見出し画像

裾野を広げる

※学級通信のネタに困ったときに、どうぞご自由にお使いください。


 山を大きくするためには何が必要でしょうか。
 突然の謎の質問ですね。

 砂場を想像してみてください。砂山を大きくしようとするときに、ただ中央に土を盛って高くしようとしても、その山は不安定ですぐに崩れてしまいますよね。では、どうすれば高い山を作れるでしょうか。中央だけでなく、周りの裾野も一緒に大きくしていけばいいのです。山を高くするには、中心ではなく裾野を高くしなければならないのです。

 日本一高い山は何でしょう。もちろん富士山ですね。雄大な富士の姿は、実際に見たことがなくても誰もが想像できるくらい立派なものです。そんな富士山ですが、よく見てみると、山頂のある中央部分が高いことはもちろん、それを支える裾野も、とても立派な形をしていることに気づきます。この立派な裾野があるからこそ、富士山は日本一高い、立派な姿を保つことができているのです。

 私たち人間で考えてみましょう。
 山の中央部は「自分自身」と言い換えることができますね。
 変わらなければならない。成長しなければならない。そう考えるとき、私たちは自分を高めよう、自分を鍛えようとしてしまいがちです。でも、そうして中央部分の自分自身を高くしよう高くしようと頑張っていると、ふとした時に「ぽきっ」と気持ちが折れたり崩れたりしてしまったりするものです。がむしゃらに独りで頑張るのは苦しいし限界があるのです。
 だから私たち人間も、大きく成長するためには、裾野を広げていかなければなりません。

 私は、人間にとっての裾野とは、支えてくれる周りの人たちだと思っています。周りの人たちが時に温かく、時に厳しく自分を支えてくれているからこそ、自分は折れることなく頑張ることができているのだなあ、なんて感じます。クラスの子たちは、これから体も心も大きく成長をしていきます。そのときに、ぜひ裾野となる応援団を増やしていってほしいですね。
 
 私も、クラスの子たちにとっての裾野、応援団のひとりでありたいなあと思っています。それは3月末の別れの日までの間だけではありません。卒業した後もずっとです。直接関わることはほとんどなくなってしまうけれど、ふと気持ちが落ち込んだ時や自分を見失ってしまった時に「そういえば、○○先生っていうメガネの担任の先生がいたなあ・・・。」なんて思いだしてもらえたら嬉しいなあと思っています。

 人間、いきなり大きく成長することは簡単ではありません。でも「自分には裾野となる応援団がいるんだなあ・・・」と感じることはできます。

「皆が嫌がっても、先生はずっと応援団だから!」

 あと○日後の別れまで、そんなメッセージを伝えていこうと思います。


 これは、年度終わりの3月に出した学級通信です。

 進級、進学を控え、次年度への期待と不安にそわそわする子どもたち。
 そんな子どもたちに
「ずっと応援しているよ!」
というメッセージを通信で伝えています。

 いつか、山のように高く大きく成長した子どもたちとお酒でも飲みながら語り合う。そんな日を夢見て、私も裾野を広げていこうと頑張っています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?