人材は「材料」ではない

「人材」という言葉がありますが、決して「材料としての人」ではなく、もともと「人才」だったらしいです。辞書にも「才能があり、役に立つ人。有能な人物。」などの意味が書いてあります。

ところが経営者サイドではどうしても「材料」視点で従業員を見てしまいがちです。これは人材が常に流動しているため、部署によっては担当業務の属人性が強くなり過ぎると困る場合に替えが効くように組織づくりをするからです。つまり人をパーツとして見てしまうのです。

担当者が辞める、またはまもなく辞める → 新しい従業員が入る → 教育する、または引き継ぐ → 業務が回るようになる
というサイクルを一定回数繰り返しているうちに、「辞めても替えが効く」ことになり、教育や引き継ぎ作業をひっくるめて、人が部品になっていくのです。木材を製品の原料に使っている場合と同じですね。木材を仕入れたらしばらく寝かせて(十分乾燥させて)から加工し、一定の形に揃えてから製品として組み上げていく。

私は上記のうち「教育」を担当しているのですが、残念ながら人に関しては同じ教育をしても同じ人材が生まれるわけではありません。一人として他の人とは同じになりません。パーツにはなってくれないのです。血が通った人間なら当たり前、ですよね。

でもマネジメントサイドの視点では、教育の成果をなるべく均質化して欲しいと思うのはこれも人情です。気持ちはわかりますが、人間相手の教育でそれを求めるのはあまり意味がない、と私は考えます。

エンジニアは替えが効かない、人が入れ替わったら仕事の仕方が少しは変わる、一度うまくいったからといってずっとそのやり方に固執しない、新しい人材の入社は良い方向へ変化する絶好のチャンスだ、と経営サイドは考えるべきです。そうしないとエースの人材を無理やり同じ業務に縛り付けることになり、結果としてそのエンジニアのモチベーションを下げ、いずれ会社から去られてしまうでしょう。

良いエンジニアチームは強いサッカーのチームと同じです。エースストライカーが抜けた代わりに強いディフェンダーと長身で俊敏なゴールキーバーがチームに加入してきたら、作戦やプレースタイルも変わるのが自然です。
エンジニアの脳がフル回転して付加価値の高いシステムを作れる組織は、自走するエンジニアの集団です。走る方向は人それぞれです。人材が変われば組織も仕事の進め方も変わっていきます。100の組織があれば、100通りのプロジェクトの進め方があるはずです。

Tech Hospitalityではエンジニア一人一人の話をみっちり聞いて、その組織の個性、特徴をCTOと共有していきます。開発チームの組織作りに大いに役立ちます。


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