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ラック・スティーラー

もう10年以上前になるが、嘗てmixiで繋がりのあった知人との関係が拗れて、一方的に此方からマイミク解除した事があった。
それからの数年間をふと振り返って、ある事に気がついた。
巧く言えないのだが「仕事運の向上」とでも表現すべきか。

その人物と知り合った切欠は、今となっては思い出せない。
当時雨後の筍宜しく林立していたとあるオフ会絡みではなかったかと思う。

仮にその人物の名をAとしよう。
A氏は、新宿区某所に店を構える水商売の人間であった。
当時、馴染みの店を悉く不景気で(閉店や移転など)失い、行き着けと言うモノを持っていなかったワタクシは、そのA氏の弁舌と知識の豊富さに惹かれ、いつしかその店に月1で通うようになっていた。

通っていた当時はあまり気にしていなかったのだが、今振り返って見ると、あの店に通い出してからワタクシの仕事運はかなり下降している。

先ず始めに、当時の仕事だった某青果市場の事務職を、上司からのパワハラ・セクハラで退かざるを得なくなった。
その後、当時所属していた派遣会社の担当に次の職場の斡旋を頼むも反応なし。挙句担当は何の連絡も無いまま他所の派遣会社にヘッドハンティングされてしまった。
仕方無しに別の派遣会社に登録、やっとの事で某通信販売業の倉庫にアルバイトで採用されるも、面接時に提示された条件とあまりにも異なる劣悪な環境と好い加減な担当者に「騙された」と気がつく。最終的には其処の職場も、腰を痛めた事で半年で追われる事となった。
その後も幾つかのアルバイトに従事したが、腰痛を抱えての肉体労働は容易な事ではなく、何処も短期間の内に退いている。

A氏と決別したのは丁度その頃である。
その後、紆余曲折を経て、今は都内の大企業に拾って頂いて足掛け4年目。
…落ち着いて見てふと気がついたら、仕事運の上下と、A氏との交友から決別までの時期とは奇妙に符合するのである。

聞いた話に拠ると、水商売に従事する人間には周囲の友人知人から少しずつパワーと言うか運気(中国語で言うところの「福気」と言う奴だろう)を吸収する事で自らの運気を上げたり、活力に転用する者が居るのだと言う。

A氏も若しかしたらそんな人間だったのかも知れない。
思い起こして見ればあの店の常連には、仕事の関係で心身ともに草臥れたり、或いは逆に望む仕事にありつけず不本意な仕事で糊口を凌いでいた人間が多くは無いが存在していたようにも思う。
…或いは全く偶然の一致かも知れないのだが。

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