てんぷ牛について
ウチは繁殖経営が主体なのですが元々「六次産業化をしたい」という思いがあって経産牛のお肉もやっています。肥育をしていると言わないのは、いわゆる慣行肥育はしてなくて、ミートセンター(屠畜場)に出荷しても基本的には全て買い戻して食べたり加工したり販売したりとしているからです。
てんぷ牛の定義はなんですか?と聞かれることもあるのですが、経産牛であることとなるべく年を重ねた牛ってこと、慣行肥育はしないこと以外は特にこれと言った定めがあるわけではなくて今は牛ごとにコンセプトを変えてウチからお肉になった牛は「てんぷ牛」と名付けてます。
例えば前回のヨシハナは、長野県から取り寄せたそば入りの配合飼料と地元の牧草で育てた再肥育なしの舎飼いした経産牛。今回のテルコは、産まれも育ちも地元で、宮崎県の都城で栽培されたとうもろこしサイレージと牧草にさつま町の竹パウダーを食べさせた舎飼いの経産牛というような恰好です。
特徴のあるお肉を
話は変わりますが、私は10代後半から6年ほどフランスのパリに住んでいた事があります。貧乏学生だったので高価なものはほとんど食べずだったのですが一度だけレストランに連れてっていただき鴨のステーキを食べさせて貰ったんですよね。すごく美味しくて、そのあとシェフが来てくれたので「鴨肉美味しかったです!」と伝えたら「鴨肉が良かった訳じゃなくて私が魔法をかけたから美味しくなったんだよ。」と悪巧みをしたような顔でニヤリと笑って返されました。詳しく掘り下げるとジビエ肉はただ料理するだけでは美味しくならなくてシェフの工夫や調理法によって生まれ変わって美味しくなるという事を聞きました。(僕の理解したフランス語だとこんな感じだった)
話を戻しますと、その経験があるから、私は屠畜して切って食べただけでは美味しくなくても良いと思っていて、むしろジビエの様にそこにお肉屋さんだったり、シェフが魔法をかけて美味しくなるお肉が作りたいなーと思ってるのです。(それと出来るだけその辺にあるものでこの土地独自の牛を作りたいという希望もあります。)
このてんぷ牛(お肉にする牛)の育て方というのは、まだ模索の模索という状態です。例えばエコフィードみたいな方向性に行くのか、筍加工で余った皮や、例えば豆腐、さつま揚げを作る時の残さを使うのか、さつま町の果物や野菜、お茶などの規格外や余りの農作物を使うか、はたまたさつま町の気候にあった飼料を作るのか?今はまだ一頭一頭その都度、コンセプトを考えて牛を作って行きたいと考えています。
決まった定義がまだないてんぷ牛だからこそ食べる方にも是非コンセプトやその牛の背景などまで味わっていただきたいと思いまして今回はてんぷ牛についてを書かせていただきました。
今回のテルコについてはインスタにも書いてますので良ければ見てください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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