深掘り:お茶を淹れる際の湯温について(2)

2.高温で淹れるお茶を低温で
例えば、100~90℃という高温で淹れるお茶を低温で淹れてみるとどうなるのでしょうか。
答えから言うと実はこれは、美味しくなることが少ない手法です。

本来の適温より低温で淹れる際のメリットは、苦味や渋味が少なくなることにあります。
100~90℃で淹れるお茶の場合、苦味や渋味は元々あまり含まれていないことが多く、またそのようなお茶は味よりも香りを楽しむものがほとんどです。
ですので、低温で淹れてもメリットがあまりないことが多いのです。

しかしながら、高温で淹れたものを”冷やして”飲む場合は美味しい場合があります。
高温で淹れるお茶は味より香り重視ですので味が濃すぎず、特に夏場などは、多量に飲むことができます。
スポーツ後の冷えたほうじ茶などは、何物にも代えがたい美味しさです。
高温で淹れるお茶はカフェインも少ないことが多いので、安心して水分補給ができます。

ただ、新茶だけは例外です。
新茶も特有の香り「ミル芽香」を楽しむことができるお茶ですので、高温で淹れることが勧められます。
ですが、新茶は冬の間に栄養分を蓄えた新芽から作られますので、カフェインを含む様々な成分が多い傾向です。

そのため、同じ高温で淹れるお茶の中でも新茶の浸出時間は40秒程度と短めです。
苦味や渋味が出すぎる前に、注ぎ終えるためです。

80~70℃の湯温で浸出する煎茶やかぶせ茶、またそれ以下の湯温で淹れるお茶は、低温で淹れれば淹れるほど旨味や甘味が増します。
浸出時間は10℃下げるごとに30秒程度長くなりますが、特に煎茶などは通常と違った味を楽しむことができるようになります。


3.低温で淹れるお茶を高温で
対して、例えば水出し茶や玉露、あるいはかぶせ茶などを100~90℃で淹れるとどうなるでしょうか。
このパターンは案外、違う味を楽しめるという意味で成功することが多いです。

低温で淹れるお茶は香りよりも味を楽しむお茶ですが、決して香りは悪くありません。
また、そもそも旨味や甘味を楽しむためのお茶として製造されているため、相対的に苦味や渋味が少ないです。
これらの理由から、高温で淹れると違う香味が楽しめ、あまり美味しくないという失敗は少ないのです。

低温で淹れたこれらのお茶を温めて飲む、というのが”失敗しない”淹れ方として、最近注目されたりもしています。
その際は、浸出時間や茶葉を倍にするなどして濃いめに浸出し、その後にお湯を足して温めます。
電子レンジで温めると成分が壊れることがあるので、美味しく楽しみたい場合はオススメしません。


いかがでしょうか。
もちろんここで紹介した例はあくまで一例です。
実際に色々試してみると、全く違った結果や味、香りに出会うことがあります。

あなただけのお茶に、あなただけの湯温というものも見つかるかもしれませんね。

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