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500の環世界が出会う日 | Passions Worth Spreading vol.2

はじめまして!TEDxUTokyo実行委員会で副代表(主に会計・団体内のシステム管理)を務めています、東京大学2年の豊嶋駿介です。

2012年から2017年まで東京大学で開催されていたTEDxUTokyoというイベントを5年ぶりに復活させるメンバーたちの思いをつづる連載企画"Passions Worth Spreading"の第2回を担当します

「TEDxUTokyoってそもそも何?」という方は、代表髙野による連載第1回を確認してください。
https://note.com/tedxutokyo/n/n5dbb04cd5f36

今回のnoteでは、私自身のライフヒストリーと絡める形で、「なぜ私がTEDxUTokyoに取り組むのか」、その思いをお伝えします。

TEDxUTokyoとライフヒストリー


私自身のライフヒストリーに入る前に、先に、なぜ私個人のライフヒストリーと絡めてTEDxUTokyoを語るのか、について簡単にお伝えします。

私たちTEDxUTokyo実行委員会を構成するメンバーの多くは学部2年生で、新型コロナウイルス感染症による大学の授業形態の変更のあおりを受け、オフライン環境での人的交流の多くが失われた世代になります。

そして、TEDxUTokyoは対面での大規模なイベントとして開催予定であるため、ある種「コロナウイルスに打ち勝った象徴」として捉えられる部分があるでしょう。

もちろん、メンバー自身も失われた対面での出会いの機会を作り出したいという思いを持っていますし、私たちの話を聞いてくださった方にも「コロナウイルスに負けない学生の姿」を期待くださっていて、その期待は大きな励みになっています。

しかし一方で、TEDの理念は"Ideas Worth Spreading"、個人が持つアイデアに光を当てることです。

メンバーそれぞれが個性を持ち、アイデアを持ち寄って行うTEDxUTokyoというイベントに対し、「コロナウイルスに打ち勝った象徴」という社会的意味を付与すること、それはともすればメンバーの持つ個性やアイデアの光を失わせる可能性があります。

このnoteでは、メンバーそれぞれの持つ個性を描きたいため、あくまで一人称の「私」としてなぜTEDxUTokyoに取り組むのか、ライフヒストリーを絡めながらお伝えできればと思います。
つたない文章ではありますが、少しでも思いを伝えることができれば幸いです。

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「違うこと」は「怖いこと」だった


私は香川県の西讃地域(要は香川県の西側です)に生まれ、大学に進学して上京するまでずっとその地域で育ってきました。

その地域は、昔からそこに住んでいる方と、最近その辺りに移り住んだ方が半々ぐらいいるような環境で、私の家庭は後者に該当していました。

幼少期の記憶で、よく覚えているのが、「○○(自治体の名前)の人は~~だから……なんだよね」という言葉です。
具体的な内容を書くのははばかられるのですが、住んでいた地域や環境を根拠とした、若干の差別的意図を持った発言です。

幼少期から人からの視線や噂にそれなりに敏感で、恐怖を感じていた私は、この言葉を聞いていて、「違う」ことは人からの視線を受け取る原因になる、「違うこと」は「怖いこと」である、という感覚を自分自身に植え付けていきます。

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近所の田んぼ

こうした恐怖の感覚を持ちながら育った私ですが、体についてコンプレックスを抱えています。
小さいころから標準体重マイナス15㎏程度のやせ型の体形をしており(現在もそのくらいです)、そのことが他者との「違い」として、視線の対象として強く意識されていました。

体形をできるだけ隠すため、サイズが一回り大きめな服や、緩めの服を着るようにしていました。
やせ型をうらやむ声に、曖昧な返事を返していました。

こうした「違うこと」への恐怖と、体へのコンプレックス、これが幼少期の私を形成していたものでした。


「自分らしさ」で満ちた世界


自分の体へのコンプレックスと、「違うこと」に対する恐怖を払拭できないまま、私は地元の中学に進学します。

そのころ、人生で初めて、「目が見えない」人に出会います。
(「目が見えない」症状には様々なものがあると思いますが、ここでは具体的なところは記述を控えさせていただきます)

