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R(ラド)の起源について(ルーン文字のお話)


どうもこんにちは。
オカルティズム(隠秘学)の時間ですよ。

今回はアルファベットのR、ルーン文字のラドについての話しをします。
後半ではルーンの御守りや呪術に関しても少々触れますので、興味があるナイスガイ達は御一読ください。

ルーン文字に、ラドという文字があります。
R(曲線)を無くしたR、角ばったRです。

ラド



元々は騎乗、乗り物を表し、英語のRIDE(ライド)と同じ語源と言われております。

ルーンは時代や地域によって種類が分かれるので、場合によっては

「こっちルーンでは存在するのに、あっちのルーンでは存在しない文字があるよ」

なんてこともありますが、このラドに限っては、どの場合にもそんなに違いはありません。

ルーン文字というのはフサルクとも呼ばれており、このフサルクというのはルーン文字の配列における最初の六文字「fusark」をそのまま読んだものです。
ギリシャ語のアルファとベータ、またはヘブライ語のアレフとベトが「アルファベット」と呼ばれるようになっているのと同じですね。
(この理屈でいくと日本語は「あい文字」とか「あいうえお文字」になりそうですが。)

ルーン文字というのはフサルク(fusark)ですから、どのルーンにも基礎となるこの6文字は含まれております。


また、異体字がいくつもありますが、大きく変化があるものを敢えて挙げるのなら、以下の4つでしょうか。



上の二つは反転してるだけで同じようなものですからひとまとめにしてあります。
変わりダネは下のふたつぐらいなものです。
左が暗号化されたもので、右はグリーンランドで見つかったものだそうです。
まぁぶっちゃけ、今回の本筋とはあまり関係ないので、覚える必要も気に留める必要もありません。

もうちょっとオマケです。

左がセム系のアルファベットで、右が上から順番に初期フェニキアアルファベット、後期フェニキアアルファベット、最後にカルタゴアルファベット。

そして次はヘブライ語の前、アラム語です。
左から順に紀元前8.6.4のRと同等の文字になります。

段々ヘブライ語チックになってくのがわかりますよね。
でも紀元前8世紀の頃は、フェニキアアルファベットとほとんど変わっていなかったというのもよくわかります。

ここまででお察しかと思いますが、ラド(R)の成立はルーン文字よりも古く、ラテン語やヘブライ語よりも更に古くなります。
つまり北欧の神話や、キリスト教以前のユダヤ教より更に古い起源を持っているのですね。

それらの神や信仰よりも遥かに古くから存在していた古の象徴のひとつという事です。

また、更に時代が下るとraipuという綴りになって、荷車とか、騎馬の中でも足の速いものだとか、要求などの意味も持っていきます。

で、中世からラテン系アルファベットの影響が強まり、Rの字に近いラドになります。

それより以前、たとえば原初のラドの形はどうだったのでしょうか。
そこまで遡ると、今までの文字とは印象が異なってます。



今までの文字から更に90度、横に倒した感じです。
もしくは左右も反転しつつ、90度回転でしょうか。

上が古代バビロニアの文字で、下がアッシリアの文字です。
上のが古くて紀元前1800年ぐらいですかね。下は紀元前600年くらいの頃の文字です。

前者のバビロニア文字なんかは、時代的にはルーンと同じ系統の文字で更に古いラテン文字…の母体となったフェニキアアルファベット…よりも断然古くなります。
四千年近く前ですからね、とりあえず古いんだぜーっていう事です。

R(ラド)の起源は中東あたりが起源だったというわけですね。

また、文字というのは象形、つまり何かを表す為に生み出されたという前提があります。

ではこのRルーン、ラドとはそもそも何だったのか。

こういった文字はその歴史上、何度か回転や反転しています。

よって元に戻すために、まずは形を整えたのちに回転させます。
すると下記のようになります。



そう、答えは足でした。

つまりラド、もしくはRという文字は足の形を表した象形文字だったというわけです。

反転した足の絵とRを並べるとよくわかります。



基本的には文字は、歴史の中で何故か90度回転してるんですけど、ルーン…ラドの場合はもう90度追加で回った上に、左右が反転してるんです。
元の形から随分ズレちゃったんですね。

そんなこんなで、ラド(R)の成り立ちについてでした。



で、ここからはオカルティズムの時間です。

ラドを使った御守りをどう扱うか。

まぁ元が「足」ですから、普通は手とかには書きませんよね。
腕に「足」と書いたタトゥーしてる人がいたら間抜けです。
履き物や移動手段に書いたりするにはぴったりかもしれません。

ただし、手で使う道具に足を書くのはデザインとしてもウンコなのでそれは流石に無しです。
たまに欧米の方なんかが素っ頓狂な漢字タトゥーを入れて話題になってますが、使う場所次第ではそれと同じ事になってしまうので。

魔術の基本は理論(セオリー)&実践(プラクティス)ですから、腕に足を書くのは呪術としてはセオリー無視に違いありません。

全然照応してないので。

あと、この文字(R)からはルーンのような魔術的(呪術的)効果を期待できるかどうかという問いに関してはですね

「この文字たちを模して作られたのがルーンである」

というところが答えになるかなと思います。

文字として元々の器は同じで、そこに後から色んな要素が付加されただけで、この器(足の形)自体には何の違いもありません。

ルーンはそれ(足の形)をただひっくり返しただけですから、もしそれだけで効果や意味が変わるのなら、それはおそらく何かが間違ってます。

でも実際にはルーンを使ったまじないは現役だし、中身の意味(足)も古代のものとあまり変わりません。
そもそもひっくり返しただけで使えなくなる器なんて、象徴として話になりません。

足から作られた文字だったR(ラド)は、次第に

「足といえば動く」

「動くといえば速度」

「速度を強調したら騎馬も含むな」

「荷物を運ぶにも足を…」

「旅をする時はご足労やで」

なんて感じで色んな意味が付加されていきました。
足に繋がっている物事に照応したのです。

ということでラド(R)というルーン文字を扱う場合には、これは「足」そのものの象徴である事を理解できていれば、他の文字群と同様に、反転してても大丈夫という事です。

現在のアルファベットを読むのに、いちいち左右反転したあとに90度ずらさないと意味がわからない人なんていませんよね。
文字の持つ意味が伝わるなら、現在において反転してようがズレようが問題なく機能するのです。

またこのような理由から、反転すると祝いが呪いに変化すると言ったロジックは、ことルーンやアルファベットにおいては適用できないという事も付け加えておきます。
その理屈でいくと、既に反転されている現在のアルファベットは全て呪われていることになるからです。

逆さまにするという行為自体を呪術にしているので、単純に別派生のロジック同士のぶつかり合いになっているだけじゃないかとも言えますが、ルーン文字やアルファベットを反転させるような安っぽい呪術を考える人がいたとすれば、今回の話がそのまま呪い返しになるので、文字の成り立ちを反論に使えば覿面に効果を上げるんじゃないでしょうか。

全アルファベットに呪われるか、解釈を間違えたルーン文字で赤面して取り下げるか選びなさいってなものですね。


あとはR(ラド)の使用環境についてです。
足を移動の象徴とすることで

・旅行
・運搬
・競争
・交通安全

RIDE(ライド)、騎馬などにも使われたことから

・移動用家畜の御守り
・戦勝祈願

なんかにも使われてよさそうですね。

となると……おや?馬頭観音もか?
となってきますが、文字の話から逸脱甚だしいので、今回はこれにて御免というわけです。

お疲れ様でした。



追記

昔作った図解が随分見にくいので、気が向いたら描き直します。

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