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002「みつるとみちこ」先祖代々の墓

お彼岸の墓参りの帰りに、私は寄り道をして、T市にやってきた。
母からはお寺の名前だけを聞いていた。
電車の駅を降りて、Googleマップを頼りに歩いたら、お寺はすぐ見つかった。

やっと、訪れることが出来た。田中家の先祖代々の墓。
背中に、源二郎の名前があった。私のひいおじいちゃんが作ったのか。
お墓は、あまり掃除が行き届いていなかった。生けてある花はしぼんでいたし、ろうそくやお線香を備えるところがなかった。
しょうがないので、丁寧にお水をかけて、丁寧にお祈りをして、その場を離れた。

たぶん、源一の孫にあたる、遠い親戚のおばさんが、このお墓の面倒をみてきたけど、おばさんはずいぶん年を取ったので、ながいことここには来ていないのだろう。
おばさんが亡くなったら、ここは墓じまいをするのだろう。それは、私にはどうすることもできない。

まあ、こうして手を合わせることが出来たのは、幸せだったのかな。
そんなことを考えながら、私は家路についた。

帰り道、駅前では花火大会のプロモーションをやっていた。
この地区も夏の花火大会、あるんだ。
機会があったら、見てみたいなあ。

(この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません)

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