【詩】去りし日/優しい
去りし日
台風が
僕の町に居座った夏の残りを
全部連れ去ってしまった
僕は慌てて
長袖と毛布を引っ張り出しながら
夏にさよならを言えなかったな
と少しだけ寂しく思った
・*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚
優しい
優しいお母さんになりたかったけど
振り返ると
優しいお嫁さんじゃなかったから
優しい女の人じゃなかったから
優しい女の子じゃなかったから
…
どこまで戻ってもいないの
優しい私
「隠れてないで早く出ておいでよ!」
無理に明るい調子で叫んだ声は
秋晴れの空に吸い込まれた
優しい私、早く出ておいでよ…
ずっとずっとここで待ってるから
本当は分かっているくせに
もういない女の子を今も私は待ち続けてる
こんなに晴れているのに、風は、少し冷たい
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