見出し画像

ローレシア

古い御贔屓筋の方の中には、もしかしたらワタクシが嘗てドラゴンクエスト(以下【ドラクエ】)シリーズの二次創作を行っていた事を御存知の方もいらっしゃるのだろうか。

ドラクエ二次創作界隈から離れて随分経つ。
確か訣別を決めたのは四十路前半の頃ではなかったかと思う。
今思えば、元々あの界隈とワタクシはなるべくして訣別に至ったのでは無かろうか…そんな気がする。そもそも、当時ワタクシが描いていたドラクエ関連のイラストの8割は、ドラクエのエネミー…モンスターのイラストだったのだから、界隈で浮いてしまうのも無理はない。

何なら、当時付き合いがあったドラクエ二次創作のクリエイターでさえ、必ずしもワタクシを信頼してくれていたかどうか怪しいものがある。疑心暗鬼かも知れないが、疑念を抱く機会は少なからずあった。

ドラクエ二次創作界隈に入り浸って居た頃の記憶で、忘れられない内容のものがある。

CGクリエイターにして稀代の音楽家・平沢進さんが嘗て率いていたグループ(?)・P-MODELの名曲のひとつに【ローレシア】と言う一曲がある。

非常に難解な歌詞の歌だが、全体的に見ると、ヒロイックファンタジーのそれを綴っているかのような印象を受ける。

ローレシアの悲劇は
語られ続くよ
霧深く険しい
あの山の向こう

急ぎ行け目覚めた
選ばれし者よ
ローレシアの悲劇を
今打ち砕けよ

いずれも【ローレシア】より

ローレシアと言うのは古大陸の呼称で、パンゲア大陸がふたつに分かれた内の北半分を指す語である。因みに南半分の大陸がゴンドワナ。

P-MODELの楽曲の【ローレシア】は、間違いなく古大陸の方だろう。然し、一方でドラクエの二作目【ドラゴンクエスト2〜悪霊の神々〜】にも同名の大陸が登場するのだ(古大陸の方と関連があるかは不明)。
しかも、「急ぎ行け目覚めし選ばれし者よ」などと言った言い回しは、取りようによっては同ゲームの主人公達を暗喩するかのようにも見える。

平沢進さんや、同曲の作詞作曲を担当した小西健司さんがどれだけドラクエの事を存じているかは判らない。殊に平沢さんは俗世に全く興味が無さそうな方なのでドラクエのドの字すら知らないかも知れない。知らないであの詞が生まれたとすれば、実に奇妙な偶然もあったものである。

概ねそんな内容の記事を、嘗てMixiで公開した事がある。だが、周囲に居たドラクエクラスタの反応は冷ややかを通り越して嘲笑と侮蔑が混じっていた。

「単なる偶然に何興奮してるんだよ。バカじゃねぇの」

当時の反応の一部である。

この出来事があって以降、ワタクシは徐々にドラクエ二次創作界隈から距離を置くようになった。そして四十路始めに、完全にかの界隈から足を洗って今日に至る。

今でもたまに「もう一度テクパンのドラクエイラストが見たい」と要望を頂く事がある。だが、それは叶わぬ夢と諦めて頂きたい。
何しろワタクシと来たら、未だにP-MODELの【ローレシア】を聴く度にこの苦い思い出がフラッシュバックして、吐き気がする位に気持ち悪くなるのだ。
P-MODELの皆様には全く何の罪もないのに。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?