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教育の現場から【切実なお願い】です。あなたのお子さん、ご兄弟・姉妹、お孫さんの教育がピンチです。生徒たちの教育を守るために力を貸してください。

はじめまして、私立の中高の教員をしているものです。はじめてnoteを書きますので、読みづらい、分かりづらい点があるかもしれませんが、何卒お許しください。今から、お話することは、小学校から大学、塾・習い事まで、全ての教育に影響することです。

お子様をお持ちのお父様・お母様にも、オンライン授業の現状を知っていただきたいと思い、文章を書くに至りました。

また、我が校でいろいろ試した経緯を簡潔に文末にまとめました。これからオンライン授業を検討される学校様の参考になればと思います。
※追記※
多くの方にお読みいただきまして、ありがとうございます。本文中にアンケートがございますが、多くの方のご意見を集めて、大手企業様でも、ベンチャー企業様でも、クラファンでも、とにかく具体的なご提案をできればよ思い、ご用意しました。
さっそく、小学生・中学生でも、本noteの内容を実感されるケースが出てまいりました。ITに明るい方から、私の使い方に問題があるのでは?とご指摘をいただきました。私たちはマニュアルに沿ってしか対応できず、ご家庭に対する強制力もございません。その点を理解していただければと思います。

私立のいち教員が、なぜnoteを書こうと思ったのか。

私は、今、かなり強い危機感を抱いています。それは「深刻な教育の危機」です。すでに我が校では、オンライン授業を開始しており、他の学校さんよりは早い対応が出来ています。

しかし、その分、早い段階でオンライン授業の問題点に直面しました。

「先生・生徒が慣れてくれば」では解決できない問題

授業のオンライン化に取り組む上で、いろいろなトラブルがありました。「先生・生徒、お互いが操作に慣れてくれば、スムースな授業が運営できるだろう」と思っていました。

しかし、現在「これ以上はどうにもならない」問題に直面しています。

小学生から大学生まで不十分な授業になる

一部の大学では既にオンライン講義が始まっています。しかし、聞こえてくる声は「フリーズのような現象が起こる」「教授がツールの操作ができず待機時間が長い」など、不満の声。大学生の授業ですらトラブル続出です。

特に、公立の小学校では生徒さんが小さいという点や、機器の扱いなどを十分にできない点を考慮すると、オンライン授業自体が成立しない可能性があります

「そのうち解決するだろう」では遅すぎる

多くの方は、そんなに騒がなくてもそのうち何とかなるだろう、とお感じだと思います。私も始めは楽観視していました。生徒用のマニュアルも準備し、大手企業や詳しい方に相談をするなど、1ヶ月間の運営を経験した上の結論は、

生徒にも先生(現場)にも、そしてご家庭にも、とても大きな負荷がかかる。それは、我々では解決できない。授業以前の問題。

「オンライン授業は急場しのぎ、応急処置だから、我慢しようよ…」

現在のところ、我が校以外にも、大学、高校、そして、オンライン授業を実施している塾さんからも同様の声を聞いています。このことを企業の方にお伝えしても、「今だけだから」というニュアンスでかわされてしまいます。

確かに、1,2ヶ月なら我慢できます。ですが、本当にそうなるでしょうか?

振り返れば、今回の感染拡大も「中国の一部の地域」「高齢者だけが気をつければよい」「感染しても多くの場合は風邪程度」「大騒ぎする方が問題だ」と、楽観視する人が多かったと思います。

ですが、結果的には、世界的な問題になりました。これ以上の問題は世界大戦くらいしかありません。

現場の授業再開は、当面できません

世間ではGWあけには、元の生活が戻ってくるのは?とお思いかもしれません。ですが、大人と異なり、自己管理を完全にできない子どもたちが、1つの後者に数百人集まる学校では、どんなに対策をしても限界があります。

一度、クラスターが発生して場合、責任問題はもちろんのこと、通う生徒のご家庭にまで多大なご迷惑がかかります

ワクチンの開発や感染防止の新しい対策が分かるまで、再開することはかなりのリスクであり、夏休みは全てつぶし、さらに今年1年間は、現場の授業ができないかもしれません

あなたのお子さんの学習に直接関わることです

企業の方とお話してると、自分とは関係ないことと感じていると分かります。確かに、当事者でなければ分からないことがたくさんありますので、仕方ありません。

ただ、間違いなく多くの企業に務めるのお子さん、それも小学生から大学生に至るまでが関係してくる問題です。それも「これから」起きる問題です。

お子さんの学校のオンライン授業が始まったら、ぜひ隣で見てあげてください。50分の授業の間、通信上の問題、システムの問題…。先生はしっかりと準備しています。生徒さんも準備しています

