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北海道温泉手形で絶景キャンプ&秘境駅

 北海道を車で旅する温泉好きの方に、買っていただきたい雑誌があります。月刊の北海道総合情報誌「HO(ほ)」です。毎月、道内各地の観光やグルメ情報を深堀りしているこの雑誌。巻末に日帰り入浴できる温泉施設の半額割引券や無料パスポートが付いているのです。


 掲載している無料施設は毎月6~10カ所ほど。札幌からは離れた場所であることが多いのですが、旅をすれば数カ所は立ち寄ることができます。札幌周辺も含めて20カ所近い半額クーポンも付いてきます。2024年現在、雑誌の価格は770円ですから湯巡りを2カ所以上楽しめば価格以上に得できることになります。
 8月号には室蘭などがある胆振管内に2カ所の無料施設がありました。北海道に暮らして30年余り。「まだ足を運んだことのない秘境駅があったな」。そんな思いから小旅行は始まりました。

 午後に札幌を出て約2時間。中山峠を越えて向かった壮瞥(そうべつ)町の長流(おさる)川沿いに、最初の目的地「ばんけい温泉 湯人家(ゆのとや)」はありました。

 10組程度が宿泊できる宿で、パスポートを見せると入浴料500円が無料に。風呂場はこじんまりとしながらも、川沿いに露天風呂もあり、源泉かけ流しの湯あみを楽しませてもらいました。風呂場を出たところに、美味しい水もいただける休憩所もあり、満足度は高かったです。 

 夜も更けてきたので、ロングラン花火大会を開催中の洞爺湖を通り、本日の宿泊地へ向かうことに。毎日15分間だけの打ち上げですが、湖上花火は見ごたえがありました。

 さて、今夜の目的地は伊達市の「アルトリ岬キャンプ場」。噴火湾に突き出したアルトリ岬の先端にある無料キャンプ場です。午後10時近くになってたどり着くと、キャンプをしているのは3組だけ。
 オートキャンプ場のように車を横付けしてテントを張れる貴重な無料キャンプ場で、車中泊にするか迷いましたが、気持ちよさそうなテント泊を選択しました。


 この日はやや曇り空でしたが、天気が良ければ夕日に満点の星空、そして朝日と、抜群の景色が楽しめるようです。
 朝を迎えて、改めてこのキャンプ場のロケーションの良さに気付かされました。目の前に海、反対側には有珠山、遠くには羊蹄山を望むことができます。

 キャンプサイトも入り組んでいて、私がテントを張った高台だけでなく、駐車スペースから荷物を持って下れば、海を間近に見られる秘密基地のような場所もあり、何度も訪れたくなるキャンプ場でした。

 トイレが古く、水洗式でないのが難点ですが、車で数分走れば「道の駅」もあるので良しとしましょう。何せ無料なのですから。

 午前中は穏やかな晴れ間が広がったのですが、午後から雨が降るとの予報が出ていたため、日本一の秘境駅とされている室蘭本線の「小幌駅」へ急いで歩を進めました。
 小幌駅は、アルトリ岬から一路西。隣接する豊浦町の西端の山間にあります。


 国道沿いの礼文華トンネルを抜けたすぐ脇に車を停めて歩くのが唯一のルート。車両通行禁止の看板横には新調されたばかりの「熊出没注意」看板が立っており、一瞬身構えました。

 熊鈴を付け、沢を何度か越えながら山道を下ること約20分。2つのトンネルに挟まれた、約80メートルの隙間にホームはありました。

 戦時中の1943年、国鉄が列車同士を行き違わせるための信号場として設けられた駅であるため、周囲に民家や道路はありません。
 クマとの遭遇に注意を払わなければ行けない駅は全国を探してもここだけかも。駅には「スズメ蜂注意」の看板もあり、無事たどり着いても気は抜けませんでした笑 

 ホームに置かれたプラスチック製コンテナ内の駅ノートに思いを書き込んでいると、特急列車が通過するアナウンスがあり、あわてて映像に収めました。
https://www.youtube.com/watch?v=SqjAZMUabOg

 「そうか、函館行の特急北斗に乗って何度もここを通っているんだな」と改めて感慨にふけりました。

 来た道を引き返します。今度は登り道を再び20分間。駅が谷の下にあるので、登山とは逆の行程です。車に戻るころには汗がまとわりつき、温泉に浸かりたくなってきました。 そこで向かったのが、同じ豊浦町内にある「天然豊浦温泉しおさい」。昭和の終わりから平成初めにかけて、各自治体に1億円が配られた「ふるさと創生事業」で町が調査を行ったのを機に温泉掘削が進み、2002年にオープンしたようです。

 ここもパスポートを見せると入浴料600円が無料に。有難いです。
 大型施設だけあって、露天風呂はもとより、サウナに水風呂、ジャグジーもあり、長湯を楽しみました。脱衣場とは別にパウダールームも備えられており、女性の満足度も高いのではないでしょうか。
 雑誌「HO」を携え、今回は一泊二日の旅を楽しみました。次回は道北や道東を巡る長旅に出かけてみようと思います。


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