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春愁(教員生活を振り返って)


春愁と僕

大嫌いだ 人が大嫌いだ 友達も大嫌いだ 本当は大好きだ

春愁/Mrs. GREEN APPLE より

 卒業式が近づくと、通勤中にこの春愁を良く聞く。”青春”と言われるものをまっすぐに感じられる。そんな学校生活を送れた人ばかりじゃないだろう。でも最後後はこの歌詞のような気持ちで卒業して欲しいな。そう思いながら聞くことがほとんどだった。


 もうすぐで僕の教員生活が幕を閉じる。もうクラスの生徒は目の前にいなくて、ちょこちょこ年休を取って早帰りもしているので、実質幕は閉じかけられているようなものだけど。10月には辞める決断をして、もう半年しかないと思いながら日々過ごしていた。例年よりも早い1月にはこの春愁を聞き始めていたと思う。家でも頻繁に聞いていて、一緒にコメント欄も見るようになって一つのコメントが目に留る。

この曲って、卒業したくない、まだここにいたいって感じじゃなくて、卒業や別れを受け入れてる感じが個人的にして好き。

@ai___raaさんのコメントより

 このコメントを見て、なんで今年はこんなにも早く聞き始めたことが言語化できた。卒業生との別れもそうだけど勤務校との別れを受け入れるために、春愁を聞く必要があったことを。そして毎年卒業生を送り出す前にこの曲を聴いていたのも、生徒との別れを受け入れる儀式だったんだと気づいた。離任式で生徒に送る言葉は、彼ら彼女らのお守りになるべきもので、ここで話すことではない。なので最初で最後。春愁を聞きながら4年間を振り返り、1人で別れを受け入れる準備をしようと思う。

2020年 1年目 

 中学2年生担任。サッカー部主顧問。この肩書が僕の教員生活の始まりだったがその手腕を発揮する(?)よりも前にコロナが広まり、担任としての日々を送ることができたのは5月も中旬だった。

 そこから刺激的な日々が始まる!というよりも学校内部で色々ありすぎて、そこに振り回されていた印象のほうが強い。洒落にならない状況で、子ども達に大人が迷惑をかけている図はくそったれだなと思っていた。
 学校行事思うようにできない、大人がはちゃめちゃなことをやっている。それでも崩れなかったこの学年の生徒には感謝しかない。大人に対して懐疑的になっても良いところで、1年目の自分を立ててくれた子どもたちは立派だったと思う。2組のみんな。元気だろうか。ルーレットを使った授業のオリジン。歩く会もう一度やりたいね。幻のチェリー聞いてみたかったな。ピカチュウは家で元気に眠っています。

2021年 2年目 

 中学3年生担任。サッカー部主顧問。生徒会。2年目の肩書である。この4年間で唯一の持ち上がり。初めましてじゃない学級開きがここまで安心できるものだと知ったのもこの年。結局コロナで思うように学校行事が出来ず子どもたちの100%を発揮する場が提供できなかったことが苦しかった。中学3年生にとって総体、体育祭、合唱祭とありとあらゆることに”中学校生活最後の”という枕詞が付く1年間だった。このバフは凄くて中学3年生は人生で1番成長する時期なんじゃないかと思う。

 体育祭。学年別。学校での一体感は感じることが出来なかった。でも短い時間でも楽しんでいた姿が眩しかった。合唱祭。YELLで勝ち取れなかった金賞。でも凄まじいモチベーションで僕の初めての合唱祭がこのクラスで良かった。歌詞間違えたのは銀賞の要因じゃないよ。流石に声量一本勝負は無理やりだったね。でもそれがこのクラスの良さだったかな。修学旅行。日帰りしか無理で悲しかったね。帰りのバスのトイレ騒動。それはもっと早く言ってくれ。いつかみんなで京都に行きたい。
 生徒会活動にがっつり関わったのもこの年からでした。体育祭とは別のクラスマッチのような行事があって、それを全部オンラインでやったのは自分でも良くやったなと思っています。生徒会としての代変わりはしているけれど、3年生送る会にもコロナの制限が襲い掛かりその中でハチャメチャに工夫。このときのムービーが伝統になっています。ありがとう。

2022年 3年目

 中学3年生担任。サッカー部主顧問。特活主任。生徒会会計。これがこの年の肩書。2年連続の中3で行事も徐々も復活。フルパワーの学校の忙しなさ。いなくなる人。のしかかる公務分掌。溜まる疲労。狭まる視野。起こる問題。生徒や保護者の方に文句なんてないけど、苦しかった1年だった。そんな中でも救いだったのはクラスの底抜けの明るさ。そして完全実施出来た学校行事。初めての宿泊行事はこんなにも楽しいのかと(前年度準備していただいた先生方のおかげです。ありがとうございます。)
 全学年で実施した体育祭。団長の先生なので(昨年もだけど)全学年の生徒を掌握するのは大変だったけれど、応援団のカリスマ性と役割分担を意識した統率。勉強になった。そして何年振りかわからない総合優勝。自分の人生を振り返って、何かを勝ち取ったことがなく、自分が団に在籍することはマイナスなんじゃないかと思うこともあったけけれど、そんなことは関係ないと思わせてくれたことは自分にとって救いでした。
 このクラスで歌った結。今でも聞いてます。あの畑でとった20日大根。いつのまにか母親に食われていました。いつか集まったら毎日じゃんけんしましょう。そして誰かの誕生日、盛大にあのコールで祝いましょう。

2023年 4年目

 中学3年生担任。サッカー部主顧問。特活主任。
最初はびっくりするくらい静かな教室。良い子なんだろうけど、クラスのまとまりを作るためには自分がピエロになることを意識した1年。今までで一番すべった。
 9月と10月が体調面で今までの無理がたたって新人戦と合唱祭にいけず不甲斐なさと情けなさで死にたくなった。合唱祭の金賞。目の前で見たかったな。でも優しさに溢れているこのクラスをちゃんと卒業させたい。そんな思いで頑張った。このクラスでなら自分の教員としてのストーリーを一旦終わりにしても良いかな。それが一番美しいと思わせてくれました。本当に頭が上がらないです。

 もうそろそろ合唱祭行けなかったこと許してはくれないでしょうか?”あなたへ”を聞いて、家で1人で泣いてました。あまりにも歌詞が染みすぎて。同窓会絶対やりましょう。クイズちゃんと作っておきますよ。”たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ”もやりたいね。

終わりに

 時計の針を止めて。なんなら戻して。だから別れを受け入れられる。
関わった生徒、そして保護者方、同僚の先生方には感謝しかないです。
「「涙」や「笑い」も少なかったりした 実はそんなこともなかった」そんな4年間でした。ありがとう。


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