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第44回 村長散歩日記【日常散歩編】 240218(週末配信)

 (島田啓介マインドフルネス・ビレッジ村長による村長日記です♪)
 家で30年来続いている味噌作りを今年も行いました。息子に手伝ってもらって大きな樽で大豆を洗い、庭に据えた大釜に移したので、あとは火入れを待つばかり。北風が冷たく吹く時期ですが、たき火をしながらの味噌作りを毎年楽しみにしています。うちではこうした年中行事が欠かせず、それは生活の底に流れる感情を豊かにしてくれます。食物作りならその後食べる楽しみがあるのでなおさらです。
翌日は息子の同級生が数人手伝ってくれることになりました。年に一度の祭りであり、コミュニティワークでもあります。今年もこうして一緒に作業し、その結果が半年後にはおいしい味噌という実りになって帰ってくる幸せを感じています。
 
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【第44回:人間はずっと共同作業をしてきた】


*ただ共に働き汗を流す、それを毎度繰り返すうちに、存在=相互存在(助け合いながら生きること)ということが身に染みてくる。孤立~孤独が問題視されている最近だが、共同作業が激減してきたことが原因のひとつだろう。
 お金さえ払えば外注で専門家が何でもやってくれる。たいそう便利そうで、じつは便利さと引き換えに「つながり」という大切な宝物を手放してしまっているのかもしれない。
 昔インドで見た衝撃的な光景のひとつに(ほかにも多々あるのだが)、地下鉄の敷設のための掘削作業を人力で行っていたというものがある。東部の大都市コルカタのダムダム空港から、中心部までのたぶん数十キロに及ぶ長大なトンネルである。初期の深い掘削は別にして、つるはしの作業や瓦礫の運び出しなど、多くの部分を人間が籠に入れて頭の上に乗せ作業しているのだ。
 雇用創出という目的があるとのことだが、人間が体ひとつで働いている光景を久しぶりに目にする気がした。

写真は全て島田啓介さんによる提供です。

 日本では、あまり汗を流しての共同作業が見られなくなった気がする。お金を払って外注すれば、手を煩わせなくても済んでしまうことが多い。しかし引き換えに、ともに汗を流す絆と楽しみも失ったのではないだろうか?
グループで行うものに様々なワークショップやセラピーがあり、それぞれの良さはあるが、体を動かし一緒に作業したほうが、個人的な癒しも、相互の絆づくりも早い気がする。
 最近目の前の山ひとつ越えた里山保全のグループ「あわいのもり」で、整備作業することが何回かあった。先日など、今は使っていない煙草の葉の乾燥小屋の解体をしたので埃まみれである。地元のおじさんたちが、じつに大胆でこなれた動き方をする。
 その作業の様子を盗み見てみると、じつに大胆で繊細、押さえるべきところをきちんと押さえている体の使い方をしている。そのようにして、技は受け継がれてきたのだろう。現場でなければわからないことだ。そうして、初めての何人かと仲良くなった。次の作業ではさらに聞きたいことを聞いてみようと思う。
 息子と同級生たちとの味噌作りは、驚くほど順調に進んだ。一年経って、知力体力は驚くほど伸び、任せておいても作業が進む。もちろんそのあとのバーベキューがあればこそだが(笑)。
 軟らかく煮た豆をつぶし、麹と塩とを混ぜ込む。それをいくつかの大きなカメに分けて仕込み、床下に収納すれば今年の大仕事は終わる。「天地返し」やときおりの点検は必要だが、あとは自然が発酵のプロセスを進めてくれるのだから安心だ。


 バーベキューの後は、森へと駆けていき(お決まりのようにいつも走っている)、木登りしたり山を探索したりしている。体を使って夢中で遊んだ田舎の子ども時代を思い出す。こういう日常の遊びが関係性を育ててくれるのだろう。何の仕掛けも投資もいらない。味噌作りの一日では、生活の必要と遊びがぴったりと重なっている。
 プラムヴィレッジの実践は四種類あると聞いた。「瞑想、学習、作務、遊び」である。最後の遊び(または遊び心)は、コミュニティづくりのベースとして、あらゆるところにユーモアや歌や、動作を通して表れている。人間とはこうしてのびのびと遊ぶ存在(ホモルーデンス)ではなかったか。
 共同作業の中には真剣さの中にもつねに遊びがある。それは目的だけに執着しないということだ。プロセスをともにする。そのとき成功も失敗も経験として分かち合える。誰かのせいには決してしない。
 一緒に働いていると「適材適所」が自然に発生する。誰にも得意不得意があり、誰もがその中で果たせる役割があるということが見えてくる。手を動かさずに見守っている、または歌を歌っている人がいてもいい。伝統的な社会では、肉体労働も歌に合わせて行われることがよくあった(今でも目にすることができる)。実際歌はつながりを作り、つながりがいっそう歌を励ます。
 誰ひとり排除されないためには?という、孤独が蔓延する社会への答えのひとつ、それが「汗を流す共同作業」、「一緒に歌うこと」「踊りの輪を作ること」「家を建てること」「食べ物を作って一緒に食べること」、つまり村の生活や祭りで行われていたことではないか。
 私たちはすでにそれを始めている。あちらこちらで。
 
 


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