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煎茶の品種の特徴をザクザク書いていく② ハーブ・花・華やか香り系

フレーバードじゃないけど面白い&いい香りが煎茶のトレンド

はい、なんとかかんとか第二弾!

日本の緑茶、特に煎茶といえば最初の記事にのせたような「旨味が強く、グリーンor野菜系の香り」がここ数十年のスタンダード。

しかし「それだけじゃ面白くなくない?」「消費者も多様なわけだし」というわけで、香りが華やかな品種も多々選抜されています💡(実際には香りだけではなく、育てやすさや採れる量なども品種改良の大きな目的です。)また、昔からある品種を引っ張り出したりも…。

そもそも品種の畑のうち70%がやぶきたで、残る30%もゆたかみどりやさえみどりなどスタンダード系にほぼ占められているため、このエントリの品種は全体から見ればごくごく僅か。しかし、茶マニアの間で認知度が着々と高まっている個性豊かな面々!

香駿(こうしゅん)

近年旬の香り系代表。㈱日本茶 営業部期待のホープ、その名も「駿河の香り」。

フレッシュに仕上げたものはバジルやディルなど、前菜によく使うようなハーブの香り。香ばし仕上げだと上品な和三盆やアーモンドのような甘みが先にきて、ハーブ系のアロマがあとから立ち上る。紅茶にするとクッキーっぽい。

シンプルな肉のグリルに合わせてよし、炭酸水でシュワシュワした水出しにしてよし、白ワインに浸けて香りを移してよし…と応用範囲が広く、あっさり系の中華や西洋料理に合わせやすい。まずは肉まんや焼売とどうぞ。

成績はぶっちぎりでいいけど経費精算を疎かにしてそうなイケイケ営業感、まさに駿馬のごとし。現在苗木の入手ルートの関係から静岡以外の産地のものはレアだが、2026年からは苗木を販売できる業者が増えるので2030年以降は全国で見られるようになるかも…そこまで走り続けられるか!?

静-7132(しず なないちさんにー)

ナチュラルに桜餅の香りがする、やぶきたファミリーの変わり種。香りのもとは「クマリン」というかわいい名前の成分。確実に某恋柱が愛飲してくれそうなお茶である。コラボまだ?

ロボットみたいな名前とは裏腹に、フワッと桜餅のような香り。後味のじわっとした渋みが心地よい。シンプルな大福やシフォンケーキに合わせて桜葉の香りを添えてもいいし、塩味に合うのでお茶漬けにしても贅沢な気分が味わえる。水ようかんもいいな…。

わかりやすい香りでちやほやちやほやされながらも名前が番号のままなのは品種登録されていないゆえ。それじゃあんまりだということで、「まちこ」や「さくらかおり」という商品名を与えられていることも。名前でアンドロイドかと思ってたら、アンドロイド級のたおやか美人が来て春を思わせる、けど少しスパイシーな残り香をふわりと残して去っていきました…という感じ。

香り系品種はカップを触って「熱っ!」ってなる85℃くらいの高めの温度の方が香りが立つが、この子だけは例外的にぬるい方が香りがわかりやすい。なぜだ。

おくはるか

虎視眈々と埼玉から静-7132の背中をつけ狙っているライバル。…というのも、こちらも桜餅の香りといわれ、やっぱりクマリンを含んでいるから。

静-7132との違いは、バターや乳製品を思わせるちょっと重い香り。青草を食べて育った牛の、草っぽい香りのバター(牛乳)です!ってニュアンスがある。特に埼玉県産はお茶づくりの最初に少し萎らせることが多く、花系の香りが乗っかり、非常に厚みのある味わいになる。

静-7132よりもこってりしたもの、例えばシフォンケーキよりもバターケーキや鳩サブレ―などと好相性。鳩サブレーなどと好相性(大事なことなので2回言った)。

ライバルというか、静7132の妹/弟ポジションって感じもある。人気のある兄とか姉に張り合いたいみたいな…機会があればぜひ飲み比べてみてほしい2品種。

蒼風(そうふう)

なんだろうこの爽やかさしかない名前は。一応登録上はひらがなで「そうふう」なものの、なんだか漢字表記されることが多い…ような…気のせい?こちらもやぶきたファミリーで、ママはやぶきた。パパはインドの葉が大きなタイプの茶樹、アッサム種の血をひく「静-印雑131」。

「あ、煎茶らしいな。なるほど」という若葉のような爽やかな味わいがしたあと「あれ?んんん?ふぁ~!!」という、花やマスカット、柑橘類の香りが追いかけてくる、まさに蒼い風。レア品種ながら高級なタイプから廉価なものまであるが、個人的には高級タイプはマスカットや花の香りが強く、廉価タイプは柑橘っぽさが強いように感じる。

マスカット様の香りのもとは「アントラニル酸メチル」。ほんとうにブドウやリンゴの皮などに含まれる成分で、日本に今ある品種のDNAを調べたところインドから導入した茶樹の子孫にしか見られなかったそうな。

藤かおり

なんだこの可愛らしさしかない名前は。静岡の藤枝生まれなので、「藤枝かおり」とも呼ばれます。蒼風と親は同じ、しかし組み合わせが逆。ママがインド系の印雑131、パパがやぶきたです。

香りも可愛らしさとエキゾチックさを兼ね備えたジャスミンのような香り。この香りも、紅茶のようにお茶づくりの最初に少し萎らせることで目を覚ます。煎茶だと比較的穏やかな香りになるが、釜炒り茶だと天然ジャスミンティーのようなものに出会えることも!

バターチキンカレー始め、スパイスのきいた料理にとてもよく合うのでお試しあれ。

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このへんの品種は、煎茶でもちょっと高めの80℃くらいを狙うと香りがよいです。静-7132だけぬるめで🍵

ほんとうはふくみどりとかゆめわかば、印雑131も書きたしたいけど眠いのでこのへんで…



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