第1回 ビレッジ村長日記【村内散歩編】 230209（毎週木曜配信）
マインドフルネス・ビレッジ村長の島田啓介さんの「ビレッジ村長日記」が始まります！
マインドフルネス・ビレッジもおかげさまで２年目になりました。村長となって１年、これまでオンラインの村内やカレッジの中をずいぶん散歩（参加）してきました。この瓦版的な文章は原則的に毎週木曜日に配信します。ちょうど回覧板のようなものですね。 内容は、村長である島田が村内の講座などで体験したことを綴る「村内散歩編」と、日常の中で気づいたことを自由に綴る「日常散歩編」に分かれます。その時々で両方を織り交ぜて、ビレッジに参加されている“村民“の皆さんと、村外の方に向けてお送りします。
ビレッジは村外向けの参加自由のイベントもあります。興味を持ったらぜひいらしてくださいね。
【第１回：村内散歩編～一緒に読むからもっと深まる「読書会」】
マインドフルネス・ビレッジの中でもビレッジ開始以前から存在する、もはや伝統と言ってもいいサークルが読書会だ。ぼくは本づくりをしている立場だから、こうした場所はとてもうれしい。読後感を自分の中で温めるのもいいけれど、シェアすることで本はますます成長していく。読まれなければ本ではないし、社会に出て行かなければ本の存在意義は薄れる。読書会は本育ての場だ。
ぼくが2017年に翻訳して出版されたティク・ナット・ハンの短詩集（ガーター）『今このとき、すばらしいこのとき～毎日が輝くマインドフルネスのことば』（サンガ）の読書会はすでに３年前から始まっている。ガーターは瞑想のための導きのことばだ。53篇のうち毎週1篇を取り上げて読み、次の一週間でそれを使って実際に実践する。そうして1年間でちょうど1冊を読み切ると同時に実践のサイクルが完結する仕組みだ。
後にも先にも、本書がグループによってこれほど読み込まれたことはないとはっきり言える。たまに参加して感じたのは、とりわけ小グループに分かれてシェアする時間に、どの本でもその時々の自分が映し出されるということだった。
ぼくが空けやすいのは土曜日の朝なので、これまでで参加回数が多いのは土曜日朝７時半から８時半までの枠だ。ここではエーリッヒ・フロムの『愛するということ』、神谷美恵子の『生きがいについて』などを扱い、今はレイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』を読んでいる。これまでも一度は手にとったことのある本ばかりだが、読書会がなかったら読み返さなかったかもしれない。
最初に短い瞑想で落ち着き、自己紹介的なシェアリングがある。それから声を出せる者の間で、ていねいに朗読を回していく。自分が読むときも、人が読むのを聴くときも、音声で受け取るところがいい。文字とは違った回路で言葉が入ってくる。
オンラインであっても、同じ言葉を皆で聴く時間は、それだけで場が共有できる実感がある。ただ一緒に座るよりも、素早くつながれる気がするのだ。１回につき十数ページほど進むうちに、気にかかる言葉にたくさんあたる。黙読では通り過ぎてしまうようなフレーズでも、読むとエネルギーを人にあずけてしまえるからか、自分は読み手の言葉の調子やリズムに任せて内容を楽に受け取れるのだ。
朗読の直後に小グループ（ブレークアウトルーム）でのシェアがあり、読みたてのフレッシュな感想が交わされる。その多くは内容にかかわりなく「自分自身の体験」だ。本の選定もなかなか的を得ているのだが、言葉が自身を映す鏡のようにこちらを向くのがわかる。
最後のサークルは全体で自由に話す。放課後も含めると最長で二十数分だろうか。いつも時間が足りないと感じる。言葉をめぐって１時間近く共に過ごし、すっかり場が温まっているからだ。それでも足りないくらいがちょうどいい。次回への「はずみ」が持続するからだ。
また、「積読」のシェア会というユニークな姉妹編もある。未読だが気になる蔵書を紹介するというものだ。内容を知らずに紹介するのだから、苦し紛れでひねり出す理由が面白い。それを機会にぼくは忘れかけていた一冊の本を読み始めたが、大ヒット、すばらしい一冊になった。ときおり不定期で行われているようだが、自宅の掘り出しものに出会えること請け合いである。
最後にマインドフルネス・ビレッジで行われている読書会一覧を付す。ぼくは土曜日の会にはだいたい参加している。
読書会スケジュール
（ときおり変更もあるので、必ず以下から確認してください）
https://mindfulness-village.mystrikingly.com/schedule
毎週火曜日午前7:00～7:45『今このとき、すばらしいこのとき』ティク・ナット・ハン
＆毎週日曜日午前7:00～7:45 同上
毎週木曜日午前７:00～7:45『生きていくうえで、かけがえのないこと』吉村萬壱版/若松英輔版
毎週金曜日午前10:00～11:30『ユング心理学入門』河合隼雄
毎週土曜日午前7:30～8:30『センス・オブ・ワンダー』レイチェル・カーソン
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