見出し画像

私の進路を決定づけてくれた先生

 noteが #忘れられない先生  での投稿を呼びかけていましたので
少し書いてみたい。

 私は北海道の片田舎、道東地区の釧路市というところで育っていました。日本の東のはて、何もないところ。赤ん坊の頃からずっと炭鉱の労働者が多く住んでいたエリアに住んでいて楽しくやっていたんだけど、小4の時に家の都合で引っ越した事によりそれまでの友達も多かった地区から市内で転校。まったく生活圏の違うところに引っ越しました。
 当然知り合いもいないという状況。そこでの担任は最悪だったというのが最大の思い出(苦笑)。学校の授業の進度の違いから全くついていけない状況が続き当時の小4、小5の担任からは「曹長くんは落ちこぼれです。」のありがたいレッテル貼り。参観日のあとの父兄との面談で「曹長くんはこのままだと落ちこぼれで何もできないダメな子供になってしまいます。学習意欲もない、態度も悪い」と言われるぐらい(苦笑)。すっかり学校に行く気すら失っていたのですが、小6の時に何故かその年だけクラス替えが行われる事になり、クラス編成も担任の先生も変わる事になったのです。

 新しい担任の先生はY塚先生という、まだ大学を出て数年の若い女性の先生。なんでも初めて担任を持つ事になったらしい。親の間でも不安な声が出るくらい。若い女性先生と聞くけど可愛いという感じではなく、凛としていて おっかない!怖い!という感じの先生が担任に。
 でも、この先生との出会いが僕の人生を決定づけたと言っても過言ではなかったのです。
 落ちこぼれとレッテルの貼られた私に、実は理数系の才能があるというのを見つけてくれたんですね。教育大での先生の専攻が物理(理科)だったという事も良かったのかもしれません。算数の授業で答えにたどり着くアプローチについて、他の生徒と考え方が全く違うことに気づいてくれたのがスタート。そこで私には理数系の才があるのでは?と気づいてくれたのです。理科でも小学生で物理の基本的な部分の理解ができていると言う事も会話の中で気づいてくれていました。
 そんなある日。市内にある市立科学館で科学館クラブという学校横断型の週末学習会が定期的に行われる事になり、その科学館クラブについて「曹長くん、こう言うのが行われるんだけど交通費とか出せる様なら行ってみない?ご両親に相談してみたら?」と。

 当時の実家はかなり貧乏な生活をしていたという事もあり、市内の端から端まで移動する為のバス代を出してもらえるなんて思ってもいなかったので、親に切り出すのを悩んでいたのですよ。毎日、部屋の机の中に隠してあったパンフをじーっと眺める日々。パンフに書いてあった宇宙の絵、物理の実験の絵が楽しそうで楽しそうでずーっと悩んでいたんです。
 先生から「そろそろ締め切りだけど どうだった?」と言われ「まだ言ってない、うち貧乏だから」と言ったら先生が両親へのお手紙を書いてくれてました。後々知ったのですが「曹長くんには理数系の才能がある、伸ばすきっかけを与えてあげてほしい」と書かれていたとのこと。
 そんな事があったなんて知らない自分でしたが、ダメ元で意を決して両親の所へいって正座してお願いに。手を震わせながらクシャクシャになったパンフを見せて、一生懸命両親に行きたい意思を言った様に覚えてます。翌日 先生のいる職員室に「行ける!行ける!」と駆け込んだら先生が満面の笑みで「良かったね!」と。その時に「理科はものごとのあるべき姿を勉強できる、本当のすがたを勉強できる学問。すべての事が算数、数学で描くことができる美しい学問。ちゃんと覚えていくと面白いんだよ」と激励されました。

 その後、科学館クラブで理数系の面白さに目覚めた私。中学を卒業する時に近所にあった釧路高専に進学。大学に行きたかったけどやはり貧乏な我が家、経済的にその願いは叶うべくもなかったけど、高専の5年間理数系、技術系の面白さをずーっと勉強でき、就職したあとも地元の国立大に聴講生として自主的に通い数学、物理、核工学とかを学び続けました。小6の時、先生が渡してくれ自分の小さい手で握りしめていた科学館クラブのパンフがその後のワタシの人生を決定づけてくれた・・・そう思っています。また、その理数系の世界の扉をあけてくれたY塚先生は私の恩師でもあり、救世主でもあったと思っています。あの当時、貧乏で将来なんか何も描けなかった自分だったんですが、パっと世界へアクセスできる扉を開いてくれた先生だった、そう感謝しています。

Y塚先生
 先生が初めて担任をもったクラスにいた曹長です。
 先生が開いてくれた扉のおかげで理数系の才が爆発し、就職してもずーっと技術の最前線、製造業の最前線で仕事をさせてもらっています。理数系を突き詰めれば突き詰めるほど、物事の本質はなんなのだろ?と考えてしまいます。答えのでない旅をしている気分です。まだ勉強しています、勉強が楽しくて仕方ありません。
 将来なんか何もなく落ちこぼれとレッテル貼られていて、暗闇の中をとぼとぼ歩いているだけの自分をドブの中から引き上げてくれて本当に感謝しています。娘を社会に送り、後輩を育て、自分の仕事で少しだけ社会に貢献する事で先生からもらった恩や愛に少しだけお返しができていると信じています。 僕の #忘れられない先生  はまさにあなたでした。



この記事が参加している募集

#忘れられない先生

4,606件