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初めて外国の生徒さんに会って人生初メイドカフェに行った話(多分もう行かない)
欧米のアニメ好きに日本語を教えているオンライン日本語教師の日常。
「先生、日本に留学が決まりました。東京に行きます!先生に会いたいです。それから秋葉原行きたいです!メイドカフェ行きたいです!」
そんなことを言われたのは今から2年半くらい前2022年の話。まだコロナの影響があり、外国人旅行客が制限されていた時だった。
コロナ禍でスタートしたオンライン日本語教師。ついに生徒に会う日が来たか…と、しばらく感激していたことをいまだに覚えている。
最初に会った生徒第一号は南米ペルーからはるばる日本にやってきたAさんだった。
彼女は私の生徒の中でも、かなりのアニメファン。(彼女とフリートークレッスンする前は、彼女をがっかりさせないために必死でアニメの最新話をおっかけたものだ)しかも本格的なコスプレもする、いわばガチ勢だった。
そんな彼女の夢は秋葉原に行って、本場のメイドカフェに行くこと。ペルーにもメイドカフェはあるらしいが本場のメイドカフェに行くことを強く望んでいた。というわけで、その夢を叶えるべく、私はメイドカフェに連れて行くことにした。
しかしながら、40年生きてきて、メイドカフェなんぞ行ったことがなかった私は、本当に案内などできるのかと不安でたまらなかった。だいたい秋葉原は家から遠くて(オタクだけど)数えるほどしか行ったことがないし、そもそも、生徒さんと初めてのご対面というわけだ。極めつけに行ったことがないメイドカフェという半分ファンタジーでできた世界。アウェー感が半端ないし、会うまでは緊張しっぱなしだった。
でも本人にあったら、少し緊張の糸がゆるんだ。彼女の日本人のルーツの混じったお顔立ちや、日本語だけでもほとんどコミニュケーションがとれるくらいの日本語レベル、穏やかな性格。彼女が直接会う生徒第一号でよかったと思う。
ゲームセンターやコスプレの店やら寄り道しつつ、雑居ビル4階のメイドカフェについにやってきた。そしてドアを開けた瞬間。
「おかえりなさいませ、お嬢様❤️」
言われるのは、100%知っていたけれども…とまどう我々。
お嬢様と言われたのは、生まれてこの方初めて。(けして悪くはない)
お立ち台みたいなところの目の前の席に通され、いきなり爆音で始まったダンスタイム。真ん中でかわいく踊るメイドと、汗をかきかき全力でオタ芸やるメイドさん参上。
突然のダンスに私達はしばらく「ぽか〜ん」だった。長い間会話も一言もなく(爆音で会話できない)フリーズしたあとダンスの合間にメイドさんによる店システム説明があった。いろいろ説明された中で一番ビビったのは、
「私たちを呼ぶときは にゃんにゃーーーんっていってくださいね💕」
と言われたこと。いやいや…無理無理無理。と拒否るも、まわりの大人(主に中年男性)たちが普通に「にゃんにゃーん💕」と呼んでいるのをみて、外国に来た気分に。
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そしてこの一言がなかなか言えなかったせいで、注文が相当遅くなったという…いやもう、私シャイな日本人代表。(でも店を出るころには、わりとでかい声で呼べるようになっていたから自分でも驚き)
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注文はもちろんニャンコをかいてもらうオムライスを注文。(ここでも何度か「にゃんにゃん」と言わされる。)ニャンコも上手だし、メイドさんも可愛くて、味も悪くなくて、少しだけ常連の気持ちがわかった。
しかし、このあと自分は常連にはならないだろうと確信した。
ダンスイベントがおわるとテーブルをマイクを持ったメイドさんがまわって、チェキ撮りませんか?グッズ買いませんか〜?とマイクを通して聞いてくる。ほかのテーブルはそれらをどんどん買い、「またまたこちらの卓のご主人様に買っていただきました〜〜!!!」店全体がパーティ状態。そんな盛り上がっている中、自分のテーブルだけ「あ、大丈夫です…」というのはひじょーーーーーーーにツラかった。わたし、めっちゃ盛り下げる女代表。
といっても私もすでにチェキ撮影とかグッズつきの食べ物3千円以上を買っているわけなので、断固拒否では、断じてない。自分的には満足なのだが、その物販サイクルは2周くらいしていて、2周とも何も買わなかったのは私たちだけだった。妙な罪悪感だった。いやそんな罪悪感を負う必要なんてないのだが、メンタルの弱い自分はめちゃ苦手だった。
くる前にワンカップ大関とかカッといっとけばよかったかな…?
私の財布はどんなにメイドさんがかわいくっても、開かないのだ。絶賛断捨離中にて、いらないものは、これ以上はいらないのだ。メイドさん、ごめんだにゃん。(⇦この文法あってる?)
ここからは日本語教師的余談だが、中級レベルの彼女でもメイドさんが言ってることはほとんど聞き取れなかったらしい。爆音のせいもあるが、語尾に色々ついてるし、かわいく言いすぎて、発音がちょっと分かりにくいとか…メイドさんが話した言葉を私がやさしい日本語にして通訳しなければならなかった。(謎の通訳)
しかし、店内には英語メニュー、英語の説明書もあったので、注文などには支障がなかった。彼女が母国語のスペイン語に加えて英語、ついでにフランス語も堪能だったおかげで助かった。
メイドカフェは…多分もう行かないけど(笑)
地獄の物販サイクル以外はおもしろくて、楽しくてよかったと思う。生徒さんの夢も叶えてあげられたし、彼女が恥ずかしながらも楽しんでいたので、満足だ。
当時はまだコロナ禍で集客が大変だと客側の私から見てもわかったが、今はたくさんの外国人のご主人様とお嬢様達で潤っているといいな。
そんなわけではじめての生徒さんとの対面は忘れられないものとなった。
生徒さんのおかげで私のしらなかったディープな日本文化の一面を知ることができた。行ったことがないみなさんも一回くらい経験してもいいかもしれない。(自分の対応能力が試されるが)お店には明らかにリタイヤ後の長老級のご主人様もいたので、何歳になってもいける場所だと証明済み(笑)
その後も生徒さんたちのおかげで私がしらなかったディープな日本文化を知ることになるのだが、それはまたの機会に。
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