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LINE研究パート4 ~O2OからMAまで、LINE User ID活用事例~

こんにちは! TCOのミカミ・リョーです。シリーズでお送りしている「LINE研究」、パート4では、ミカミが考える、“LINE ID”マーケティングの参考になりそうな事例をピックアップして、考察を交えながら紹介します。そのまえに、前回の振り返りを少し。

パート3では、「ダイレクトマーケティング」の観点から、企業とユーザーのコミュニケーションにおけるLINE User IDの重要性、そして生活インラフであるLINEを介して顧客体験の「面」をおさえられることを取り上げています。
 
では、実際にその取り組みってどんなことなのか、今回は、世にあるLINE活用例をもとに考えてみます。

事例1:サントリー「みんなの炭酸」

LPやアプリを使わず、LINE User IDを軸にキャンぺーン展開

まずは、サントリー「みんなの炭酸」です。これは店頭キャンペーンの仕組みをLINEで代替した事例です。LINE User IDが企業とユーザーの距離を縮め、キャンペーンの仕組みや運用を改善しています。このキャンペーン事例を分析した記事があります。

記事にもありますが、サントリーのLINE公式アカウント「SUNTORY みんなの炭酸!」は、炭酸飲料のカスタマーエンゲージメントを高めることを目的にしています。このアカウントでさまざまな炭酸飲料のマストバイキャンペーンを実施。この事例で、注目すべきは、「キャンペーンの受け皿がLINE」だということ。

従来、キャンペーンサイト(LP)で個人情報を登録してもらったり、自社アプリをインストールしてもらったり、企業はユーザーとの接点をつくるために、「器」をつくってきたわけです。もちろん、これらの施策もブランドや商材のタイプ、ユーザー数などによっては、ユーザーとのつながりを強化する効果は期待できます。
 
しかし、サントリーの事例では、LINE User IDをキーにして、手軽に幅広い層との接点をつくり出しています。しかも、デカビタC、ペプシ、オランジーナなど各ブランドを横断して、ひとつのアカウントでキャンペーン展開している点もおもしろいと思います。
 
炭酸飲料は、普段何げなく買う「日用消費財」です。ユーザーとの接点もカジュアルです。たとえば、ノドがかわいて、たまたま立ち寄ったコンビニで炭酸飲料を買ったとします。よく見ると、「買ったら〇〇もらえる」キャンペーンのシールが貼ってある。せっかくなら、とサイトにアクセスすると、キャンペーンサイトで個人情報の登録を求められる。状況や気分によりますが、ミカミなら「メンドくせ」と思って、離脱するかもしれません(笑)。その点、「みんなの炭酸」の場合は、QRコードからLINEアカウント登録だけなので、ハードルはグッとさがります。まさに、LINE User IDが企業とユーザーの距離をグッと縮めた好事例ですね。

事例2 三井不動産「&mall」

オンラインとオフラインをつなぐLINE User ID

次は、三井ショッピングパーク公式通販サイト「Mitsui Shopping Park &mall(以下&mall)」の取り組み。「&mall」は、ららぽーとなどのショッピングモールと連携したリアル施設共生型のECモールです。概要は、以下の記事でご確認ください。

この施策では、オンラインとオフラインの接点を活用していますね。ECモールの「&mall」(=オンライン)で注文した商品を、ららぽーと内のサービスカウンター「&mallデスク」(=オフライン)で受け取れます。いわゆる、O2O(=Online to Offline)に関連する施策です。
 
この事例のポイントは、ずばり「ID連携」です。ECモールの「&mall」で注文しますが、ユーザーは、このとき、当然ですが「&mall」のIDを使います。そして、ららぽーとにある「&mallデスク」に行き、ここでQRコードを経由してLINE公式アカウントからスタンプをゲットする。さらに、特定スタンプ数をゲットすれば、「&mallデスク」で特典ももらえる。


結果、ユーザーの持っている、ECモールの「&mall」のIDと、LINE User IDが連携。こうして、ユーザーが一番接するLINEを介して、ECの買い物やリアル店舗への送客を後押しする施策ができたわけです。つまり、O2O施策のオンラインとオフラインの間にあるもの、それがLINEです。
 
ミカミ的に、このID連携がオンラインとオフラインをうまくつないでいる点が、すばらしいと思いました。ユーザーは、ECで買うか、ショッピングモールで買うか、あまりその差を考えていないかもしれません。そこにLINEが入ることで、よりシームレスになるはず。そして、ID連携で「どこの誰か」がわかっているユーザーとなら、きめ細やかなキャンペーン施策が実現できる。まさに、“LINE ID”マーケティングの好事例ではないでしょうか。


事例3 ファッションモール「リュリュモール」

ECモールを活性化するMA配信にもLINE IDを活用

次は、女性向けファッションのECモール「リュリュモール」の事例です。MA(マーケティングオートメーション)によるメッセージ配信でLINEを活用しています。概要は、以下の記事をご覧ください。

やはり、肝はID連携です。LINE User IDとリュリュモールの顧客IDが紐づいていること。これによって、離脱したユーザーへのリマインドはもちろん、ECモールの売上向上につなげているわけです。先ほどのモール事例では、オンラインとオフラインをつなぐ「ハブ」としてLINEが機能していましたが、こちらはECモールのユーザー活性化を促す役割をLINEが担っていますね。

これができているのもID連携があってこそ。ECモールの顧客IDからは、「このユーザーがカートに入れたままにしている商品がある」「値下げになった商品を、このユーザーはお気に入り登録している」などがわかります。それをメールでお知らせしてもいいですが、なかなか開封されない。そこで、生活インフラであるLINEの出番です。
 
LINE User IDと連携していれば、LINEアカウントを通じてユーザーへのダイレクトなメッセージが可能です。あなたのための情報がLINEで届く。「DMやEメールでもやってたじゃん」という意見も聞こえてきそうですが、手法自体が新しいわけでなく、誰もがつかっているLINEだからこその「個別最適化」と「情報到達度」、そこが現在はすごく大事なんだと、ミカミは考えているのです。

ミカミ的まとめ

3つ事例を取り上げてみましたが、いかがでしょうか。ミカミが提唱している、“LINE ID”マーケティングのイメージがわいたでしょうか。今回の内容をサマります。

サントリー「みんなの炭酸」の事例から

  • LINE User IDを軸にすれば、LPへの誘因、アプリダウンロードよりも、効率的なキャンペーン設計が可能。

  • LINE User IDによって、企業とユーザーの距離は、グッと縮まる。

三井不動産「&mall」の事例から

  • ECモールのIDとLINE User IDを連携させて、ユーザーをオフラインに送客できる。

  • LINE User IDはO2O(オンラインからオフライン)施策のカギとなりうる。

ベルーナ「リュリュモール」

  • 顧客情報とLINE User IDの連携で、ECのカゴ落ちリマインドやセール情報も効率的に伝えらえる。

  • LINE User IDはMA配信のカギとなりうる。
     

マストバイキャンぺーンから、O2O施策、そしてMA配信まで、LINEがユーザーとのタッチポイントとして、かなり活用されています。それもこれも、LINEが生活インラフになっている証拠です。さて、次回はもうちょっと別の角度から“LINE ID”マーケティング実践の参考になりそうな事例を紹介します。ミカミが気になる、LINE公式アカウントを取り上げる予定です。ではまたー。

ミカミ・リョー@LINE公式アカウント研究中       


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