それでも、「◯◯くんはいる?」「◯◯さん、音聞こえる?」「課題の通知は届いてない」というやりとりが、頻繁に起こります。

もし、これがあなたの会社で起こっているとしたら、あなたは「こんな使えない糞システム、さっさと変えろよ」と憤慨するはずです。

そして、もし、これが今年いっぱい続くとしたら…。

子供の一ヶ月は、大人の3ヶ月分くらい大事です

おそらく、世間一般の方々が思うよりも、教育に対する影響は甚大です。一度、抜けた知識を補うのは、簡単ではありません。そして、何よりも、学習習慣が抜けてしまうことは、何よりも恐ろしいのです。

子どもたちは、吸収が早い反面、知識や思考力、習慣が簡単に抜けてしまうのです。学校という場だからこそ「他の子がやっているから、しっかりしないと」という気持ちを作り出すことができます。

ご家庭にお任せすることは、かなりのご負担になると思います。事実、ご家庭内でお子さんを叱る回数が激増したというご連絡もいただいております。

一般的に知られているサービスはほぼ全て試した

ここまでお読みの方の中には、そんなの「◯◯」を使用すればよいだろう、と思われる方もいらっしゃると思います。

はい、当然、我々も現実的に利用できるサービスは、大手のものを含め片っ端から試していきました。

少人数であればうまく機能するものも、数十人だと突然、トラブルが多発する。また、現実的に予算の中でやりくりする必要があります。これも大きな障壁です。

これまで起こっている現実的な問題です。

・多接続にした瞬間に、通信が途絶える
・一部の端末にだけ、音声が届かない(届くときもある)
・ご両親がお仕事、兄弟のお世話でお子様のサポートができない
・不具合をお伝えする電話自体、ネット電話のせいかつながらない
・同じ端末でも、公式サポートの説明書が適用できない

授業の傍ら、常にご家庭にお電話をしている時もあります。もちろん、その時間、そのご家庭は授業に参加できず、他の生徒さんは待機してもらうことも多々あります

最大手教育会社のシステムに期待していましたが…

すでに、ニュースでも大きく報じられましたが、大手教育会社の教育ツールは、不正アクセスの件で、大きな不安を残しました。

もちろん、どんなツールでも完全なものはないと思います。しかし「教育」の会社が、個人情報の流出というのは印象が強く、さらに、以前も大きな問題を起こしているだけに、見る目が厳しいと思います。

さらに、システムとしても、問題があります。

・朝9時前後にアクセスできない(最も重要な時間帯の1つです)
・予約しても、その時間通りに配信されない
・配信した小テストが編集できない
・ソフトが重すぎて、業務に支障が出る

正直、使い物になりません。今後の改善の見通しも立たず、今すでに始まっているオンライン授業では使用する候補から外れました。

私たちは「教員」であり、IT会社のサポートセンターではありません

テレワークが推進されてることもあり、現場の教員の数も限りがあります。この体制で、数百人をサポートすることはできません。

私たちは「教員」であり、IT会社のサポートセンターではありません。先生になら何でも無理を言ってもよいだろうという雰囲気がありますが、できないことはできません。

大手企業の方でも、かなり無理なことを言われる方がいます。それ、会社でも同じことを言いますか?完全にパワハラです。授業の実施や生徒のケアなどは、私たちの仕事です。

しかし、システムのマニュアル通り実践したのに、通信不能になるのは、先生の責任ではありません。それでも、専門外のことに一生懸命取り組んでいる先生を責めるのはお門違いです。

どうせ、無視されるだろう。それでも、声を上げて、少しでも現場の負担を軽減したい。

このようなことを言っても、素人の私には新しいものを開発することはできません。大企業の友人も、難しいだろうということです。

しかし、この毎日、1つ1つの授業で生じる負担が、日本全国の小学生から大学生までのしかかります。とても小さな問題であるとは思えません。

そして、最悪の場合、今年はずっとオンライン授業の可能性があります。この問題が解決しても、オンライン授業の文化が残るかもしれません。

それならば、いち早くこの問題を解決できるツールが「新しい教育インフラ」になり、定着すると思うのですが、いかがでしょうか。

私立・公立関係なく、塾さんなどでも必要なアイテムになるはずです。多機能である必要はありません。

学校現場だけでなく、学習塾や習字、そろばん、ピアノなど。あらゆる習い事がオンラインになり得ます。我々の抱える問題は、お子様が抱える問題と同じです。市場の広がりとしても、申し分ないと思います。

