『ヒットチャート解体新書』とダンス&ボーカルグループの未来

まず最初に申し上げますが、わたしはBMSGを応援しているので思想が偏っているかもしれません。すみません。

これからの時代、日本のダンス&ボーカルグループが大躍進を遂げるのではないかと思っている。
その理由は単純にクオリティが上がっているからだ。
より具体的に言うと、歌唱・ダンス・ラップのクオリティ、演出のクオリティ、楽曲のクオリティが上がっているからだ。
(これは極めて主観的な意見であることをご承知願いたい)
K-POPが世界中で人気を博したのも、そのクオリティの高さに人々が魅了されたのではないかと私は考えている。
これからの時代、ダンス&ボーカルグループは、従来の日本のアイドルのように、ただルックスが端正であることよりも、むしろパフォーマンス力と楽曲そのものの良さを持ち合わせていることが必要になると思う。
『ヒットチャート解体新書』によると、ダンス&ボーカルグループのファンには、アーティストファンダムと楽曲ファンダムがいるそうだ。
日本のダンス&ボーカルグループは現状として、アーティストファンダムは多いものの楽曲ファンダムが少ないそうだ。
このことも併せて考えると、日本のダンス&ボーカルグループが世界で活躍するためには、アーティストファンダムに加えて、いかに楽曲ファンダムを取り込むが鍵となると思う。

この点において、BE:FIRSTは世界中の楽曲ファンダムを多く獲得するポテンシャルがあると思う。
それは彼らが「音楽FIRST」をモットーに活動しているからだ。
オーディションを通して選ばれた彼らは、クオリティ、クリエイティブ能力、アーティシズムの3つを高いレベルで持ち合わせている。
また、彼らが日々ジャンルを問わず数多くの音楽を聴いており、さらに彼ら自身が音楽を愛しているのは、BE:FIRSTのインタビュー記事やラジオ番組、「Mainstream」のメイキング映像から容易に分かる。
プロデューサーのSKY-HIの言葉を借りると、BMSGという会社は音楽が無いと生きていけないという点で、社会不適合者の集まりであるそうだ。
(私もBMSGに出会うまで、世の中にこんなにも熱狂的音楽ファンがいることを知らなかったが、今では音楽が無いと生きていけない体になってしまった)
さらにBE:FIRSTは、90'sのR&BやHIPHOPを音楽ルーツに持つ7人が集まっていることもあり、今の若い世代からしたら「新しい」、年配世代からしたら「懐かしい」という、絶妙なラインの音楽を生み出すことに長けているのだ。

BE:FIRSTの楽曲のうち、特にBE:FIRSTの音楽的感度の高さと、楽曲ファンダムを獲得するポテンシャルを感じさせる2曲を紹介する。
「Gifted.」と「Mainstream」だ。
BE:FIRSTのデビュー曲「Gifted.」はボーイズグループのデビュー曲としては異端な曲であると思う。Popsでもラブソングでもない、唯一無二の高級感を感じさせ、BE:FIRSTとは何なのかを表す楽曲となっている。
この曲がデビュー曲であることで、他のどんなジャンルの曲にアプローチしたとしてもBE:FIRSTらしさというものがしっかりと中心にあることが理解できると思う。
そして4th Single「Mainstream」は、完全にメンバーの意思で作られた楽曲である。これはぜひBE:FIRST公式YouTubeチャンネルにて公開されているMainstreamの裏側に迫る動画を見て頂きたい。彼らの音楽的感度の高さを感じ取ることができるはずだ。
Gifted.とMainstreamの明確な違いは、プロデューサーSKY-HI主体によるものなのか、メンバー主体によるものなのかだと思う。
Gifted.の場合は、デビュー曲によって楽曲ファンダムを獲得しようというプロデューサーの意思が含まれていないとは言い難いものである。
一方Mainstreamの場合は、日本のトレンドだったり売れるか売れないかという価値基準を全て無視した上で、メンバー達が今BE:FIRSTが届けるべき・届けたい音楽を作り上げた結果、それが楽曲ファンダム獲得に繋がったのだと言える。
つまり、グループのメンバーの求める方向性がプロデューサーの求める方向性と一致し、それが新たなファン層を獲得することに繋がるという稀有なスタンスのグループこそがBE:FIRSTであるのだ。

ところで、BE:FIRSTはオーディションの段階から世界を目指していたが、これまでに発表された楽曲で全編英語詞の楽曲は無い。
音楽FIRSTで世界を目指すなら、全編英語で海外にアプローチするのも一つの手であろう。
しかし彼らがその手段を取らないのは、J-POPに誇りを持ち、MADE IN JAPANに拘っているからであろう。(同じ日本人としては嬉しい限りだ)

また、これは個人的な意見なのであるが、楽曲ファンダムを取り込む際に、デビュー曲が大きな役割を果たすと思う。
その理由は、例えばあるグループに興味を持った人が初めに聞く曲は、そのグループで1番ヒットした曲とデビュー曲ではないかと思うからだ。(私の場合はそうしている)
この点で、デビュー曲が楽曲ファンダムに刺さると個人的に感じる日本のダンス&ボーカルグループは以下の通りである。
・BE:FIRST「Gifted.」
・MAZZEL「Vivid」
・Number_i「GOAT」
・SixTONES「Imitation Rain」
・櫻坂46「Nobody's fault」
・XG「Tippy Toes」

さらにBE:FIRSTの優れている点は、楽曲ファンダムの中でも特に、ダンスやラップが好きな人をも魅了することができる点だ。
ダンスに関しては、元ダンサーで世界大会優勝を4度成し遂げたSOTAを筆頭に、それぞれのメンバーが自分のダンススタイルを確立しているため、音楽を自分の体を使って視覚的に表現することができる。
また、音楽FIRSTに基づき、楽曲のコレオグラファーを誰に頼めば1番音楽的に良いものになるのかまで自分達で考えていて、さらにコレオグラファーとメンバーとの間にSOTAがいることで、メンバーの個性に合わせたコレオグラフを制作することができている。
ラップに関しては、日本でも屈指のラッパーであるSKY-HIから直々の指導が入るため、クオリティの高さは言わずもがなであろう。

余談だがBE:FIRSTはハンドマイクでのパフォーマンスにこだわっている。
その理由ははっきりとは分かっていないが、私は2つの理由からハンドマイクのみで歌って踊ることをしているのでは無いかと考えている。
1つは、激しいダンスを踊って息遣いが荒くなった時に、その音がマイクに入らないようにするためだと思う。
これは、同じく歌って踊るアーティストである三浦大知さんがインタビューで、ハンドマイクにこだわる理由として述べていたものである。
2つ目は、ハンドマイクさえもパフォーマンスの一部にするためだと思う。
例えば、歌い終わりのマイクの下ろし方によって声のマイクへの入り方や観客からの見え方も変わってくるだろう。

結論として、音楽FIRSTをモットーに、アーティストファンダム・楽曲ファンダム双方を獲得するポテンシャルを秘めたBE:FIRSTが世界で活躍することは論理的に立証されているのだ!!!
そしてBE:FIRSTを筆頭に日本のダンス&ボーカルグループが世界中の音楽ファンを魅了し、J-POPが世界で認められるのを見るのが楽しみである。

p.s.アーティストファンダム獲得についても、BMSGでは他事務所よりもアーティストファンダムを獲得しやすい経営が行われている。
これについては「ベタ・メタ・シュール」の観点から述べている方がいらっしゃるのでぜひ参考にして頂きたい。

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