「リレー」に見るインターネットに対するユーザー意識の変化

こんにちは。
数日前にInstagramで見た「お絵かきチャレンジ」を見て「チェーンメールと一緒だなぁ」と思ったのですが、そこにインターネットに対するユーザー意識の変化が顕著に表れていると思ったので考察してみようと思います。


●不信感を利用したチェーンメール

インターネットにおける「リレー」の発祥はチェーンメールです。主に2000年代前半頃に流行しました。

チェーンメールの特徴は、その先駆けとも言える「不幸の手紙」のような、「転送しないと不幸が起こる」という性質が強かったように思います。転送しないと殺される、住所が特定される、個人情報がばら撒かれる等です。

これはインターネット普及初期にユーザーが持っていた「ぬぐいきれない不信感」による恐怖心を利用しています。
当時のインターネットは、2chに代表されるような「アンダーグラウンド」な場でした。誰が見ているのかもセキュリティの状況もわからない状態だから使用には最新の注意を払わなければいけない、個人情報が漏洩する可能性がある、そうした意識が非常に強い時代でした。
その不信感に発端がわからない不穏なメールがかけ合わさり、チェーンメールが拡大しました。


●善意が仇となったチェーンメール

次に流行したチェーンメールの典型は、「教えてあげなきゃ」という気持ちを利用したものです。
例えば「犯人探しに協力してほしい」という内容や、2011年の東日本大震災時に出回ったコスモ石油に関するもの等です。

これはインターネットが社会に受け入れられたことを示しています。不信感が多少緩和され、「ユーザーを繋ぐ便利ツール」としての立ち位置がある程度確立されたことにより、「その利便性を活用して役に立ちたい」という感情が喚起されたのだと思います。
社会貢献への欲求を利用したメールと言うことができるでしょう。


●「繋がること」自体が目的のお絵かきチャレンジ

時代が飛びますが、最新の「インターネットリレー」がInstagramのお絵かきチャレンジです。人参とかニワトリのバージョンがありました。お題の絵を書いて、3人をメンションして投稿するというものです。

これはもうインターネットに対する不信感が消え去り、「知り合いと繋がる」「コミュニティ内でのムーブメントを共有する」ことに主眼が置かれたことと対応しています。
フォーマットとしてはチェーンメールと全く同じなのですが、「メール」という媒体でないこと、文面でないこと、マイナス要素がないことにより、これだけ流行ったのだと考えています

●まとめ

今回のムーブメントを見て、プラットフォームに対するニーズ(ユーザーの感情)にコンテンツから得られる感情を対応させることの重要性を改めて実感しました。メールでお絵かきは流行りませんし、Instagramで不幸の手紙は難しいでしょうから。

また、「フォーマット」の強さも実感しました。『メモの魔力』でいうところの「具体→抽象→転用」ですね。

自分で色々と発見して、仕事に活かしていきたいです。

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