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ケース記録のより良い書き方は?(支援力UPクイズ7)

支援力UPクイズも7回目。
今回は、開始早々、票が割れましたね。最終的にも、だんとつの数字にはならない結果となりました。
どれも正解のような気がしますからね。

よくよく考えると、ケース記録というのは、書き方は、各事業所でまちまちですし、誰かにきちんと習ったことがない代物かもしれませんね。
監査を受けるときに、こういう書き方にしてくださいという指示がなければ、ただただ書くだけになってしまいそうなものですし、それが正しいかどうかなど、上司や先輩から言われなければ、自分がしていることが正しいかどうかもわからないのです。

今回、私が設問したのは、私の推奨している部分からの出題。

書いた後の使われ方にフォーカスしています!

つまり、
この記録をいつ、だれがどんな時に使うか?を想像すると言うことです。

では、より良い工夫のある記録とは?を解説をしていきましょう!

【支援力UPクイズ7】
作業をする施設のケース記録の書き方で、良い工夫がある書き方はどれか?

1.一番関わり、様子がわかる担当職員だけで書く

その利用者の人を見ているのは、担当職員だけではありません。
そして、一人の人は、見る時の癖が出てしまうため、どうしても同じようなところを見てしまいます。一人の人生を、一人の見方で見ることで、間違いや勘違いなどもあるので、多数の目を持つことはチームならではの良さになります。

担当職員は、関わりがあるからこそ、何でも知っているかというと、そうではありません。
もちろん情報をまとめて書くのであれば、担当職員が書くのもよいと思われるかもしれませんが、他の人の情報が入っても、自分の持っている情報を書きたくなり、自分の情報中心になるでしょう。

ですから、複数名の職員が書くことは、大切なことです。

そして、他者が書いているものを見ることは、記録の書き方の学びにもなります。

支援はチームでするもの。

担当職員が休みや異動の時もありますから、普段から、さまざまな人が書き、作り上げていく、進化させていくというイメージを持って行きましょう。

2.本ケースの行動にかかわった利用者は実名で書く

実は、これが正解です。

個人情報だからと言うことで、他の利用者のことをイニシャルで書く施設はあると思いますが、この記録を使うのは、実はその時の職員たちよりも、あとあと、関わる職員です。

書いている人は、そのことがあった日に書きますから、わかっていることですが、書いた人でさえ何ヶ月・何年も経つと、「このイニシャル、誰?」となりがちです。

ですから、名前で書くのです。

関係性の情報は大切ですし、そこは事実ですから、書いておく部分なのです。

職員が「?印」の思考にならないためにも、将来のために、実名で書いておくことが、その記録の主体者である利用者の人の支援の展開に役立つ情報になると考えていきましょう。

なお、個人情報の保護をする状況になった場合は、イニシャルに変えることもできますのでご安心を。

3.職員が考えたことも、織り交ぜた行動記録にする

一番多くの票を獲得しましたけど、残念ながら、これではありません。

行動の記録というのは、その人の行動のことを書くことになります。

織り交ぜて書いてしまうと、主語が職員なのか、ご本人なのかがわかりにくくなり、より正しい記録からは、かけ離れることがあります。

例えば下の文章は、わかりにくくないですか?

散歩の際に、つまづきました。足をくじいたかと思いました。

散歩の際につまづいたのはご本人です。
それを見て、くじいたか?と考えたのは職員でも通じますし、ご本人でも通じます。でも、私が様々なケース記録を見た時に、「誰が考えたこと?」と職員に聞くと、「職員です」と言われることも多く、主語がないために混乱しかねません。
時間のない中で、急いで書くことが多い文章であるために、主語がないことは本当に多いのです。

ですから、職員が考えたことを行動記録には織り交ぜず、「これは誰が考えたことなのか?」と、読み手に「?印」がつくことは避けていきましょう。

但し、その利用者の人の行動を考察したいのであれば、別枠を取って記録をしておくことが必要なこともあります。

例えばケース記録の右側には職員考察欄を作ったり、赤い字で書いたらそこは職員が考えたことというルールを作っておいたりということは、施設ごとにできることです。

主語を入れるようにするというのは、忘れてしまうので効果がありません。なぜなら、自分の文章は通じるものだと考える傾向にあるからです。

混在しないように工夫をしましょう。

4・作業中のことだけを事細かに書く

作業をしている施設なので、作業のことだけと思いがちですが、それは間違いです。

その人の24時間の中に、作業をする時間があるというイメージを持ちましょう。
例えば、朝、他の利用者の人といざこざがあった関係で、作業のミスにつながることがあったり、お家であったことがきっかけとなり、作業量の低下になることもあります。

ケース記録は総合的な部分も含め、その人を知るための記録となりますから、作業時間だけに特化したものは記録としては足りないものになるということです。

5.おわりに

ケース記録は、個別支援計画やその人の暮らしを支えるためのきっかけになるものを切り取った記録です。

毎日同じメモではありません。だからいろいろな場面を書き込みます。

そして、あとで役立つものです。
自分ではなく、他職員が使うものかもしれません。

職員の仕事として嫌になる仕事になりやすい事務仕事ですが、とても大切な間接支援と捉え、より良いケース記録の作成を目指しましょう。

以前書いたブログ「ケース記録の書き方10の視点」を張り付けておきます。また、ケース記録に関してのセミナーの依頼も来ています。
ご利用ください。

アンケートへのご協力をありがとうございました。

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