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真のダイバーシティにつながる働き方とは? / 第8回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告

2020年9月23日水曜朝9時からの第8回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting。
66名ほどの方にご参加いただきました。
いつもの通り、このうふふ*の企画を立ち上げたinitiator4人(石川淳哉さん・島田由香さん・箕浦龍一さん・関龍彦さん)の挨拶から始まりました。

関龍彦FRaU編集長からは、この日の「働き方の新しい波」でお話いただく白河桃子さんの、2012年に講談社+α新書から出版された『妊活バイブル 』に関連する話題が出ました。

「妊活」という言葉は、もともとFRaUの特集から生まれた言葉で、この『妊活バイブル』が刊行された2012年から、妊活という言葉が一般化してきたとのこと。

多様な働き方が真のダイバーシティにつながる

前半の「働き方の新しい波」コーナーは、「なぜCMは炎上するのか?多様な働き方とアンステレオタイプ」というテーマで、白河桃子さん
(昭和女子大学 客員教授・相模女子大学 大学院 特任教授・東京大学 大学院情報学環客員研究員)からプレゼンいただきました。

数年前から「働き方改革」が進められ、この4月には働き方改革関連法が中小企業にも適用されるようになりました。この夏に予定されていた東京オリンピック・パラリンピックの期間に都内のオフィスに出社せずテレワークする準備が整えられていた中、新型コロナによる強制的な在宅勤務をとる会社も増えました。結果として、テレワークをする人たちが増え、仕事だけでなく生活も重視したいと考えたり、住む場所も都心ではなく、地方でもよいのではと考える人が増えてきました。今はちょうどコロナによるテレワークの経験をした人が、働き方に意識を向けだしたタイミングといえます。

多様性は多様な働き方に宿る。
働き方が変わることが、真のダイバーシティにつながっていく。

白河さんは、民間企業のCMや地方自治体の動画やパンフレットを振り返られました。そのうえで、それを見た人が違和感を感じて、「CMの炎上」にいたった事案や、物議をかもしたパンフレットの多くは、CMや動画・パンフレット制作の決定に意思を反映できる人が限定されているためではないかと分析されました。

国際的な流れとして、ジェンダーの観点から、The Unstereotype Alliance(アンステレオタイプアライアンス)についての紹介もありました。これは、あらゆるメディアと広告のコンテンツにおいて有害なジェンダーに基づく固定観念を撤廃するための思考と行動のための国際的なプラットフォーム(基盤)です。この5月にアンスレテオタイプアライアンス日本支部が、UN Women(国連女性機関)日本事務所により、立ち上げられています。


ステレオタイプ(英: Stereotype)とは、多くの人に浸透している先入観、思い込み、固定観念をいいます。ステレオタイプはとらえ方によっては、差別につながるリスクもあります。

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固定概念が、人間の行動に強力な影響を与えることをステレオタイプ脅威とよびます。固定概念を植え付けらえた後だと、どうしてもその固定概念に縛られた行動になりがちだという調査も出ています。

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ステレオタイプに従った考え方で物事がすすめられることは、今もさまざまなところで行われています。加えて、企業や自治体で意思決定をする層に多様なタイプの人の意見が反映されることは難しいことが多いです。

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法律や制度は国がつくっています。しかし、そもそも国の風土はメディアがつくっている側面があり、メディアが果たす役割が大切となっています。

メディアによるコンテンツに多様性をもたせるには、次のような視点をもつことが必要ではないかと思っています。

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そしてメディアに限らず、様々な職場にあてはまることですが、
真のダイバーシティにつなげるには、
・多様な働き方をして
・同質的なメンバーだけで動かない
・ステレオタイプにしばられない
ことをが大切です、と白河さんは締めくくられました。

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今回は広告に関するテーマでもあり、石川さんが関編集長にFRaUの場合はどうしていますか、との質問がありました。

関さんはガイアの夜明け(テレビ東京系)を見ることが多いそうで、そこで流れているコマーシャルについて、自分たちの企業が素晴らしいと酔っているようなコマーシャルが多いように感じますが、それはコマーシャルの内容をチェックするところがないためなのかなと思っていますと話されました。

それに対し、FRaUでは各パートナー企業の方にインタビューしながら、「共創」しています。その都度その都度、そのパートナー企業と一緒にスペシャルに作る感じです。テレビを見るときにコマーシャルを飛ばしてみないようにできるのと同様のに、雑誌の広告ページを読み飛ばす方もいらっしゃると思います。FRaUでは、読み飛ばさずに一つのコンテンツとして読まれる広告ページをパートナー企業とつくりあげるように努めています、と関編集長は、FRaUでの工夫を披露くださいました。

