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「なんとなく」から始めたNPO運営

体当たりNPO運営記(1) (2015年5月記)
NPOを運営するということの大変さを、いま、身を以て体験しているわたくし。個人事業主のころは、代わりがいないプレッシャーはあるものの、とても気楽でした。だけど、法人化した途端、「あれもこれもそれもどれも!」と、様々な事務や雑務が押し寄せ、「書く」以外の業務量が一気に増えてしまいました。しかも、情報とお金の透明性を必要とする公益法人である限りは、これらが「なんとなく」ではいけない。何に税金がかかり、法人にはどんな義務があり、社会がどう成り立っているのか、「ああ、そうだったのね」と発見することが多い日々です。日々、体当たりで学び経験していることを、そのまま流してしまってはもったいないと思い、書きまとめることにしました。

キタハラの妹は山形でNPO法人の事務局スタッフとして働いていた経験があります。映画関連のNPOで、妹はどちらかといえばクリエイティブの仕事をやりたかったように思うのですが、彼女に求められていた仕事はまさに「事務局」。お金集め、経理、行政との調整、付き合い(ノミニケーション)などを細やかにこなし、彼女なしではNPOが回らないとも言われるほどの「縁の下の力持ち」でした。
約3年前に退職し海外生活を送っていた妹がこの3月に帰国したさなか、わたしは個人の確定申告に追われていました。会計ソフトの数字が合わずに四苦八苦している中、姉としてのプライドをかなぐり捨てて妹に教えを請い、数字を合わせて何とか書類を提出。会計ソフトは複式簿記で、貸方と借方の数字が合わないと次に進めないので、「金額が合わない」ことがあってはならないのです。
NPO会計ソフトの運用を始めても、わからないことだらけ。GWに帰省した際に、会計や労務について、妹にまた色々質問攻めしました。「お姉ちゃん、それ常識だよ。人が動いたらそのぶんお金が動くということ。お姉ちゃん、それだけ働いて、ちゃんと稼いでいるの?」……うーん、一応役員報酬を決めているんだけど、そこ、聞かないでほしいな。。「え、お姉ちゃん、じゃあNPOを趣味でやってるの!?」
……ガーン、妹に、一番痛いところをつかれました。しばらく、彼女の言葉が脳内でゴンゴンと除夜の鐘のように鳴り響いていました。

例えば、わたしがクッキーを焼くのが得意で、気の向いた時にこだわり自然派の美味しいクッキーを焼いて、友達に配り歩いていれば、そりゃあ、喜ばれるし、美味しいねって言われて自分も満足するんだと思うんです。だけど、マルシェに出店してクッキーを売るとなると、販売価格を決めて、原価計算をして、賞味期限を設定して、原材料名を表示して、さらには菓子製造業として保健所の営業許可を取るためにキッチンを改装して、食品衛生者の講習を受けて……と、「社会的信用」を得るためにクリアしなければならないことがたくさんあります。「いいの、わたしのぶんは」と、自分の「数字」を曖昧にすることをクッキーに例えると? 

記事1本書いていくら、というシンプルな足し算をしていた個人事業主時代より、複雑な掛け算割り算の要素も入ってきていて、数字が苦手なわたしにはなかなかハードルが高いNPOの経営ですが、関わる人が増えた以上、しっかり腹落ちさせて、人、時間、お金を「数字で見える化」することから逃げないでいこうと心に誓ったのでした。お金だけでなく、労力も貸方・借方で考え数字で見える化していく、その原理は同じなんだなと。

来年には「お姉ちゃん、ちゃんと仕事にしてるね!」って言わせてやるぞ〜!

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