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モリー、うしろむきに歩く

 その日、モリーはベッドを出てからずっとうしろむきにばかり歩いていました。うしろむきに10ぽ歩いてはワンピースのすそをたくしあげ、おなかのようすをさぐっていました。何回見ても、かわいいおへそが見えるだけです。あるいは朝のころよりいくぶんへこんで見えたでしょうか。今は、朝ごはんと昼ごはんのちょうど真ん中の時間でしたので、朝ごはんに食べたオートミールとお紅茶の半分はなくなっているはずです。
 モリーはじぶんのおなかを見て、ううん、となっとくがいかないようすで首を横にふり、ワンピースをおろして、またうしろむきに歩きはじめました。
 そうやってしばらくお家の中をうしろむきに歩いていると、何かにひっかかって、そのまま頭のうしろからころんでしまいました。それはモリーのベッドカバーとシーツの山でした。モリーのお母さんが今日、2回目のせんたくの準備をしているところだったのです。
「あら、モリー。こんなところで何をしているの?」
 お母さんはモリーを朝からずっと目のはしの方で追いかけていました。モリーは朝ごはんのときもうしろむきでやってきましたし、お父さんが会社に出かけるときもうしろむきにげんかんまで歩いていき、そのまま背中でいってらっしゃいを言ったのでした。(その姿にお父さんはたいそうがっかりして肩を落としたまま出かけたものです)

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