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【1話完結小説】ノンフィクション

我が国は隣国に攻め込まれ、この村にももうじき敵軍が到達するだろう。
僕達家族をはじめ、村人の大半が避難の準備を進めている中で、祖父は「愛する故郷を守りたい」と村に残る抵抗軍に志願した。
その様子が何故かSNSで拡散され「男の中の男!」「彼こそ真の勇者!」と世界中からメッセージや支援物資が届き始めた。我が家に次々ジャーナリストが取材に来る。祖父はますます高揚し、避難するという選択肢は頭からすっかり消え去ってしまったようだ。
煽ってる奴らは画面の向こうでポテトでもつまみながら戦争映画を見るような気持ちでいるんだろう。「感動しました!」と指先一つで無責任なメッセージを送っているんだろう。
もうやめてくれ!なぜ見ず知らずのお前らが邪魔をする?僕達家族は勇者の祖父など求めていない。ただみんなで早く安全な場所に逃げたいだけなんだ。

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メディアを見ていて最近感じた事を書きましたが、物語自体はフィクションです。

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