ダイバーシティの問題は、ジェンダーの側面だけでなく、もっと広い意味で多様性の話として考えるべきです、と箕浦さん。女性が活躍できない組織は、男性の役員も活躍できていないのでは、と考えています。

シニア社員のモチベーションの保ち方

後半のお悩みコーナー。
今回のご相談は、青木千恵さんからです。

【今回のお悩み】
55歳でシニア社員になる道がありますが、それまでに比べて給与がかなり下がります。シニア社員のモチベーションをどうやって保つか。年齢のバイアスとどういう風に整合性をもたせるかについて、お伺いしたいです。

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人事を担当し、企業の人事制度を決める立場にいるので、まず私から回答いますと、島田さん。この制度のもとでモチベーションを保つのは無理だと考えています。それまでの待遇よりも給与を下げているところからして、モチベーションをなくすようにしている制度ともいえるからです。
これはいわゆる役職定年というもので、よくあるのは55歳を区切りとして一般社員になり、それまでに比べて給与が落ちるという制度です。
その人がどのくらい企業に貢献できるかどうかは、年齢では決まらない。たとえば80歳で現役でジャーナリストとして活動している私の父を見ていてもそう思います。年齢で変わるのはおかしいと思う。役職定年は今の時代に合わなくなっています、と島田さん。

アンコンシャスバイアスの点から、年齢の高い人に対する偏見が日本企業の中にあるということにも気づかされました、と白河さん。偏見があることに気づいて、それでいいのかということを問いかけることが大切ですね。

箕浦さんからは、以前の学生さんのお悩みの時にも少しふれましたが、人として生きていく軸を大事にしていくべきです、とお話されました。

関編集長の編集後記

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今日の白河さんのお話の中で、「法律や制度は国が作る。しかし風土はメディアが作る」というお話がありました。
私は編集者として30年以上やってきています。最初はViVi(ヴィヴィ)という女性誌を担当していました。その頃は、ViVi(ヴィヴィ)の後に男性ファッション誌をやる。最後にユニセックスの雑誌をやりたいと夢を語っていました。残念ながらその後、ホットドッグ・プレスやチェックメイトといった男性誌がなくなり、男性誌を担当することはかないませんでした。

でも、私は今、FRaUでユニセックス、ジェンダーのない雑誌をやっていると思っています。本屋さんの棚で並ぶのは女性誌のところで、女性誌という枠はつくっていますが、女性にも男性にも読んでいただきたいです。女性には、自分たちの賢さ・しなやかさを再確認にしてほしいと思って届けています。男性にもそういったことを身に着けてみようと気軽に手に取ってほしいです。

FRaUは女性誌だけど、日本人誌、世界人誌、地球人誌です。本を買ってもらうことだけではなく、このミーティングをやっていることだけでもメディアの価値があると信じています。この水曜朝のミーティングに参加している皆さんと一緒に、FRaUの働き方号をつくっていけるとしたら、ぜひ働き方を軸にした地球人誌にしていきたい。そんな気持ちでうふふ*に臨んでいます、と関さんは思いを語られました。


今日も水曜日の朝に、スイッチの入るいいお話をきけました。皆さんの中で感じたことを、これからも深め、拡げていきましょう、と石川さん。

最後はG2さんの掛け声で、うふふ*のポーズで締めくくられました。

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明日9月30(水)朝9時からの「働き方の新しい波」は、「軽井沢・東京の2拠点生活」について堀真由美さん(パソナ)にお話いただきます。

後半のコーナーは、参加者皆さんのお悩みの相談をうかがえればと思います。悩みはその人だけのものではなく、みんなのヒントにもなるからです。

お申込みまだの方はこちらから

FRaU WFH*(うふふ*) Meetingは、毎週水曜日朝9時から10時。お時間取れるタイミングで、ぜひご参加ください!


文:宮崎恵美子

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第0回(2020年7月29日レポート):WFH*については、こちらでご覧ください。
https://note.com/teamwaa/n/n22a021812f1d

WFH*の読み方は「うふふ」 / 第2回FRaU WFH* Meeting開催報告(2020年8月12日レポート)
https://note.com/teamwaa/n/n18a7a94ee6fc

政策につながる組織のミッションとして行えたからこそ、環境省の「選択と集中」プロジェクトは成功した / 第3回FRaU WFH* Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n1b74d08d63dc

ロンドンで、日本の「働き方」がすべてではないと気づいた / 第4回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n72e227a57b21

ワーケーションで、人や自然に感謝し、幸せを感じられるようになろう! / 第5回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n0bf44fc20fda

"はたらく"に歓びを 誇りを持てる仕事をしていこう ! / 第6回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n54aeaf037d4f

自分の得意なこと・やりたいことでキャリアを築くには / 第7回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n4529ab67eb37












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