歌唱発音講座

僕が、継続的に取り組んでいる教育啓蒙活動のの一つが、歌唱発音の口座です。「歌唱発音研究隊〜KHK〜」という名前でやっていて、もう4年目です。

きっかけは、オペラなどの現場で、多くアドバイスを求められるようになった事です。

ドイツで17年歌ってきたし、日本人初のドイツ宮廷歌手なんていう称号も持っていますので、ドイツ語をあまり歌ったことのない同僚歌手から助言を求められることは元々ありました。

でも、日本でのオペラのプロダクションで、こう言うアドバイスをする事を繰り返しているうちに、彼らが、僕らの世代の様は発音指導を受けていないという事がわかって来たのです。僕が学生の頃は、二期会の創始者でもある中山悌一先生というリヴィング・レジェンドが居て、確固たる発音技術を生徒達に渡していて、それをその人達が更に孫弟子に伝えることで、日本人の肉体と精神をもって西洋言語をどう発音するか、と言うメソッドがあった。

それがなくなっていることに気がついたのです。いや、なくなってはいないのでしょうが、希薄になっている。少なくとも、僕らの世代が大学やその後の教育機関の中の学びで普通に習ってきたことを、彼らは知らなかった。

これはまずい。と思いました。それで、この「歌唱発音研究隊〜KHK〜」を立ち上げたのです。ダサい名前と思いながら日本語の組織名にしたのは、あくまで日本人が外国語をどう料理するか、と言う観点からアプローチするからです。先日の芸術特別講座でお話した様な視座で発音に迫っています。

そしてもう一つのポイントは「歌唱」発音である事です。どうも話を聞いていると、発音指導を受けると歌うのが難しくなり、手間が増えて面倒になるので、最終的には歌うことを優先してしまって、発音は後まわしになる、という感じでした。

僕は確信を持って言いますが、発音は発声を助け、メロディービルディングを助け、和声感を助けます。逆も然りです。だから、発音を研ぎ澄ます事で歌うことが重荷になるとしたら、その方法に問題があるのです。だから「歌唱発音研究隊」です。発音と歌唱のワンランク上の結婚をみんなで考えましょう、と言う組織です。

高校のみんなは、ドイツ語に挑戦している人は少ないかも知れませんが、このスピリットはどの言語でも一緒です。

次の講座は8月15日(土)18:30〜。Zoomでやるオンライン講座です。学生はワンコイン、¥500なので、興味があったら参加してみて下さい。

歌唱発音研究隊〜KHK〜ホームページ

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