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【1話完結小説】通販

通販で何でも買える時代になった。友達、恋人、内定、大義名分。高くても1万円程度だから気軽にポチっちゃうよな。周りより少しでも幸せでいたいから毎日ポチるんだ。ポチらないと不安なんだ。新商品チェックも欠かせない。こういうのがなかった時代の人達は不幸だよな。ポチポチポチ。

…電話が鳴ってる。
ポチった友達と恋人からだ。煩わしいな。今ポチるのに忙しいんだ。

…また電話が鳴ってる。内定先の企業からだ。どうせまた「出社しろ」とか言うんだろう。仕事なんてしてる暇ないだろ。俺は新商品チェックとポチりで忙しいんだから。

ポチった大義名分を奴らに振りかざす。
「多様性の時代ですよ!人間は様々な形で幸せを追求する権利があるんですよ!俺の人生の責任を取る覚悟がないのなら邪魔しないで下さい!」

あれからもう電話は鳴らない。

ポチった友達と恋人の顔も、内定した企業の社名も忘れてしまった。そろそろまた新しいのをポチらなくちゃ。こういうのがなかった時代の人達はほんとうに不幸だよな。
ポチポチポチ墓地墓地墓地_____。

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