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第12回 オンライン会議のコツ 「会議の準備」

ファシリテーションがうまくいくためのコツは、会議の準備段階から始まっています。そもそも会議準備では何をすべきか。さらにオンライン開催のときにどのような配慮をするとよいか。基本的な観点をまとめました。

■会議のねらいを具体化する
改めて、会議の準備について考えてみましょう。
会議の準備を依頼されたら、どのようなことをしますか?
参加者を決めて、日時を設定して案内して……。こうした段取りが必要なのは言うまでもありません。このときぜひ言葉にしておきたいのは、「何を目的とした会議か」と「その達成に適した手段の選択」です。

単なる情報共有だったら、メールだけでもよいかもしれません。
個別の相談なら、電話でも事足りるかもしれません。
アイデア収集だけならば、チャットルームへの投稿という手段でもいいかもしれません。

そうした手段ではなく「会議」という手段が必要だとするならば、「同じ時間に集まる」ことで実現したい「ねらい」があるはずです。「個人のアイデアを更に発展させたい」「情報共有だけでなくメンバー間の調整を行いたい」「チームの一体感を醸成したい」などのねらいです。

もし「同じ時間に集まる」ためのねらいが明確になければ、会議以外の手段で事足りるのかもしれません。実際、チャットやSNS、共有ホルダへの投稿などを駆使して、会議を減らした例もたくさん見かけます。

■事前案内は、準備の基本
会議のねらいを整理したうえで、改めて準備に取りかかります。

まず必要なのは、開催日時・開催方法の確定、そして参加者への事前周知です。最近は特に、対面型なのかオンライン会議なのかの指定も欠かせません。対面型なら会議室予約が必要になるでしょうし、オンライン会議なら利用ツールの指定とURLの発行をすることになります。

社外の人も参加する場合、対面型なら入館方法の案内もいるかもしれませんし、オンライン会議なら指定するオンラインツールが使えるかどうか、環境確認が必要になることもあります。逆にそれをしておかないと、当日開催時間になって「入館できません」「オンラインツールへのアクセスができません」といった事態が起こり、せっかく確保した会議時間が短くなってしまいます。

会議設定時から開催まで時間が空いた場合は特に、リマインドも重要です。誰かがうっかりと予定を忘れてしまっていたら、その人に連絡をとって確認して……としている間に、またもや時間が過ぎてしまいます。

■会議時間をどのように使うかに応じて、事前プロセスを考える
あわせて考えたいのは、会議の種類に応じた準備です。

たとえば報告系の会議では、準備した資料を一から順に読み上げるものではなく、事前に資料共有して当日は要点だけ説明するやり方が考えられます。会議では何を伝えたいのか。適正な所要時間はどの程度か、といった点を考えてから日時案内するのがよいでしょう。

新しいアイデアを出すための企画会議ならば、会議時はできるだけディスカッションに使いたいところです。ならば、趣旨や議論テーマは事前に伝え、各自の意見やアイデアはあらかじめ考えてきてもらい、会議では議論からスタートできるような段取りがよさそうです。

一方、何らかの議論テーマありきで開催される会議ばかりではありません。
例えば、「チーム化」のために会議を行うという話も増えてきました。「チーム化」は、メンバー間の関係性構築や相乗効果促進をねらうプロセスです。リモートワークが増えてきて、このような必要性が高まってきていることを感じます。この場合、「この会議はチーム化が目的である」といった共通理解が重要です。
さらに、どういうアジェンダでどのように進行したら「チーム化」が進むのか、会議の主催者や意思決定者とともに考えていくことも重要です。人によっては「チーム化」の会議に否定的なこともあります。忙しい時に優先的ではないという考えを持つ人もいるからです。そうした人を巻き込む方法については別途ご紹介していきますが、その否定的な意見も場の協議事項に取り込み、「チーム化」への共通認識づくりの観点からその意見を扱ってみてください。

さらに意志決定型の会議である場合、意志決定者の日程を優先して調整するなど、意思決定者がその場にいるような段取りも準備の1つと言えます。仮に意志決定者が参加できない場合は、会議でどのように意思決定するのか、あらかじめ意思決定者と認識あわせしておく必要があるでしょう。多数決で決めるのか、メンバーの誰かに権限委譲するのか、あるいは意思決定に向けた提案をまとめればよいのか。こういった点が決まっていないと、メンバーからの疑問の声が相次ぎ、会議が停滞してしまうかもしれません。

■参加環境にあわせた進行の配慮も重要
オンライン会議の場合、参加者の環境をあらかじめ把握して進行をイメージしておくことも重要です。定例会議や、小さな打合せはそこまで確認する必要はないでしょうが、大型プロジェクトにおけるキックオフ時、部門全体で半日実施するような大型会議といった場合はきめ細かい環境対応も会議の質に影響してきます。

まず確認したいのは、全員が各自の端末で参加するのか、複数人で一端末を使うケースがあるのかどうかという点です。アイデア出しのために小グループ分割を行いたいと思っている場合、複数人が一端末で参加しているとグループ分散できないという制約が生じます。

たとえば全国の営業会議を実施するときに、拠点ごとに複数人が一端末で参加しているとしましょう。全体の報告を聞いた後、小グループで意見交換をしてもらって発表するという進行スケジュールを考えた場合、参加者全体をシャッフルするようなグループ編成は端末の制約でできません。各拠点で話し合って発表する形式が現実的でしょう。その場合、あらかじめ各拠点のリーダーに「議論時間帯はこのように進行してください」とサブファシリテーターとしての役割を依頼しておくのもよいでしょう。

また、カメラオフにすることが多い職場の場合は特に、画面をオンにして参加してほしい場合はあらかじめ周知しておくことが必要です。カメラオフで参加してもらえばよいけれども、反応は適宜確認したいという場合は、「質問があればチャットに書き込んでください」「反応サインを積極的に使ってください」などと会議の冒頭に案内するとよいでしょう。ファシリテーターが積極的にチャットに書き込むことで、反応が活性化してくることもあります。

■先手を打った準備を
ここまで見てきたように、会議でねらい通りの成果を出すためには、ねらいの整理とそのための段取り、当日の進行をスムーズにするための配慮といったものが影響してきます。特にオンライン会議になると、ねらいに応じた進め方を考え、それができる環境なのかどうかまで連動して考えておくことが参加者それぞれの疎外感を起こさないためにも重要になってきます。起こりそうなことに先手を打てるよう、準備をしてみてください。

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