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作業中に不良ばかり作る利用者への関わりは?(支援力UPクイズ6)

支援力UPクイズも6回目。
今回、作業場面でのあるあるについて、クイズを出してみました。
Twitterの140文字の中での出題なので情報が足りず、意味が伝わりにくいのかもしれませんが、ご了承ください。

では、解説していきましょう!

1.不良を作ってもよいので、あとで職員が直す

意外なことに、おひとりも投票していなかったことに、びっくりしています。というのは、そういう施設があることを知っているからです。

その施設は、簡単に言えば、時間稼ぎ。ただただやらせているだけ。
不良を作っているのは職員もわかっていました。でも、何の支援もしておらず、不良品はたまり、最終的に職員が直すという繰り返しだったのです。

作業というものは、できるだけ、利用者の人だけでできることが、本来あるべき姿ではありますが、難しい部分や業者との交渉などは、できないこともありますし、指示の仕方、作業工程の分析・分割などで、利用者の人ができることは、たくさん増えていきます。

職員は、作業要員になるのではなく、利用者の人が作業ができるようにするための環境要因として、力を発揮していただきたいです。

2.職員から話したやり方を思い出してもらう

利用者の人に聞いて、話し合いをしていくというご意見もありましたが、この場面想定は、指示されたけど、わからなくて作業をし続けている人ですから、やり方を思い出してもらうということの前に、もう一度、やり方を伝えることからなのかもしれません。

思い出せるのであれば、良品が作れているとも思えますし、できないとは言っていないですし。(できないと言えない人かもしれませんが)

思い出すとのは、この時点から始める関わりではなく、最初の段階で職員から確認をし、初期段階の関わりとして聞くことではないでしょうか?

3.その他の作業をしてもらう

これは、よくやりがちですよね。

「できていない=できない」との判断です。
職員が不良を直すのも面倒ですしね。

なぜできていないのか?
なぜ不良を作り続けるのか?
どうすればできるのか?
そこを見ようとすることから支援が始まります。

それでもできないことはあるかもしれませんが、
不良を作り続けるからと言って、何の支援も入れずに他の作業を提供するのは、問題解決にはなりません。

簡単なようで、ご本人にしても納得がしづらく、「何で仕事変えられちゃったの?」と思うこともあります。
説明責任は、支援者側にあります。特に黙って変えてしまうことはやめましょう。

4.指示の仕方を変える

これが正解です。
こちらの指示の仕方がその利用者にあっていなかったために、不良を作っている可能性はあります。他の利用者に同じ指示で伝わっても、人によって伝わらないことはいくらでもあります。

そして、その利用者もやりたくない訳ではなくやろうとして、続けています。であれば、職員の支援の仕方、指示書の提示の仕方に課題があったと捉え、自分たちがしていたことの訂正・変更をしてみましょう。

さらに言うなら、口頭での指示は極力避けたいところです。
知的障害がある人は、職員の話を簡単にわかるわけではありません。
そして、「口頭での指示」は、消えてなくなってしまいます。
私たちはメモに残すことで記憶をしておく方法を使いますが、彼らはそういうことが苦手の人も多くいます。

わかりやすいイメージは、料理の本や裁縫の本です。
写真があったり、シンプルな作りで、順番がわかります。
イラストで、説明があるとわかりやすさが増します。
このような視覚的な指示書は、知的障害がある人にとっても、わかりやすいです。

また、「わかった」「はい」と言っている場合、その時はわかったのですが、実際にやろうとすると忘れてしまっていることは、私たちでもよくあること。
私もレシピを読んでわかったと思い、いざやろうとすると忘れていて、もう一度レシピを見ることは、よくあることです(笑)

知的障害がある人は、情報の把握・処理・運用が難しい人たちですから、支援の創意工夫はここから始めてください。
そして、私たちの支援が間違っていたら、私たち側が、ただ単に変えればよいことで、利用者の人たちのせいではないということです。

おわりに

ちゃんと説明をしたと思っている職員とできない利用者という構図の中で、できていないことをその利用者のせいにして、注意をするというやり方は、実際にやってしまいがちな間違いです。

私たち職員も、怒られたら嫌な気になることも多いですよね?
彼らも同じです。ましてや、職員の支援内容によっては、良品ができるのですから。

できることを続けていくとできることは増えていきますし、得意になって、効率的になったり、アイデアも出てきたりします。
利用者の人のマンパワーは、まだまだ埋もれている施設も多いと思います。

ちなみに、この記事の最初に使った写真のがま口は、私の施設の利用者が作った商品です。通常のボンドをつけるタイプのがま口は難しいと思ったので、縫うことで、口金が付けられるタイプのものにしました。

おかげ様で、とっても上手に縫えていますし、達成感もあります。

職員側が、絶対こうするべきというこだわりは持ってしまうと、利用者の人たちはその職員の支援が辛くなることもあります。
考え方を柔らかくし、臨機応変に状況に合わせて変えられる職員ほど、利用者にとっても心地よいのです。

利用者の人は、いつも通りのできることを続ける。
私たち職員は、その持っている力を活かして行く。
そして、そのための指示ややり方の提示を工夫していきましょう。

アンケートにお答えいただきありがとうございました。


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