このような要求には、表計算ソフト では「EOMONTH」という関数を使用することで瞬時に対応できます。

=EOMONTH(日付セル,[何か月後の末日か])
=EOMONTH(A2,0)

このように関数を定義すると、E2セルの0か月後、つまりその月の末日を求められます。
EOMONTH 関数の存在を知らなかったら、

=DATE(
YEAR(E2),
MONTH(E2),
DAY(31)
)

のように、闇雲に関数を定義するかもしれませんね。
Salesforce でも、このような観点でカスタム数式項目を定義するかもしれません。このように表計算ソフトの活用力や知識に乏しいことは、Salesforce での実装の洞察力にも関係してきます。

EOMONTH 関数の存在を知っていたら、

Salesforce EOMONTH」で検索 🔍
※2023年9月22日 Google 検索結果

のように検索でき、公式のヘルプや、同じように悩んでいる方のコミュニティ内での投稿を参考にすることができるのです。

2つの日付のうち、新しい方の日付を表示したい

Salesforce やExcel に2つの日付項目(日付1 と日付2)があるとします。
・日付1 が入力されているならば、日付1と日付2 を比較して新しい方を、
・日付1が入力されていないならば、
 日付2 が入力されているなら日付2を、
 日付2が入力されていないならば、空白を
という日付を表示したいとします。

このような要求に対して、素直に数式を定義するとしたら、

IF([日付1]<>"",
  IF([日付1]>[日付2],[日付1],[日付2]),
  IF([日付2]<>"",
    [日付2]),"")
  )

このようになるでしょう。
IF 関数を使用して、尤もらしい定義に見えます。

では、比較したい日付項目が3つになっても、上記のような方針で数式を使定義するでしょうか?
たくさんのIF 関数によって、メンテナンスしにくくなるかもしれません。

表計算ソフトの「MAX」関数を知っていれば、このような定義を思いつくかもしれません。

=MAX([日付1],[日付2])

これだけです。
日付1 と日付2 の値の中から最大値を求める(大きい = 日付が新しい)だけで、新しい日付を求めることができます。
比較したい日付の項目が3つ以上になっても、指定する値を増やすだけで対応ができます。

このように、表計算力を磨くこと、表計算ソフトの標準機能でできることについて理解を深めることで、Salesforce のカスタマイズのための情報収集力や発想力を鍛えられます。表計算力に乏しいなら、そもそもシステムで何ができるのかということを着想することは難しく、限定的な視野の中で、一生懸命に考察した謎仕様魔改造機能に頼った複雑なシステムの構築に邁進していきます。まさに、破滅への輪舞曲です。
システムのバグに酔いな。

表計算力を身につけるのにおすすめの教材

さて、ではどうやったら表計算力を身につけられるでしょう?
表計算ソフトの機能を体系的にサクッと学べる本を購入して、一気読みしたら良いです。
コンビニでたまに500円とかで売っているExcel の、時短とか、残業しないとか、そういう本を一気に眺めてみるだけでも知識が身につきます。自分ですいすい操作したり、瞬時に活用できるようになるには、一気に読むだけではなくて実際にその操作手順を何度か練習するとよいです。これによって、表計算ソフトって実はこんな便利なことがあったんだなって気づいてください。

表計算ソフトの便利さに気づき、体系的に勉強してみたくなったら、
楽しく体系的に勉強しましょう。
楽しさとは・・・。
と、感じるかと思いますが、ハ☐ーキティさんが教えてくれたらきっと楽しいですし、伝説的な世紀末の救世主さんが教えてくれても楽しいと思います。

こういうのとか、

こういうのがおすすめです。

Excel ではなくて、Google スプレッドシートの基礎を勉強してみたいなあという方は、このnote の著者が執筆している

こういう本とか

Udemy 動画とか、

YouTube の再生リストとかがおすすめです。

これらで体系的に表計算ソフトの知識を得られたら、
もうひと踏ん張り、表計算ソフトの沼に落ちましょう。

表計算ソフトをたった1日で即戦力級に使いこなせる素晴らしい本があります。
その名も

です。

  • 表計算ソフトとは

  • データ型とは

  • 表計算ソフトを徹底的に活用するためのアイデア

  • 表計算ソフトでデータベースを管理し究極の生産性を目指すためのルールやテクニック

などが満載の、とっても素晴らしい本です。

まとめ

Salesforce の活用力を高めたいのに、Excel の勉強?と思う方は少なくありません。
Salesforce を手っ取り早く、もっと上手に使えるようになりたい、もっと高度な設計ができるようになりたい、と焦っている方、どれだけSalesforce の画面と睨めっこしても発想が湧かない方、いったん落ち着いて表計算ソフトの勉強をしてみてください。

Excel ではできるんだけどなあ・・・Salesforce ではできないのかなあ?
っていう段階まで表計算力が高まると、きっと道は開けていきます。
Salesforce のカスタマイズ方法や、機能についての学習も継続しつつ、表計算ソフトに向き合うことで、Salesforce 力も表計算力も相乗効果でよくなろう!

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