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二期会オペラ研修所授業

昨日の午前中は、二期会オペラ研修所予科、小森クラスの授業。その後高校に向かって、合間に先生方と色々な打合せを挟みながら、また高校の校長室からオンラインレッスンを行っていました。

昨日の二期会オペラ研修所の授業は、僕にとってはフィデリオが終わって、初めての授業。そして、フィデリオ公演で空前絶後のフロレスタン役を演じたテノールの小原啓楼さんも、フィデリオ後、初の授業です。

そして小原さんと僕の横にいるのは演出家の岩田達宗さん。(10月28日(水)に行われる「歌唱発音研究隊〜KHK〜」の対談シリーズ第一回は、岩田、小森対談です。日本のオペラの将来について・・・という感じになるに違いない)

高校のみんなはあまり知らないかも知れないけど、既に日本オペラ界のリヴィング・レジェントになりつつあるお二人です。現実に、このコロナ到来の後に東京のオペラ復活の狼煙を上げた、二つの公演の立役者がこのお二人です。

藤原歌劇団の8月15日からの「カルメン」公演の演出家がこの岩田達宗さん。そして先日の二期会「フィデリオ」の主役の一人、自由のために運動して牢獄に入れられたフロレスタンを演じたのが小原啓楼さん。

魂の授業、というのはこう言うことを言うのだろうと思います。僕はこの場にいられて、本当に幸せでした。

ここに、助演としてきてくれている一人が、二期会オペラ研修所小森クラスの修了生でもあるのですが、今は二期会会員として、後輩である66期小森クラスの学びを支えてくれています。でも、彼もここで学んでいる。うちのクラスは手加減無しなので、助演にも厳しい言葉が飛びます。

その中で、彼の心に刺さった言葉があったようです。その言葉の後に、彼の声があまりに変貌したので僕もビックリした。そして授業の後で、長いメッセージをくれました。小森クラスで過ごした2年間で投げかけられたワードがまだ消化しきれず、でも気になって過ごしていて、最近、少しその意味がわかってきたところだったと。

そこに来て、この日の出来事は、彼にとって運命的で、でもしかも、仕組まれていたのだと思います。小原さんから投げられた具体的で厳しい要求を、彼がはき違えていることが感じられたので、僕はそれを伝えたのです。内容は具体的には触れませんが、小原さんの言葉を彼はあまりに真っ直ぐに受けとめすぎて、反ってその言葉に応えられない状態になっていたのです。でもそう言う事ってありますよね。

先生の言ったことを真っ直ぐ受けとめすぎて、逆にその指示から遠ざかってしまう。残念だし、矛盾してるけど、結構起こる事です。

でも、その、僕から伝えた言葉が彼の身体を変え、空間を変えた。奇跡を見たような想いでした。

でもね。結構奇跡って、ちゃんと起こるのです。条件が揃うと奇跡は起こります。絶対条件はそれを願う心だと思います。そして、その実現を目指す無遠慮な実行力。

研修生だけではなく、研修生としての先輩である助演歌手にも有意義で掛け替えのない空間、時間。いや、それどころか、僕ら講師にとっても掛け替えのない、豊かで貴重な時間です。

事実、この日、講師の一人は個人的に辛い事が重なって重い気持でこの部屋に入りました。でも、「生きる力をもらった。元気になった」と後でメッセージをもらいました。その人が研修生達に生きる力を与えているんですけどね。こうなると、ギヴ&テイクって、どういう意味なんだろうって、わからなくなってきますね。最近、気の合う仲間で交わしている言葉は、"Give&Take"の代わりに"Giving is Taking"です。与えることは受け取ること。

これは、教育の本質の一つを表している言葉だ、と思いました。

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東京音楽大学付属高等学校の校長として。日々の中で教育、音楽に留まらず、豊かな高校生生活、音楽に寄り添う、音楽が常に傍らにある高校生活について、またその未来について。綴っていこうと思います。
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