こんな機能さえあれば、授業を円滑に進めることができます。外国製でも、廉価版でも構いません。オシャレじゃなくてもよいです。

・Webドリル
・成績管理機能
・web上での課題提出の際に、画像が添付できる機能
・クラス別のグループ機能
・グループチャット
・ビデオ会議ツール
・提出物一覧機能
・フィルタリング機能

この端末からは、1つのクラウドにしかアクセスできず、そのクラウド内で、これらの機能を使用することができるとよいです。(アップデートが自動的にされるイメージ)

※私はド素人なので、言葉の使い方などが合っていなかったらすみません。

ハイスペックである必要はありません。教育向けアプリしか使用できない仕様で、安定的な動画配信ができれば本当に助かります。

もう一度、本音を話します。

教育の現場で、安定した会議ツールとして定着すれば、教育インフラとして今後もその会社のサービスを使うと思います。

教育現場の人間は、変化を好みません。一度、うまくいけば、新しいものを導入はしたくないのです。

そういうことではなく、授業や生徒・ご家庭のフォローに時間を費やしたいのです。部活の指導をしたいのです。

ハイスペック・高機能である必要はなく、きちんと繋がる端末・ツールが必要です。あなたのお子さん、ご兄弟・姉妹、お孫さん、親戚の方は満足なオンライン授業を受けていますか?

この問題に無関係な人はそう多くないと思います。私も明日から、また現場で格闘します。もし、同じことで悩まれる先生方がいらっしゃれば、一緒に解決の道を模索していきましょう。

私が挙げた問題点やご提案以外にも、様々なご意見があると思います。もし、よろしければ、あなたのご意見をお聞かせいただけないでしょうか。

先生方・保護者の方・生徒さん(小学生~大学生)アンケート

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSc5mZo1avr74SiyA7hIdtSDZfOpE5KE4VRleVV1OVMZyIFDNg/viewform

少しでも、生徒達により授業を提供できるように努力してまいります。何卒、よろしくお願いします。

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我が校で実践したことの概略(先生向け)

※現在利用しているサービス以外は、お名前をふせています

我が校では4月からオンライン授業を開始

私が勤務する学校は、私立ということもあり、公立さんと比べると早めに動き出したと思います。4月の第1週目には、休校措置が決定され、オンライン授業の対応の準備に入りました。実は、3月からこの事態を予測して、準備をしていました。といっても、素人ですから、どんなソフトがあるかなどゼロからのスタートです。

自分で模擬授業を作成し、デモンストレーションを実施、全教員の同意を得ました。会議ソフトで朝礼と終礼はライブ形式で行い、動画配信サービスで予め準備した授業を配信しています。教員用のマニュアルを作成し、初めての先生でも操作できるようにトレーニングをしました。

この時に感じたのは、セキュリティなどを重視してサービスを選択すると、操作性が落ちることが多いということでした。もちろん、IT系などにお勤めの方は、問題ないかもしれませんが、教員やご家庭の中には「Gmailって何?」というところからスタートするケースもあります。

そういうケースも1つ1つ対応していくしかありません。会議ソフト(アプリ)のダウンロードから、ソフトの解凍仕方なども指導をします。詳しい方には笑われるかもしれませんが、生徒達は、ゲームでスマホをつかっても、こういう使い方は普段していない子が多いのです。

メールアカウントの取得、ソフトの解凍ですら、数百人を相手ではかなり大変

生徒の数が、何百ともなると、ソフトのダウンロードから解凍というシンプルなことでさえ、かなりの労力がかかるのです。

また「学校が民間のソフトを使うのはいいの?」というご指摘もいただきました。確かに公的な存在である学校が、民間のサービスを利用することに違和感があるかもしれません。しかし、非常事態であるため、ご説明はさせていただきました(ご納得いただけたか分かりません)。

