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B.B団春の酒宴企画🌸🍶

 コロナ禍で自粛生活を強いられている今日この頃、宴会をするにも大人数で盛大に、という訳にはいきませんよね。
 B.B団の不定期会合もオンライン開催が多く、時間的にも居住地的にもなかなか現地へ集まることが難しいです。
 そこで自粛期間のうちに身の回りの物事の雑学・教養を増やして「お一人様時間」を満喫しよう、というのがこの企画の発想源です。

 今回のテーマは「お酒」。🍶
 企画自体はとてもシンプル。団員が各自好きなお酒の歴史について好きな角度から調べ、実際にそのお酒を味わってみるというもの。飲む人、飲まない人のあるお酒ですが、ビールもワインも古代から存在するなど人類史と密接な関係があり、特に種類豊富なカクテルには「お騒がせ」な歴史上の人物の名前が付けられているものが複数あります。

 実は企画者自身お正月以外にお酒を飲む習慣がほとんどありません。実際に味わうというよりはお酒の種類や名前の由来を学べたら~という気持ちで始めましたが、この記事を公開する頃には酒好きに転じているかも⁉︎

 またせっかく色々調べるならば、と国内外のお酒の種類や製法の違い、日本史・世界史における「酒」の明暗エピソードを幾つかまとめました。これからお酒に詳しくなりたいと思っている方や既に酒遍歴が長くさらに教養を深めたい方、是非B.B団と一緒に学べる酒宴を楽しみましょう。🍶

 そういえば今年度4月1日から成人年齢が20歳から18歳に引き下げとなりますが、飲酒・喫煙の年齢制限は相変わらず20歳以上のままですので、「新成人」の皆さん、浮かれて違法行為に走らないように(笑)。

企画:お酒×歴史〜B.B団barへようこそ🌸〜

B.B団員が古今東西のお酒の中から、興味のあるお酒をチョイスし、その歴史について調べました📝
それでは、いざ乾杯🍻

©︎team_B.B
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1.お酒の種類

A.製造方法・原料・度数別お酒の分類

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*分類表(カッコ内の数字はアルコール度数の平均)

B.カクテルの分類

*種類豊富なカクテルの分類(カッコ内の数字はアルコール度数の目安)

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2.お酒の明るい歴史・暗い歴史
ー世界史B・日本史Bをお酒で学ぶ!

 お酒の分類を学んだついでに背景史にも触れておきたいと思って、明るい歴史・暗い歴史という形で起源やそのお酒を象徴するような出来事をまとめてみました。

A.お酒の明るい歴史

🍶日本酒を支えた寺院:

 日本で独自に生み出された日本酒ですが、その転換期に重要な役目を担っていたのは民間の酒蔵よりもむしろ従来禁酒の戒律が厳しい寺院でした。中世の神仏習合思想の影響で、儀式に酒を用いる神社との隔たりが狭まったためと考えられています。鎌倉時代には寺領荘園からの年貢が酒造りを支え、14世紀の経営難も「僧坊酒」の展開で乗り越えられたのだそう。「酒屋の酒」が一般大衆向けに大量生産された一方、「僧坊酒」は支配階級を顧客に高品質の酒の開発に努め、今日の日本酒の手法の原形となる「諸白」(もろはく)造りに繋がったのだとか。


🍺「食べられるお金」としてのビール:

 ビールは穀物が豊富に栽培できたメソポタミア、エジプト両文明で「食べられるお金」として普及しました。メソポタミアのシュメール人は宗教儀式で同じ器のビールを複数人でストローを差して飲み、エジプトではピラミッド建築に関わった労働者に賃金としてビールが振る舞われました。エジプト神話には、太陽神ラーが女神ハトホルを大量のビールで酔わせて人類虐殺を忘れさせたという逸話があり、ハトホルはビールと醸造の女神とされています。

🍷ワインの始まりと旧約聖書:

 ワインの歴史も古く、新石器時代にザグロス山脈(イラン南西部)で作られました。旧約聖書で洪水を逃れたノアがこの近くのアララト山の傾斜地に最初の葡萄畑を作ったと考えられています。紀元前9世紀になり、取引量・生産量が増加し庶民にも普及していきましたが、限られた生産地と傷みやすい性質のためビールよりも高価だったのだそう。

🥃アメリカ独立戦争を彩るラム酒:

