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オープン編集部――こうして、雑誌を作っている。

飲食店にオープンキッチンがあるように、オープン編集部が果たす役割があるのでは――と考えていて、今月は読者の方をオフィスにお招きすることにしました(きっかけはtwitterです。いい出会いの場)。

オープンキッチンの良いところは、料理が完成するまでのライブ感を味わい、料理人の仕事を間近に見ることができる点。食べる前から楽しみ、食べておいしく、二度おいしい。雑誌作りにおいても、言える気がします。私たち自身を知っていただくことが、特集や企画を深く理解してもらうことに繋がるかもしれない。

そこで、雑誌『料理通信』を知っていただくために自分たちのことを5つ書いてみます。新旧織り交ぜ、テーマも様々ですが、販売担当の視点で書く現場の一部。料理通信に興味を持ってくれる方がいたらいいなと願っての、note4本目の投稿です。

①創刊は2006年。ブログからスタートしています。

料理通信社は雑誌を創刊できるかわからない状況下でチームが立ち上がっています。スタートは、ブログから。今も残っていて、読み返すと創刊に立ち会っていない自分でも当時を懐かしむ気持ちに。

というのも、かつてファンとして穴が空くほど読んでいたから。特に「雑誌製作の舞台裏」というカテゴリーを熟読していました(愛読者時代、雑誌作りの現場に興味津々だった)。

↓ ここに、まだあります。ジャンジャンスクロールして一番下の記事をぜひ!

料理通信の仕事をしてみたくて、作業が夜中まで及ぶことがあるらしい編集部に電話をかけて、「夜だけ数時間でもアルバイトさせてもらえませんか? (日中はあいにく勤めているもので)」という謎にアグレッシブなアプローチをしたこともありました。

断られました。断られるとわかっていても、結構凹みました。


②編集後記とスタッフ一覧

採用時には性別を問わないものの、なぜかここ数年の編集部は女性100%。よく「なんとなく男性が作っている印象」と言われますがハズレでした! 

皆さんは、雑誌のスタッフ一覧ってご覧になりますか? 私は「編集後記」と「スタッフ一覧」を読み込みます。編集後記から今後の動きを予測し、スタッフ一覧から人事体制を考察(減った・増えた・〇〇社から転職してる! など)。よく求人が出ていることがあり、「新プロジェクト始動?」と想像したりします。

もし、出版社で働きたいという方がいたらスタッフ一覧のページをチェックするのもおすすめです(ちょうど問い合わせを受けたばかりだったので、参考までに)。

005_スタッフ募集

直近の求人を探したら2017年5月号に発見。「編集職で若干名を募集します。『料理通信』愛読者で、情熱と体力のある方、お待ちしています!」と書いてあります。

体力・・・確かに。食べるという行為は想像以上に体力を消耗します。時に揚げ物を食べ続け、しばしばお腹がいっぱいでも食べ、食べたい気分でなくても食べる。基本、取材時も残さず食べて帰ります(やむを得ない場合はお持ち帰りさせてもらいます)。体力と胃袋力が必須です。


③稼ぎ頭の「スイーツ」と「パン」


毎年、1年間12号分+αの特集テーマを事前に決めています。8割予定通り進行。時代により扱うテーマやジャンルは変わりますが、創刊以来、欠かさず組んでいるのが「スイーツ」と「パン」です。不動の人気特集です。

001_スイーツ特集01
002_スイーツ特集02
003_パン特集01
004_パン特集02


スイーツ特集の中でもタイトルを覚えては忘れ、覚えては忘れ、を繰り返したのがこちら。

006_103人のパティシエ


「103人のパティシエ&ブーランジェがつくる、132品のタルト&シュー」。パティシエ数もお菓子数も絶妙な数! 

改めてバックナンバーを見直すとタイトルが特徴的なものがチラホラ。例えば、「今、5000円あったら、フレンチをおすすめします」

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時は2009年~2010年。実力派料理人による使える店が続々オープンした当たり年で、“同じお金を払うなら、フレンチが断然お値打ちですよ!”を伝えた特集です。表4(注:背表紙のことを表4と言います。表紙は表1です)に、こんなチャーミングな仕掛けが。

008_5000円あったら表4


「今、鍋を買うなら、ストウブをおすすめします」。表1と表4のコラボでした。いずれも、東京・赤坂「コム ア ラ メゾン」涌井祐二シェフの料理です。涌井シェフの滋味深いスープ「ガルビュール」は絶品。料理人や食のカメラマンなど業界内にもファン多数。お店のWebサイトがないため、tabelogを貼っておきます。


④ビッグニュース|スイーツ担当は誰に?

毎年欠かさず、かつては年に2回組んでいたスイーツ特集。2006年の創刊以来、編集主幹・君島の担当でした。2020年2月号からスタイルを変更。スイーツ特集から一番遠いところにいた副編集長・伊東が初めて担当しました(超人気企画“自家製特集”の生みの親でもあります)。編集後記にこう書いています。

『初担当の巻頭スイーツ特集に表紙リニューアルが重なり、まるで新しい雑誌を作っているかのような気分で過ごした1カ月。社内一スイーツに疎い人間でしたが、これで少しは前進しました』

初のスイーツ特集の結果は・・・おかげさまで大好評! 100人登場というボリューム、これまでと切り口の異なる人選に、読者の皆さんから「こんな働き方をするパティシエがいたのですね」という声が多く届いています。生き方・働き方の示唆があるのは、前号の「理想の働き方を叶える店づくり」同様です。


⑤雑誌の顔「表紙」をリニューアル

2020年2月号では表紙リニューアルも決行。デザイン面ではタイトル回りを大きく変更し、媒体ロゴの下にベタ塗りの地色を敷き、珍しいスクエアに。本屋さんの棚でより視認性が高まるようにという意図があります。

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(あ! タテ画像をベタで貼るとこんなに大きくなるんですね・驚)

また、写真を撮りおろしから、取材で集めた素材の中から効果的に用いるスタイルにチェンジしたのも大きな変更点。どの写真を使うか、取材後に決めることにしました。過去数回のチャレンジを経ての実装です。取材が終わるまで確信が持てない、これまでと違った緊張感があります


書いていて、今を逃したらリニューアルのことは詳しくお伝えできなかったかも、と思いました。いつまでも雑誌を作り続けていけるように、仕事を振り返りながら、必要な軌道修正をし、皆さんと可能な限り長く、食の世界を共有できたらと思っています。

「よろしければ編集部に遊びに来てください」を月に1組ずつやりたい――が2020年の目標。あるいはこうした場で、オープンに語っていきたいと思います。


*2020年2月号「100人のお菓子作り」のフィナーレに


2月号スイーツ特集も今日が最後になりました。明日、2/6(木)には3月号が発売になります。お手に取ってくださった皆さま、本当にありがとうございました。最後ということで、特集「100人のお菓子作り」のフィナーレを飾ったシェフの紹介を。

100人選ぶのも大変だけれど、100人をどう紹介していくか決めるのもまた難儀。100人目を締めくくってくれたのは、ドイツ・ベルリンのガストロノミー系デザートレストラン「CODA(コーダ)」でした。2019年にミシュランの一ツ星を獲得しています。

誌面には1ページしか用意できなかったけれど、レネ・フランクシェフが溢れんばかりの熱量で取材に答えてくださったとベルリンから報告が。ということで番外編をこの記事の後に、UPしますね。

スイーツ号の心残りはInstagramで100人全員をご紹介できなかったことです。次は、頑張ります。スイーツ号はAmazonにたっぷり追加搬入させていただいたので、よろしければ、ぜひ。

(『料理通信』販売担当 浅井裕喜)


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