〈空白小説〉探偵部部長の執念

『空白小説』リスペクト企画!

空白部分を、オリジナルで、埋めてみよう!

『空白小説』とは、書き出しと結末の文だけがはじめから決まっているショートショート集です。

その間の空白をどう埋めるかで、物語は予想できない方向へと展開し、書き出しと文末のもつ意味は大きく変わります。

あなたは「空白」の展開を予想できますか?(Amazonより引用)

今回は「犯人はこの中にいる」~「私がやりました」の空白小説です!

タイトル:探偵部部長の執念

「犯人はこの中にいる」

そう言って僕は体育倉庫の跳び箱を指差した。

女子生徒の体操服ばかり盗まれる事件を調査中だった、文芸部、改め探偵部の僕は、部員を先導してここまでやってきた。

「部長!そもそも犯人って…」

「猿だ!」

「猿?」

「何故かは知らないが、猿が体操服片手に走り回ってるのを見たんだ!」

そう、僕は、巷の猿出没のニュースと今回の窃盗事件を線で繋げて、真実を導き出したのだ!

「さあ、保健所に連絡だ!」

「え?保健所ですか?」

「当たり前だ!猿の機敏さを舐めるなよ!たった3人で確保出来る訳ないだろ!」

警察も勿論呼んだが、応援に来たのは近くの交番からきた巡査2名のみ。

「あのー田中巡査部長?儂らは、ど〜すれば良いので?」

しかも、僕と同年代のヨボヨボなジーサンでは、どうしろと?

手柄らしい手柄もあげることが出来ず、定年間際。窓際の際。

署内サークル仲間を巻き込み、全ての、現在進行形の事件を追ってきた。

全ては、現場捜査員より先に、犯人(ほし)をあげ、僕を馬鹿にしている奴らに、こう言ってやるために

ー私がやりました

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