教育経験をたくさん積んだ私の新人教育【社会人・企業ver】
簡単な自己紹介
30代男性/博士卒/非研究職(技術職)
要約
社会人にも慣れてきて、そろそろ新人教育などを任される人もいるのではないでしょうか?
でも「新人教育って何をすればいいの??」
学生の時に沢山教育経験を積んだ筆者が社会人になり、アップデートした新人教育について書いていきます。
0.はじめに
今回の記事において、筆者が良いと思う研修は
教育を受ける側(以下、受ける側))何度も聞ける・確認できる
教育を実施する側(以下、実施側))かける時間を極力少ない上で、不足なく伝わる
と定義します。
前提として「人間は1回の説明では完璧に覚えられない」「習得するのに複数回必要」が筆者の中にはあります。
とはいえ。。。
受ける側)「何度も同じことは聞きづらいよ。。。」
実施側) 「もちろん何度も説明するけど、自分の業務もあるので、教育に割く時間は(可能な限り)少なく、最大効率を上げたい」
このような両者の立場を考慮した方法を書いていきます。
1.共有資料をつくる
受ける側)何度も聞ける・確認できる
実施側)かける時間を極力少ない上で、不足なく伝わる
これを同時に満たせるのが「共有資料として残す」ことです。
共有ファイルを作りパワーポイントやワードなどで共有資料を作ります。
共有する内容はこちらになります。
1.1 目標
1.2 予定
1.3 時間がある時にすること
1.4 実施側の考え
1.5 各資料のリンク
1.6 マニュアル
1.1目標
受ける側が新人である場合は「何がいいが?」「どういう姿を目指せばいいか?」の良いイメージがまだありません。そのため、実施する側からイメージを提供していあげると助けになるでしょう。
加えて、「優先順位が高いものは何か?」ということを定義づけてあげるのも良いと思います。
例)
〜が一人でできるようになる。
また「わからない」と思うことは自身で判断せずに上司の指示を仰げる
そのために「どのようなステップを踏めばいいのか?」と分割されたステップがあるとなお良いでしょう。
例
最終目標) 作業(Step1~3)を1人でこなせるようになる
↑
Step2までは1人でこなせる
↑
Step1を1人でこなせる
「分割」に関してはこちらに書きました。
1.2予定や回数
予定や回数を共有することで、目標で共有したイメージに時間の感覚を足していきます。
例
目標) Step1を1人でできる
目標+予定や回数) Step1を1人でできる。3回ほど一緒について練習をしたのちに、1人で可能なところまでやってみる。
「この目標に至るまでにはこのくらい時間(回数)をかけるんだな」という感じです。個人差はあると思うのであくまで目安です。
1.3暇な時にすること
この項目を入れておくと、実施する側がとても楽になります。
実施側の業務が手一杯で教育ができない時も、「このリストから順にやっていって」と伝えておけば大丈夫でしょう。
例
前回やったことの復習
→スライド1枚にまとめて
1.4実施側の考えを見せる
実施側をも受ける側も初対面(もしくは関係が浅い)場合が多いでしょう。
その場合「相手はどういう人間であるか?」と相手を見極めるモードから入ると思います。
例
「この人は、優しく教えてくれる人なのか?/厳しい系なのか?」
自分の価値観は言葉にしないと伝わないものです。相手は行動から自分の価値観を予測しますが、文章で書いた方が早く確実に自分の意図が伝わるでしょう。
例
教育を始めてから2ヶ月経って、最初に教えたことを忘れてくるかもしれないが、その都度自分に聞いていいよ。人は1回じゃ覚えられないから、何度も聞いても大丈夫。
1.5リンク
会社共通のリンクやサイト、ツールはあると思うのですが、自分の部署専用のものは中々まとまっていないと思います。
これを機にまとめると後々楽になるのではないでしょうか。
新人から見ても使うツールがまとまっていたら便利と感じます。
1.6マニュアル
全マニュアルを載せると共有資料の量が多くなるので、リンクにまとめても可です。ただ、この共有資料のベースとしては「何度も確認がしやすい」なので、大事なマニュアルなら全部載せても良いと思います。
もし自分で書く場合はこちらを参考にしてみてください。
1.7共有資料を作る2つのメリット
ここまで読んだ方は感じると思うのですが、正直「けっこう手間がかかります」。。。
しかし、それを上回る2つのメリットがあると筆者は思っています。
メリット①「自分の気付き」の機会が増える
自分の考えを文字にすることにより、「あ、ここが全然わかっていない」「ここは感覚でやってたなー」など多くの気付きが生まれ、自身の理解の解像度が桁違いにあがります。いわゆるアウトプットですね。
文字にすること(言語化)が苦手な方は下記書籍を参考にしてみてください
メリット② 次の研修に活かせる
資料を残しておくことによって、「自分の次の研修」「他人の次の研修」に活きます。あとの項目で詳しく説明します。
2.記録をする
毎日どんなことをしたか記録をしておきましょう。
これには2つ理由があります。
1つは「相手が見返しやすくする」ためと研修受ける側のためですが、もう1つは「次の研修に活かすため」と研修をする側のためです。
3.フィードバックをする/される
3.1フィードバックをする
ここでの「フィードバック」は
△フィードバック=教育を受ける側に直してもらう機会(いわゆるダメ出し)
◯フィードバック=受ける側を認めてモチベーションを上げる、良い行動を褒めて強化させる
なので、最初の3ヶ月は「褒める」のみです。
例
自分から聞いてきたり、〜の単語を調べたりして、自分で考えて意見を出してきたのはとても良かったので、続けて欲しい。
その上で、ある程度関係ができてきたら言い方に気をつけてダメ出しをしていきます。
このあたりのフィードバックの仕方も参考になると思います。
3.2フィードバックされる
ここはダメ出しです。相手からダメ出しのフィードバックをもらいましょう。
「受ける側(後輩)<実施側(先輩)」のケースが多いので、フィードバックをしてと言ったら「ない」「今のままで大丈夫です」のような答えが返ってきますが、社交辞令と思って本気にしないように注意です。
フィードバックの聞き方の注意としてオープンクエスチョン(答えが複数ある)ではなく、クローズクエスチョン(Yes/Noで答えられる)でいきましょう。
△オープンクエスチョン(答えの選択肢が複数ある)
例 「研修どう?」
◯クローズドクエスチョン(Yes or No で答えられる)
例 「研修にかける時間は多い?少ない?」
聞く内容の例は
伝え方、テンポ、やりたい内容、自分が構う量などは相手が満足しているか?イメージ通りか?
