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iPad Pro M4は究極のハードだが…

Appleが先日iPad ProとiPad AirとApple Pencilの新製品を発表しましたね。円安の日本人には相当高嶺の花なマシンになってしまったのが悲しいところですが。

ProにはMacBookにもまだ搭載してない最新プロセッサーのM4を搭載してきたのには驚きましたし、薄さと軽さに磨きがかかっています。このクラスになると、ほぼ究極のハードウェアになったと言ってもいいかもしれません。Steve Jobsも天国で喜んでいるでしょう。

MacBookの置き換えになるか?

ただ、残念ながら、依然としてオフィスワーク的な仕事にメインマシンとしては使えないと思っています。すなわち、MacBookの置き換えの位置を占めるのはまだ先でしょう。もちろん、仕事ではなく個人的な用途での情報閲覧やクリエーターとしての仕事(特にペンを使うような)には良いことは間違いありません。

では、以下ではiPadがオフィスワーク的な仕事で使えないとなぜ思うにいたったのかを、Stage Managerを使ってみた体験から述べたいと思います。ちなみに、比較としては、M1 chipを搭載したMacBook AirとiPad Airで行いました。また、仕事環境として外部ディスプレイを接続することを前提としての評価となっています。

アプリの出来の問題

一般人が期待するのは、MacBookでやっているオフィスワークがそのままiPadで違和感なくできるということだろうと思います。たとえば、MS Office、クラウドドライブへのアクセス(iCloud drive, Google drive, OneDrive, Box, Dropbox, など)、SlackなどのTeam Communicaiton Tool、Zoomなどの会議ツール、などです。あと、一般的なブラウザの利用でしょうか。

実際のところ、上で挙げたツールはiPadにもあるので、使えることは使えます。ただ、細かな点で違いがあります。

  • Box: boxnoteで表を作ったり編集ができない。(ブラウザ版ではできるが、iPadOSだとブラウザからログインするとAppに飛ばされる。)

  • Gmail: 署名が一つしか使えないので、宛先により署名を変えることができない。たとえば、日本人には日本語の署名、外国人には英語の署名にしたい。(ブラウザ版では複数の署名を切り替えられる。)

  • Slack:リアクションの上にマウスを持ってきても、誰がそれを押したか出ない。(MacOS版では見ることができる。)

  • ブラウザ: なぜかどのブラウザでもブックマークバーを出すことができない。ブックマーク一覧をポップアップで表示するスタイルになっている。これは微妙に手順が増えて使いづらいです。

要するに、MacOS版とiPadOS版のアプリで出来具合に差があるものが多いのです。こういう違いは他のアプリでも色々あるでしょうし、大きな要因ではないと考える方もいると思います。ただ、個人的には、こういう微妙な違いが仕事で使うとなるとストレスになるんですよね。この辺は、時間が解決するかもしれませんので、気長に待つしかありません。が、逆にいうと、仕事で使う多くのアプリでこの辺の差がほぼなくなるまで、仕事向けとは言い難いということになります。

Stage Managerにまつわる問題

iPadのApple Siliconを使ったモデルでは、Stage ManagerというWindow Systemが使えます。これで仕事にも使えると思った方々も多いでしょう。私もそうでした。でも、色々触ってみましたが、まだ、難しいと思います。

そもそもiPadOSはマルチタスクを後からできるようにしたというMacOSとは出自の違いもあると思いますが、アプリの切り替えや表示など全体的にMacOSと比べるともっさり感があります。

ブラウザで表示されるのがモバイル向けページになるものがあったり、アプリによって、フォントサイズがバラバラなケースが多いです。全体としてLook&Feelに統一感がないケースが多々見受けました。

さらに、Stage Managerで使う外部ディスプレイに表示がうまく対応できてないアプリがいくつかあることに気づきました。仕事系のアプリではないですが、Google Photo Appは起動するとiPad画面にメインウィンドウが出ますが、なぜか外部ディスプレイにGoogle アイコンがあるウィンドウをフルスクリーンで表示します。なので、外部ディスプレイ側がまったく使えない。じゃぁ、iPad側に出ているGoogle Photoのウィンドウを外部ディスプレイに持って行っても、残念ながら何も表示されません。もうひとつ、povoのアプリも同様の振る舞いです。もっともpovoのアプリはiphone向けのものですが。このあたりのアプリの挙動は、時間が経つにつれて改善されていくと思いますが。

Appleにお願いしたいこと

iPadOSは、タッチ操作やペン操作を前提に作られているので、MacOSと同様のExperienceを提供するのは、中々難しいだろうと想像します。

そこで、Appleにお願いしたいのは、iPadでのMacOSのサポートです。Dual Bootでも全然良いですし、タッチ操作やペン操作はできなくて構いません。純粋に今のMacOSがiPadのハードで動いてくれれば良いのです。

だって、iPad Pro M4のほうがどのMacBookよりchipのスペックは良いわけですからね。ハードウェア的にはできないはずはないと思うのです。もちろん、ハードの細かな違いはあるとは思いますが、MacOSをiPadに対応させるのは、iPadOSをMacOSライクにするよりも簡単なはず。

ただ、容易に想像できるのは、こうしてしまうと、MacBookのラインは売れなくなり、iPadラインがAppleのメインになり、MacBook系は売り上げが減ることになります。いわゆるカニバリゼーションです。Appleとしては短期的に売り上げが落ちるこういう意思決定はできないんでしょうね。

でも、もしSteve Jobsが生きていたら、そういう決断をしていたのではないかと夢想したくなります。だって、Steve Jobsが作りたかった究極のハードウェアらしきものがiPad Pro M4のフォームファクターで出てきたんだと思うからです。彼なら、むしろそれ一本に製品ラインを統合するという大鉈をふるったのではないでしょうか。そうすることで、コスト削減にもつながるでしょうし。

もし、そうできるのであれば、MacBookは、実はiPad+専用キーボード+MacOSのセット売りの名前になるということにしてしまえばいいのではないでしょうか。

iPadとMacBookの将来が楽しみです。

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