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【トイレ史④】水に流すことの快適さ(奈良時代~)

トイレの異名は多く、便所、厠(かわや)、雪隠(せっちん)、御不浄など方言や隠語を加えると多彩な表現がある。それらの言葉の中で「厠」は川の上にトイレを作り、排泄物を流し去る「川屋」から生まれた言葉である。つまり、水洗式トイレだ。水に恵まれた日本の風土から考えると、ごく自然な発想でつくられたトイレといえる。水洗式トイレの歴史は古く「古事記」や「万葉集」にも存在が記載されている。
 水洗式トイレとして有名なのは、和歌山県の高野山にあったトイレであろう。816年に空海によって開山されて以来、真言宗の霊場となり金剛峯寺など一群の寺院がある。この地の僧帽や民家は、水洗式トイレだった。川や井戸の水は竹筒などを利用して、まず台所や風呂に給水され、その余り水や排水がトイレへと流され屎尿と共に隠所川に流されるようになっていた。


『参考資料』
https://www.kkr.mlit.go.jp/river/oyakudachi/qgl8vl0000000fne-att/sarasa85.pdf
 

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