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WEBデザインを学習したい人はスクール選びでどこに注目すれば良いか?という話

元WEBデザイナーが、デザインの仕事についてつらつらと書いていきます。今回は、WEBデザインの勉強を始めたい時、スクールを選ぶポイントはどこなのか?にについて語ります。デザイナーを目指したい人、デザインを学習する事を検討している人に読んでいただければ幸いです。


通学前提の職業訓練は地域によって格差・当たりはずれがある

東京、大阪、名古屋の大都市圏や地方の中核都市圏では、ハローワークが主催する職業訓練でも、制作会社のような実際にデザイン・制作に携わっている企業に業務委託していることが多い様です。しかし、そのような企業の大半は大都市圏に集中しているため、地方では企業のリソースを利用するのは容易ではありません。

そもそもデザイン等のサービス業が地域の主力産業たり得ない、需要の無い地域では、設備も内容もあまり力を入れていない、デザインを学ぶ環境すら用意されていないでしょうし、その地域にデザインの仕事、需要が無いのなら、優秀な講師を地元で確保することも不可能でしょう。

このように、通学前提の職業訓練は地域によって内容、設備の格差、当たりはずれがでてきます。本格的に学ぶ意志があっても自身の地域の職業訓練に期待が出来そうにない場合、全国のオンライン職業訓練が受講可能であればそちらを選択してみるか、お金に余裕があるなら民間で運営しているスクール受講を選択した方が良いでしょう。

ツール操作習得は職業訓練(通学)以外はどこでやろうと大差ない

デザインの仕事に必要なツール操作の習得に関しては、使うツール、操作方法は世界共通なので、どこで学んでも内容に差が出るという事はほぼありません。講師の教え方や練習用の課題の内容によって、若干差が出るくらいかと思います。

ただし、職業訓練(通学)の場合、設備が古すぎたりツールのバージョンが最新でない等、地域によって格差があるので、ツール操作習得にも差が出る可能性があります。もしハズレ環境を引いてしまった場合は、PCもツールも自前で用意して、独学で補うしかないでしょう。

ツール操作を覚えられるか、習熟できるかは本人のやる気と練習量にかかっています。ツール操作を覚えたいだけであれば独学でもできます。

スクールを受講していても、授業の時間だけで身に付く・覚えられるはずもないので、授業時間外で復習をする、反復練習を欠かさず行う等の自主的なトレーニングは必要になります。

スクールを選ぶ際に注目すべきポイント4つ

・制作物に対して講師の添削、フィードバックを受けられるか?

オンライン系のスクールの中には意外にも課題の制作物に対する講師の添削、フィードバックが標準仕様ではなく、オプションになっているところもあるようです。与えられた課題を黙々とこなすだけならば、デザイン学習者向けの課題等がネットに色々出回っていますので、独学でも十分できます。

スクールを受講するメリットは、自身が作ったものに対するプロの評価・意見を得られることにあります。講師の質が問われる部分は、教え方以上に質問に対する回答、課題の添削、フィードバックにあると言えます。

一方で、受講者の中には他者からの批評を受ける事を恐れて、添削・フィードバックを受けずに課題を終わらせてしまう人もいるようです。デザイナーとして成長するには他者の意見・批評は必ず必要になりますので、添削サービスがあるのなら積極的に利用しましょう。

・ロールプレイ、グループワークのカリキュラムが充実しているか?

実際のデザインの仕事は、クライアントとの双方向のコミュニケーションを通して制作を進めていきます。また、制作会社、広告代理店等に就職した場合は、営業、ディレクター、コーダー、エンジニアといった職種の人達とチームを組んで作業に当たる事もよくあります。

講師がクライアント役を務めるロールプレイ、受講者間でチームを組んで一つの課題に取り組むグループワークがカリキュラムに組まれているかどうか、その内容が充実しているかどうかは、スクールを選ぶ際に注目すべきポイントの一つだと思います。

昨今のデザインの現場のニーズ、トレンドを考えると、ただ黙々と一人で課題をこなして制作するだけのカリキュラム、環境しか用意されていないようであれば、そのような環境で学ぶ事に価値があるのかどうか微妙だと言えるでしょう。

・コンセプトワークに重きを置いているか?

デザインの民主化、高品質なデザイン素材、デザインテンプレートの流布、生成AIの登場によって、ただ制作物を作るだけのスキルしか持ち合わせていない、職人デザイナーの市場価値は低くなってしまいました。昨今では制作物を作る能力にプラスして企画力、設計力、提案力、言語化力等がデザイナーの必須スキルになってきています。

デザインの仕事のこれからの事を考えると、制作物を作るスキルを身に付けるだけでは将来性は高くありませんし、制作物を作るスキルを習得する事だけに終始するカリキュラムに、高いお金を払う価値は無いと考えられます。

スクールを選ぶ際は企画立案等のコンセプトワーク、それに付随する提案・プレゼンテーションといった、対人の実践的なワークがカリキュラムに組まれているか、コンセプトワークに掛ける時間と課題の数、コンセプトワーク習得に重きを置かれているかを調べてみると良いでしょう。

デザインを言語化するのは言葉でデザインの意図を伝える、説明するためにやっていますので、相手にうまく伝わらないようであれば言語化する意味がありません。相手にうまく伝わる言語化テクニック、ノウハウが学べるかどうかも注目すべきポイントの一つです。

・スクール運営以外に母体がどんな事業をしているか?

スクール受講中のカウンセリング、卒業後の就職サポート、フリーランス志望であれば営業サポート等、授業以外でのサポートを期待している人も多いかと思います。それらのサポートが手厚いかどうかは、スクールを運営している母体がスクール以外にどのような事業を行っているかによって差が出てきます。

スクールの運営母体が制作会社等の場合、カリキュラムや講義内容が充実していたり、最新トレンドが学べたりと、学ぶ上でのメリットはありますが、卒業後の就職サポートや仕事の斡旋については、あまり得意でない場合があります。

スクールの運営母体が、人材派遣、人材紹介等の事業も行っている場合、そもそもスクール運営の目的が、自社で活用できる人材の育成であると考えられるので、卒業後の就職、営業サポートもある程度期待ができます。

カリキュラムの内容と受講中・卒業後のサポート、それらのバランスをチェックし、自身がスク―ルのサービスのどの部分に重きを置くのかもスクール選びの重要ポイントと言えるでしょう。

どこで学ぼうと、卒業後の進路は100%希望通りにはならない

最後に厳しい話になりますが、職業訓練だろうと、民間のスクールだろうと、デザインの仕事、クリエイティブ業界は、実務未経験で中途採用枠での就職は非常に難しく、実務未経験でのフリーランス参入はハードルが極めて高く、事業の継続が困難な世界です。

大都市圏、首都圏の企業にフルリモートで勤めることを夢見てIT業界、WEB制作を希望する人も多い様ですが、最近の傾向ではフルリモート勤務可の企業でも、募集対象は事務所の所在地近郊に住んでいて、通勤も可能な人とする企業がほとんどで、居住地を問わず全国から応募できる企業は極一握りしかありません。

また、常に「若い力」が求められており、他の業界同様、ミドル・シニア世代に塩対応なのはデザインの仕事、クリエイティブ業界も変わりません。

どこでデザインを学ぼうとも、自身の将来が100%の希望通りになることは極めて稀であり、挫折して他の道を探さざるを得なくなる場合もよくある、という事は覚悟しておいた方が良いでしょう。


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