深掘り:お茶を淹れる際の湯温について(1)

日本茶を淹れる際に最も重要なポイントの一つ、湯温。
確かに、間違えると苦味や渋味が出すぎたり、お茶の味が薄くなってしまうことがあります。
ですが逆に言えば、湯温さえ操作すれば、一つの茶葉から無数の楽しみ方を抽出することができるのです。


1.湯温まとめ
まずは様々な茶種の湯温について、まとめてみましょう。

・100~90℃:ほうじ茶、玄米茶、番茶、柳茶、新茶
この温度帯は、どちらかと言えば味よりも、高温で淹れることで立ち昇る香りを楽しむための温度帯です。
ですので上記のお茶などは製造工程においても、味の成分を香りの成分に変えるように調整されます。
苦味や渋味の成分であるカテキンは80℃を境に多く浸出するようになるため、味の成分を香りの成分に変えることで、
苦味や渋味に邪魔されることなく、立ち昇る香りを存分に楽しむことができるお茶が製造されるのです。

80℃:煎茶
この温度は、カテキンが多くも少なくもなく浸出される温度です。
この温度帯ではそんな適度な濃度のカテキンと、どの温度帯でも浸出されやすい、旨味や甘味の成分であるテアニンのバランスが程良い味わいが楽しめます。
また、湯温も決して低くはないため、立ち昇る香りも併せて楽しむことができます。

70℃:かぶせ茶
この温度は、上の煎茶の温度と下の玉露の温度帯の中間として、後から設定されました。
この温度に適した「かぶせ茶」自体が、煎茶と玉露の中間の味わいを持つお茶として、両者の後に誕生したからです。
全くカテキンがないわけではなく、しかしどちらかと言えばテアニンの旨味・甘味の方が強く感じられる、そんなお茶を淹れるための湯温です。

60~50℃:玉露
この温度帯は、濃厚な旨味・甘味を楽しむための温度帯です。
これより温度を下げても浸出はできますが、浸出時間が3分を超えて長くなってきます。
この温度帯であればカテキンはかなり少ないです。むしろその微量な苦味・渋味が旨味・甘味を相対的に引き立てたり、コクを生み出したりします。

20℃以下:水出し茶、氷出し茶
この温度帯になると、苦味・渋味はほぼ感じられません。純粋に旨味・甘味のみを楽しむための温度です。
浸出時間は10~15分以上と長くなりますが、その分スープのような旨味と甘味を感じることができます。
この温度帯であれば放置しておくだけで、ほとんどのお茶を美味しく飲むことができるというメリットもあります。

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