梅雨の洗濯物
梅雨って、もちろん大切で必要な時期なんだけど、やっぱり洗濯物が乾きにくいことが、つらい。
だからといって、雨が降ったからって、洗濯物をしないわけにはいかなくて、するんだけど、次の日にカラッと晴れてしまうと、ああ、昨日は洗濯しないで今日まとめてすればよかったなんて思ったりする。
だけど。
なんか、急に、「昨日の洗濯物」の声が聞こえてきた気がした。
「今日の洗濯物」に嫉妬してる愚痴にも似た声が……。
「今日の洗濯物」はただ外に干されているだけで、太陽とか風とかに味方されて、カラッと乾いてさ、「わーよく乾いている! やっぱり、晴れた日に洗濯すると気持ちいい」なんて言われるのさ。
その一方で、「昨日の洗濯物」の僕はさ、部屋の中で、乾かないなりにさ、「どうか少しでも乾きますように。臭くなりませんように」って祈りながら、ちょっとした風とかに助けられながら、どうにか、なんとなく湿っているけど、まあいいかくらいに乾くわけさ。
それなのに、「あーやっぱり今日まとめて洗濯すればよかったかなー」なんて言われちゃうとさ、がっくりなんだよね。
そんな声が聞こえてきた気がして、なんとも申し訳ない気持ちになってしまった。
「昨日の洗濯物」にも、「今日の洗濯物」にも罪はない。
そんなこと言ってる今だって、さっきまで燦々と照り続けていた太陽が厚い雲の中に入って、急に薄暗くなっている。
「今日の洗濯物」だって、「思い切って干した布団」だって、少し先の未来はわからない。
また、太陽が出てくるかもしれないし、この先曇りになってしまうかもしれない。
そんな綱渡りしながら、私たちの生活に必要な梅雨と共存しながら、今日も洗濯しながら過ごしていくのだ。
自分の努力で変えられるものと、変えられないものがあって、変えられないものに対しては、少しの幸運に感謝しながら生きると、ちょっと楽しいかもしれない。
「昨日の洗濯物」にも、「今日の洗濯物」にも「思い切って干した布団」にも、太陽にも、雨にも、感謝してみよう。
もしも、今日、しっかりと乾いてくれたら、それはきっと当たり前ではなく、ありがたいことなんだ。
そのことに気づかせてくれた「昨日の洗濯物」にも、ありがとうと言いたい。
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