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「球体関節人形ー女と痛みの観点から」

慶應義塾大学文学部 美学美術史学専攻 二見遼 2022年度卒業論文

    • 2023年9月24日

       配属されて初めて、仕事を休んでしまいました。 仕事くらいはせめてしっかりとこなそうと思っていたのに、がんばりきれなかった。薄暗く、散らかった部屋で目覚めて、重く痛くままならない身体に絶望しながらちょこちょこと指を動かして休みの連絡をいれました。カーテンの隙間から射しこむ朝陽への、せめてもの顔向けとして部屋を片付け、シャワーを浴びて、泥のように眠って起きたら、責めるように爽やかな太陽はようやく沈んで暗くなっていました。  単身上洛して3か月が経ち、一般的には、さまざまなこと

      • 2023年7月25日

        鑑賞記録 「男はつらいよ」(第2話) 「凪のお暇」(最終話まで) 「カルテット」(3話) ニトリのカラーボックスを組み立て(2個はいらなかったかも) 炊飯(固くなりすぎた。冷凍したらぼそぼそになるかもと心配)

        • 2023年7月24日

           目が醒めたら、昨日よりもずいぶんと、指先までの意識がはっきりとしていた。 あまり眠らないまま、けたたましいアラームに叩き起こされたはずなのに、あのおそろしいつめたい沼からは、ひとまず逃げ出すことができた感覚がある。  今日は休日だったけれど、朝から先延ばしにし続けてきた自動車学校にようやく行ってきた。陽射しが熱く、熱く、しかし珍しくぬめりけのない純粋な暑さだった。いつか読んだ小説のなかで、誰かが「暑いって、いうより熱い(ねつい)って感じ」と言っていたことを思い出した。わたし

          2023年7月23日

           意識が混濁している。  今日は起きたときから、金縛りにあったように身体が動かなかった。 いや、金縛りというと、圧倒的な力にねじ伏せられて、藻掻けども動くことが叶わない、といったような硬質な響きがするけれど、今朝のはそれとは違っていた。 冷たくてやわらかい沼のようなものに四肢を取られて、込める力も気力も溶け出すような、ぬめった脱力だった。  何度も出勤をあきらめようかと思ったけれど、仕事は、仕事だけはきちんとしなければと、ない力を振り絞って立ち上がり、なんとかお化粧をして家を

          2023年7月23日

          【番外編】生活なんてもう、こーりごーりだぁ〜〜〜(泣)

           表題の件のとおりである。  他者よりもすこしだけ長い学生時代の終焉、社会人時代のはじまりとともに、わたしの一人暮らしもスタートした。 幸い、会社からの補助によって健康で文化的な最低限度の日常は保証されているけれど、そんなわたしの人生にも、恐るべき波が押し寄せている。  生活である。  生活とは、毎日出社し、おのれの下着やシャツを洗い、食料を調達し、毛並みを整える継続的な営みの全般を指す。 もちろん、現在に至るまでも社会の一員として、わたしは23年間生活をしていたのだが

          【番外編】生活なんてもう、こーりごーりだぁ〜〜〜(泣)

          日記 わた、し、の、「神々の土地」を受けて「Без названия」(2018)

          日記 わた、し、の、「神々の土地」を受けて「Без названия」(2018)

          日記 わた、し、の、「神々の土地」

           2022年7月28日  書き物にあたって、自然と芸術、もうすこし広く、人間の情動についてすこしばかり考えを巡らせた。もう一つ、わたしがずっと興味関心を寄せてきた、ロシアの大地と人民たちについて、思考の断片を記す。  大公女マーリヤ「最後のロシア大公女 マーリヤ」中公文庫 「父祖代々、ロマノフ家の者たちは、その偉業においても、またその失政においても、ロシアの栄光と国益を自分たちの個人的事情に常に優先させてきた。ロシアは、彼らにとって霊魂と肉体の一部であった。ロマノフ家

          日記 わた、し、の、「神々の土地」

          日記 わた、し、の、舞踏論

          2022年7月27日  自然と芸術との結びつきを考えるとき、土方巽の存在がふと、脳裏を過る。1959 年から 死の眠りにつく 1986 年までを、極限まで痛めつけられた肉体を躍動させる「舞踏」に捧げた人間のことだ。彼の作品は、常に死と生命(性)、自然と肉体の破壊に目を向けて作られ ていた。例えば「疱瘡譚」「へそと原爆」などは、そのテーマを顕著に表している。   土方と職業、時代を同じくした笠井叡は、東北の震災で数多の人命と人々の財産を奪った津波を指して、しかし「あの津波を美

          日記 わた、し、の、舞踏論

          日記 わた、し、の、地下帝国

           2022 年 7 月 26 日 朝   バケツをひっくり返したような大雨が降っている。手入れを怠って生い茂った雑草が、水を吸って艶めく。庭先のやわらかな土はしたたかに打ちつけられる雨粒によって、ふわりと盛り返され、青臭い葉の匂いと生の土の匂いがたちこめている。地表からどれほど掘り進めれば、ミミズに遭遇するだろうか。わたしはミミズの容姿が大の苦手だから、できることな らば一生彼らとは顔を合わせたくないけれど、それでも健やかに生きていればいいな、と思う。幼い頃、よく地中にはわ

          日記 わた、し、の、地下帝国

          2021年 9月9日

          つひに自由は彼らのものだ 彼ら空で恋をして 雲を彼らの臥所とする つひに自由は彼らのものだ つひに自由は彼らのものだ 太陽を東の壁に掛け 海が夜明けの食堂だ つひに自由は彼らのものだ つひに自由は彼らのものだ 太陽を西の壁に掛け 海が日暮れの舞踏室だ つひに自由は彼らのものだ つひに自由は彼らのものだ 彼ら自身が彼らの故郷 彼ら自身が彼らの墳墓 つひに自由は彼らのものだ つひに自由は彼らのものだ 一つの星をすみかとし 一つの言葉でことたりる つひに自由は彼らのものだ つひに自

          2021年 9月9日

          宝塚愛の巡礼

          男役・美弥るりかの最後の日が終わった。 わたしが美弥さまと出会ったのは、2017年3月、友人にチケットをもらって観劇した「グランドホテル/カルーセル輪舞曲」だった。 宙組のエリザベート以降、2回目の観劇だ。 当時わたしは宙組以外のスターは全く知らず、かろうじてトップコンビの名前と顔が一致するくらいだったから、その公演が月組トップコンビお披露目、つまりは美弥るりか二番手お披露目の記念すべきものだということも知らずにいた。 はじめて聞く珠城さんの開演挨拶。 老舗のホテル

          宝塚愛の巡礼