フィデリオ

二期会のオペラ公演「フィデリオ」が無事に終わりました。先週は連日舞台稽古で、授業、レッスンもお休みしましたが、今週から再開しています。今日はこれから高校に行きます。と言っても、校長室からのオンラインレッスン、オンライン授業ですが。

二期会というのは僕が所属しているオペラ団体で、この公演は正確には「東京二期会オペラ劇場」というシリーズです。大雑把に言うと、公益財団法人東京二期会と、株式会社二期会21という二つの組織から成り立っていて、僕はいま両方の組織と関わりがあります。公益財団法人の方では付属機関である二期会オペラ研修所のクラス主任をしており、株式会社の方は取締役(無給)を務めています。

そしていわゆる「二期会」というのはこの二つともと違う別の組織で、(いまwikipediaで見たら、今は存在しない組織と定義されてました…)この二期会の会員から中間選挙を経て選ばれる幹事も務めています。つまり、二期会グループとは色々な形で関わっており、それとまた別に今回の公演「フィデリオ」ではドン・フェルナンドという役を歌ってキャストとしての関わりがありました。

ご存じのようにコロナ禍であらゆる演奏会が中止、延期された中、この8月から東京のオペラ界は復活の狼煙を上げたところです。藤原歌劇団は8月15日からの「カルメン」(有名なオペラだから聞いたことあるかな)で、我々二期会はこの「フィデリオ」で。両方のオペラ団体が、その知力と集中力を結集して、あらゆる衛生対策を練って、何とか公演を行いました。

もちろん観客の数は制限し、カルメンではオーケストラを歌手の飛沫から守る為に舞台の後ろに配置し、フェイスシールド着用で歌唱。フィデリオでは、紗幕を下ろして、オーケストラと観客を歌手の飛沫から遠ざけ、稽古場で徹底的なディスタンス管理を行いました。

フィデリオのこと、詳しく述べる暇が今はありませんが、これは高校のみんなには是非お話したいので、あらためて書きます。

「いつでも愚者は壁を作り、賢者は橋を架ける」

演出の深作健太さんの言葉です。

彼はコロナで分断された我々の世界の間に橋を架けたと思う。このフィデリオ演出では最後の合唱の場面で舞台後方の幕を完全に開けて、奥の舞台の一番奥まで見せて、後奏では紗幕を上げて、分断されていた舞台空間と客席空間を一つにした。ここで深い感動を味わった観客の皆さんが非常に多かったというフィードバックをもらっています。

僕らも、色々な橋を架けましょう。友達と、先生と、家族と、隣国と。あるいは他専攻と、高校と大学と。色々な橋があると思う。枠を超えて、手を携えて、未来に進みましょう。年代とか、クラスとか、性とか、職業とか、いろいろな枠があるけど、橋を架けることでそれぞれの枠も、その意義を思いだすことが出来る事が多いと思います。

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