 ラム酒はアメリカ独立戦争と強い結びつきがあります。当時砂糖法(ラム酒の原料である糖蜜の輸入に課税し密輸入の取締を強化した)に不満を抱いていたアメリカ植民地の市民が、ニューイングランドのラム酒造業者を筆頭にイギリス領からの輸入のボイコット運動を始めました。イギリスから独立しようという世論が蒸留所や酒場を舞台に動き出し、ラム酒は戦争中のアメリカ兵のお気に入りの飲み物として活躍したのだそう。

B.お酒の暗い歴史

🍶第二次世界大戦下の日本酒:

 日本酒の危機は戦時中に訪れました。日中戦争、第二次世界大戦の中、主食の米の節約のため酒の官僚統制が始まったためです。それまで酒造りに使われていた米の1/3が国民に排出され、酒の生産量も統制前の約半分に抑えられました。結果、酒不足から水増しのいんちき酒が流行し、「金魚酒」(金魚が泳げるほど薄い酒)や「むらさめ」(街で飲んだ酒が村に帰る前に冷めるほど薄い酒)などと呼ばれました。

🍷奢侈品、キリストの血としてのワイン:

 ワインの選択が原因でローマの政治家マルクス・アントニウス(第二回三頭政治でカエサル後継の座をオクタヴィアヌスと争って負けた人物)は死に追い込まれました。権力闘争の敵の派閥の兵士から逃げるため身を隠していた家で、主人がアントニウスのために高価なワインを買い求めたことで居場所がばれ、首を刎ねられたのです。
  またキリスト教が始まると儀式でワインの需要が増した一方、禁酒を定めるイスラム教との対立が深まりました。イングランドなど葡萄の栽培が難しい北ヨーロッパでは、ワインの代わりにビールと蜂蜜酒が主流だったそう。

🥃蒸留酒と奴隷貿易:
 
   蒸留酒は錬金術によって生み出され、植民地時代の歴史に暗い影を落としました。蒸留法自体は古代メソポタミアに起源を遡ることができますが、ワインの蒸留は8世紀にアラビアの錬金術師によって初めて行われました。アルコールの語源が、錬金術師が高度に精製された物質全般を示すのに用いた言葉に由来するように、錬金術と蒸留酒の結びつきは現代にも継承されています。蒸留酒は大航海時代の奴隷貿易の潤滑油で、これがなければ交渉に乗ってもらえないほどアフリカの奴隷商人に人気の商品でした。またイギリスの入植者によってサトウキビ生産が始められたカリブ海のバルバドス島では、アフリカからアルコール飲料の製法も伝わりました。そしてこの地で「キル・デビル(悪魔殺し)」と呼ばれる、強くて味の悪い酒が生み出されたのです。

3.参考文献

◆webサイト

YOIYO「お酒にはどんな種類がある?もっとお酒を楽しむための基礎知識を紹介」

◆書籍

『世界を変えた6つの飲み物』トム・スタンデージ著、新井崇嗣訳、インターシフト社、2007年.
👉宗教、奴隷貿易、冷戦など意外な歴史と飲み物がリンクしていて面白い一冊。

『日本酒の世界』小泉武夫著、講談社学術文庫、2021年.
👉海外で日本酒が熱い現在、製法や歴史、行事、酒器など「文化」としての日本酒を学ぶのにオススメの一冊。

©︎team_B.B

後書き

 ここまでお読み頂いた読者の皆さま、ありがとうございます!🙇‍♀️
 実はお酒に興味を持ったきっかけは大学のサークルの飲み会で、いざアルコール・ドリンクを頼もうという時に度数の目安も種類も分からず困った経験があるからです(笑)。
 その後色々調べて自分で納得して放置しておいた記憶をB.B団で企画として掘り起こすことで、多くの人に発信・共有できる機会を得て嬉しく思います。(アルコール度数などまとめた分類表は、飲み会の時に注文選びで困った時などお役に立てるかと思います)
 先日他の団員から知的好奇心旺盛な点を褒められ木に登って言うと、私の学びは日常生活の延長から始まることが多く、これからもソクラテスのように色んな人をどんどん巻き込みながら自他共に教養を深めていきたいと思います(笑)。
 ついこの間は珈琲の本や映画の影響で、人生で初めてブルーマウンテン100gを挽いてもらって大人買いしました。次回は珈琲×歴史企画かな…?

令和4年4月4日
Slyserin🐍

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