他にも付け足す言葉として、
「この研修は〜期間続くから、もし苦手なところがあったら、言ってくれた方が後々楽になるよ。」
「もし実施側に直接伝えるのが難しかったら受ける側の上司(言いやすい人誰でも可)に伝えてくれるといいかも」
などがあります。
4.仲良くなる方法を使うかは会社や職場の雰囲気次第
筆者の学生時代は「年齢が近い、同性が多かった」などの特徴があったので、部活の先輩や年齢が近い人の教育方法を使っていました。
しかし筆者の会社チームは「プライベートには必要以上に踏み込まない」のような雰囲気があったり、「コンプライアンスなどが明確に決まっている」などの雰囲気なので、学生時代とは異なるアプローチを使っています。
なので、これを使うかは会社のチームや相手次第だと思います。
※優劣はなく、状況によって使い分けられたらよいかと思います。
5.自立させる
ここまで割と丁寧に教えてきましたが、最終的には「受ける側に自立」して欲しいです。もし、「実施側や上司の指示をずっと待つ人間」になられたら困ると思います。
そのため徐々に自立するように教育方針をシフトしていきます。
自立するために意識したポイント
5.1自立するようにしたい方針を伝える
5.2受ける側自身で判断する経験をする
→成功も失敗も経験する
5.3実施側への依存を無くす
→すぐに答えを教えない
5.4深刻な失敗にはならないようにする
5.1自立するようにしたい方針を伝える
急に実施側の態度が変わったら受ける側もびっくりし、不安になりますので、「自立できるために方針を変えていく」という旨は伝えましょう。
5.2受ける側自身で判断する経験をする
自分の場合は3ヶ月くらい経ったら、受ける側に判断してもらうように促します。
受ける側からの質問に対して今までは答えを教えていましたが、この段階では「あなた(受ける側)はどう思う?」「何がアイデアとして浮かぶ?」と逆に問いかけを入れていきました。
そして、その判断を実施してもらいます。成功でも失敗でも、受ける側の経験になるので見守りましょう。
5.3実施側への依存を無くす
受ける側「実施側に聞けばなんでも答えてくれる」「実施側の言うことを聞いていれば大丈夫」という依存が見える場合は、失敗を過度に恐れている可能性があります。
まずは、成功でも失敗でもいいので「受ける側自身で判断した」という点を促したり褒めたりしていきましょう。
5.4深刻な失敗にはならないようにする
「受ける側自身で判断させ、成功や失敗させる」と言いましたが、深刻な失敗を引き起こさないようにちゃんと見守りましょう。
決して「放置する」という意味ではありません。実施側もある程度調べた上で問いかけたり、導いたりしていきましょう。
6.研修内容を反省する
実際に研修をしてみると、うまく伝わなかったり、こちらが予想した行動にならなかったり、うまくいかない事が山ほど出てくると思います。
ですが、その都度、「何を話せばうまく理解してくれたかな?」「どういう表現・説明の順番ならうまく理解してくれたかな?」など、受ける側の反応が悪かったときには実施側自身の内容を省みましょう。
この一つ一つの反省が次の機会に活きてきます。
7.補足
受ける側に苛立ちを感じる時は実施側自身が整ってないことが多い
何度も聞かれたり、実施側自身の意図がうまく伝わなかったり、タイミングが悪かったりすると、苛ついてしまう時も出てくると思います。
しかし、その時は受ける側が悪いと言うよりも実施側自身の状態が整っていないケースが圧倒的に多いです。
その場合は、まず一旦距離を置きましょう。その次に自分を整えます。(まず休む、よく寝る、ご飯をお腹いっぱいに食べる)
結局、相手との相性もあるから、上手くいかなかった時に、深く考えすぎないのも大事
どんだけ実施側がうまくやっても、結果が伴わないことは沢山あります。
その場合は結果に注目せず、やるべきことはやれたか?ということに注目しましょう。
まとめ
社会人になって教育で意識していることをまとめました。読んでいただきありがとうございます。
それではまた。
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