帰国後のとん汁

『極夜行』という本を読んだ。極夜という、一日中太陽が昇らない極夜という状態の極寒の日々を、ひたすら犬と旅するというノンフィクションだ。
真っ暗闇の中での冒険の話は、一人旅が好きな私にはとても面白かった。

極夜に終わりが来て、太陽を浴びる描写がある。ただ太陽を見るだけなのに、浴びるだけなのに、声が出るくらいに興奮して、幸せを感じる著者。何日も真っ暗闇のなかで過ごしていて、見えた光は、どれほどの幸せだっただろう。

そんな大冒険ではないけど、自分が長期一人旅をした事を思い出した。3ヶ月、4ヶ月くらいの旅の後、実家でとん汁を飲んだ。
びっくりするくらい美味しい。ああ、帰ってきたんだ。家だ、とん汁だ。
この振り幅が、幸せを感じさせる。
日本食が食べたくても、国によってはなかなかないし、あっても、やっぱり日本で食べるものとは微妙に違ったりする。
また、実家の味というのは、やっぱり格別だ。
美味しさの他に、感謝とか、優しさとか、色々なものを感じる。

幸せを感じるのキーワードに「振り幅」はあるなと思った。刑務所を出て、はじめて食べたごはんとかも、美味しいだろうなぁ。

長い旅を終えた後の実家のごはんも、旅の大きな醍醐味だなぁ。

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