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【エッセイ】基準

自分の家のご近所さんは、自分と同レベルくらいか自分よりちょっとイカれた(自分に害を及ぼさない程度の)一家がいい。
決して、会社重役かつマイホームパパの旦那さんや、美人でコミュ力があって子育てに揺るぎないポリシーを持った奥さんや、勉強もスポーツもできる自慢の坊ちゃんや、生徒会を頑張る弱いものいじめを許さない一本気なお嬢ちゃんや、歯に絹着せぬ痛快な正論でみんなの背筋を伸ばしてくれるお爺ちゃんや、ニコニコ可愛らしい愛されお婆ちゃんがいるような一家であってはならない。ついでに、SNSに上げればたちまちフォロワーが増えそうなもふもふほっこりワンコがいてもいけない。

「どうしてそんな情けないことを言うんだ?素晴らしい人に囲まれている方が自分も自然と素晴らしい人になり、高い次元に行けるのだから君も卑屈にならず考えを改めたまえよ。そんな事だからいつまで経っても人間力が上がらないんだよ。」
と例え成功者(もしくは成功者の言葉に影響を受けた成功者気取り者)に諭されようとこれだけは譲れないのだ。

私がここで目指しているのは間違いなく成功ではないのだから。
同類だからこそ感じられる共感と安心だ。イカれた世界を覗き見る下世話な好奇心と高揚感だ。それらに触れる事で満たされる空洞が、私の中に確実に、ある。
成功のヒントなど不要。正論は退屈。綺麗事は疲れる。そういうものが欲しければ勝手にセミナーにでも行きますのでお構いなく。
普段それなりに頑張ってるんだから、家の近所くらいは好きな人達で固めさせてよ。

…って言うのが、私が本を選ぶ基準かなぁ。と何となく思った今日この頃です。

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