授業内容をどうするか。教員としての矜持と葛藤

また、私自身、外部のオンライン授業の利用に関しては葛藤があります。確かに、そういうものを利用することは合理的です。しかし、本校の先生方が授業を実施しないのであれば「教員」は何をするのでしょうか。

授業以外にも、生徒とつながりを持つ機会はあります。しかし、現在、部活動や学校行事がありません。教育現場は、単に受験テクニックを指導する場ではなく、気持ちを育てる場所でもあります。

もし、唯一の繋がりである授業を放棄してしまえば、生徒が本校に通う意味すら失われるかもしれません。もちろん、外部のオンライン授業サービスを利用することを否定するものではありません。

オンラインでも会話で、繋がりは保つことができる

会議ツールで、クラスの生徒の顔、部活の生徒、そして保護者の方の顔を見ることができて安心ができます。古臭いと思われるかもしれませんが、お互いの顔を見て話すことは大きな効果があると思います(いつか科学的にその重要性が証明されるのでは)。

意外な効果としては、親御さんの話を聞けたことです。やはり、こういう事態はお子さんだけでなく、大人でも不安になるもの。ご家庭に、私のような人間が、ある種、緩衝材の役割を果たすようで、「先生とお話できて、本当に助かりました。」と言っていただいています

オンラインの授業での注意点「著作権」

現場の授業では使用してもよい教材も、オンラインでは使用できない、または、使用してよいか不明瞭のものがあります。教育現場は、著作権に関しては、使用可能な教材が多いのですが、この素材を使いたい!と思うものは、使用できないということもあります。

GoogleClassroomは素晴らしいが、「メール」が生徒達の習慣と合わない

GoogleClassroomは、シンプルで素晴らしい機能です。でも、アカウントがメールアドレスそのものであり、Gmailを起点に設計されています。

この「メール」を軸にした設計が、今の学生とは相性が悪いです。課題を出したときや、提出物の返却などを実施したり、補講の連絡をしてもメールを見ないので、通知に気づきません。

会社なら、それは社員の方の問題と言えるかもしれません。学校では、全てを生徒の責任とは言えません。無論、保護者の方もお忙しいですから、完全な管理を期待することもできません。

せめて、LINEやInstagramと連携がとれていると、だいぶカバーできるのですが…。

GoogleClassroomのアカウントを生徒分、準備できるのか?

本文でも説明しましたが、ただ、多くの生徒にGoogleアカウントを作成してもらうことはかなり難しいです。

Google様も教育サービスに対する重要性は認識していただいてると思います。が、運用において生徒の数だけGoogleアカウントを準備することが、どれだけ大変なのかをご理解いただけると助かります。

理想を言えば、契約した学校には、生徒のアカウントを作成する権利を学校側に付与していただき、それを生徒に与えるという流れが理想です。

授業はできる。次の課題は「学習管理」と「試験」

授業だけでは、生徒の学力を向上することはできません。「授業」に加え「学習管理」と「試験」はセットです。

現在、セキュリティ面や生徒が使いこなせるという面では、GoogleClassroomがベターです。でも、十分な学習管理ができているとは言えません。

課題を出す。そして、提出してもらう。さらに、返却する。この流れをオンライン上でつくる必要があります。選択式問題は、オンライン上に問題を作成すればよいのですが、記述・論述式はどうしたものか。

答案を撮影して送ってもらうのが現実的かもしれません。スマホのLINEカメラも文字を読み取れるので、それも利用できるか…。現在、課題を画像やpdfで送っていただいていますが、サイズが統一されていないため、管理が大変です

返却は採点したものをスキャンで読み込んで、Classroomにアップしているところです。

さて、テストはどうするか?

課題の管理と同様、キーボードの入力によるテストは、そういう練習を学校でさせていない以上、不公平かもしれません。手書きでテストを行うのが、まだ、平等かもしれません。

もちろん、これを機会にキーボードを練習させるのも一案かもしれません。(その場合は、各ご家庭に丁寧に説明をする必要があります。)または、すべて選択式の問題にする方法もあります。

いずれにせよ、しかし、不正していないかをどう確認するのか。ここもルール作りが難しいところではあります。

以上になります。

急ぎで作成したため、拙い文章になり、恐縮です。現場の先生の方々、保護者の方々、なにより、生徒さん達が少しでもよいオンライン授業を受けることができるために、努力をしていきたいと思います。

力を合わせて、乗り越えていきましょう!