「目が見えない」人と話したのは、たったの一度だけだったのですが、そのときの経験を今でも良く覚えています。

「目が見えない」人は、私にはない世界を持っていました。
色彩・音・匂い・さわり心地、すべてが私が持っている世界と違っていて、その時の私にはとてつもなく輝いて見えました。

そこには、その人「らしさ」で満ちた世界があり、そこでしか育たない感覚・発想がありました。
羨ましいなと思う一方で、私にだって、それに、他の誰にもだって、そういった自分だけの世界があり、自分だけの世界で育つものを持っているのではないか?という感覚がぐるぐるしていました。

そうしたぐるぐるとしたモヤモヤを抱えたまま、私は高校に入学します。
相変わらず、体へのコンプレックスはコンプレックスのまま、「違うこと」への恐怖は依然残っていました。

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そうしたとき、一冊の本に載っていた、一つの単語に出会います。

「環世界」(Umwelt)

ドイツの生物学者・哲学者ユクスキュルが提唱した概念です。
全ての生物にとって世界は客観的な環境ではなく、それぞれが主体的に構築する独自の世界であることを言い表した言葉です。

この概念に出会い、それまでに私が持っていたモヤモヤは晴れることになります。

「違うこと」は恐怖ではなく、それぞれが独自の世界を持っているが故に当り前のことである。
そして、それぞれの独自の世界でしか育たない感覚もある。

そんな「自分らしさ」に満ちた世界が誰にでもある、ということに気付きました。

私だけの世界で、私にしか育てられないものを。

こうした経験を経て、私は大学に入学します。
そして、代表の髙野に誘われる形でTEDxUTokyoに参画しています。

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TEDの理念は”Ideas Worth Spreading”(広める価値のあるアイデア)です。

TEDxUTokyoでは、この理念を「いいアイデアを持っているが、まだ世界に知られていない人を発掘する」ことと捉え、素晴らしいアイデアを持ったスピーカーの発掘と、そのアイデアをできる限り多くの人に価値ある形で提供できるようなコンテンツ作りに励んでいます。

しかし、自分自身のライフヒストリーを振り返ってみて、この理念は私個人にとってはまた違った解釈ができるではないかと思うようになりました。

それぞれの人が、自分だけの世界を持っている。
そして、それぞれの世界だからこそ育つものがある。
“Ideas Worth Spreading”とは、それぞれの世界だからこそ育つアイデアをもっと共有しよう、という呼びかけなのだと思います。

私がつくりたいのは、このように、参加者の方がそれぞれの世界に育つアイデアの種を見つけられるような場です。

数十年後、TEDxUTokyoを経験した人々が、当時は種だったアイデアを共有し、世界を変えていくような光景をみられるような、そんな場をつくりあげていけたらと思います。

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終わりに


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
代表の髙野とはまた違った、メンバーの思いを伝えられていたらいいなと思います。
今後のメンバーによる”Passions Worth Spreading”にもぜひご期待ください。

このnoteを読み、TEDxUTokyoに興味を持っていただけた方は、ぜひTwitterなどのSNSをフォローしていただき、今後の情報についてのお知らせを受け取っていただけたらと思います。

また、現在TEDxUTokyo実行委員会では、ともに「人生を変える一日」を作るメンバーを募集しています(募集期限などは後述のサイトを参照してください)。
興味のある方は、こちらのサイトからぜひご応募ください。

このnoteを読んでくださった方(もちろん読むことがなかった方もですが笑)と、2月のTEDxUTokyo Salon、6月のTEDxUTokyoにてお会いできることを楽しみにしています!
今後とも応援よろしくお願いします。


2021年11月11日 豊嶋駿介

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